育児時短就業給付金とは|時短中の賃金の10%。条件・いくら・いつまで・申請の流れ

育児時短就業給付金は、2歳未満の子を育てるために所定労働時間を短くして働く人に、雇用保険から出る給付です。支給額は、原則として時短中の各月に支払われた賃金の10%です。
令和7年4月1日にできた新しい給付で、支給の条件、10%より少なくなる場合、受け取れる期間、申請の期限に細かい決まりがあります。この記事では、厚生労働省のパンフレット(2026年8月1日時点版)と雇用保険法をもとに順にまとめます。
復帰後は時短で働く予定ですが、給料が減った分を補う給付があるのか分かりません。自分が対象になるのかも知りたいです。
2歳未満の子のために時短で働く人への給付
厚生労働省の案内では、育児休業等給付は、出生時育児休業給付金・育児休業給付金・出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の4つです。育児休業中の給付が3つで、育児時短就業給付金だけが、休まずに時間を短くして働く人のための給付です。
育児時短就業給付金と出生後休業支援給付金は、こども未来戦略に基づく支援策です。財源には、全ての世代や企業から集める子ども・子育て支援金が充てられます。
育児休業中の給付の額は育休手当の計算にまとめています。育児休業給付金は育休中に、育児時短就業給付金は復帰して時短で働く間に受け取るもので、対象の期間が分かれています。
もらえる人の条件
厚生労働省のパンフレットでは、次の2つの受給資格をどちらも満たす人が、各月の要件を満たした月に受け取れます。雇用保険の被保険者であることが前提で、一般被保険者と高年齢被保険者が対象です。
- 受給資格1:2歳未満の子を育てるために、1週間の所定労働時間を短くして働く被保険者であること
- 受給資格2:育児休業給付の対象の育児休業から引き続き、同じ子について時短を始めたこと。または、時短を始めた日の前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上)の月が12か月あること
「引き続き」には、育児休業を終えた日と時短を始めた日の間が14日以内の場合も含まれます。14日を超えて空いたときや、育児休業を取っていないときは、前2年間に12か月あるかで見ます。
病気やけが、出産、育児などで30日以上続けて賃金を受けられなかった期間がある人は、その期間を2年に足して数えられます。足したあとの期間は、最長で4年です。
各月の要件は4つ
受給資格があっても、支給されるのは次の4つをすべて満たす月だけです。
- 月の初日から末日まで続けて、雇用保険の被保険者である
- 1週間の所定労働時間を短くして働いた期間がある
- 月の初日から末日まで続けて、育児休業給付や介護休業給付を受けていない
- 高年齢雇用継続給付の支給の対象になっていない
月の途中で退職すると、その月は初日から末日まで被保険者でいられないので支給されません。月の末日に退職したときは、その月も対象になります。
対象になる時短の働き方
対象になるのは、子を育てるために、本人の申し出に基づいて勤め先が1週間の所定労働時間を短くした働き方です。1日6時間の短時間勤務に限らず、短くしたあとの時間に上限も下限もありません。
1週間の勤務日数を減らして時間が短くなる場合も含まれます。子を育てるために短時間正社員やパートに切り替えたときや、転職して時間が短くなったときも対象です。
特別な働き方でも、次のように短くしていれば対象になります。フレックスタイム制は清算期間の総労働時間、変形労働時間制は対象期間の総労働時間、裁量労働制はみなし労働時間を短くしたときです。
シフト制は、実際に働いた時間から1週間の平均を出して、短くなっていると確かめられるときに対象になります。フレックスタイム制で総労働時間を変えずに一部の時間を休んで欠勤控除を受けるときは、対象になりません。
週20時間を下回るときは注意
短くしたあとの1週間の所定労働時間が20時間を下回ると、原則として雇用保険の被保険者でなくなり、給付の対象から外れます。子が小学校に入るまでに週20時間以上に戻る前提だと、就業規則などの書面で確かめられる場合は別です。
はじめから週20時間未満の働き方で転職した場合は、被保険者にならないので対象になりません。公務員には、雇用保険法 第6条で雇用保険の対象から外れる人がいます。外れる人は、この給付も受けられません。
いくらもらえるか
支給額は、時短中の各月に支払われた賃金を、時短を始める前の賃金(育児時短就業開始時賃金月額)と比べて決まります。厚生労働省のパンフレットでは、次の3つの場合に分かれます。
- 賃金が時短前の90%以下:支給額=その月に支払われた賃金×10%
- 賃金が時短前の90%超〜100%未満:支給額=その月に支払われた賃金×調整した支給率
- 賃金と支給額の合計が支給限度額を超える:支給額=支給限度額−その月に支払われた賃金
調整した支給率は、賃金と支給額の合計が時短前の賃金を超えないように、10%から少しずつ下がります。賃金率95%なら4.74%、99%なら0.91%です。

図は、厚生労働省のパンフレットにある3つの例です。時短前の賃金30万円・時短中20万円なら、賃金の10%で2万円になります。
時短中の賃金が28万円なら時短前の90%を超えるので、支給率は6.43%に下がり、1万8,004円です。賃金が高く、賃金と支給額の合計が支給限度額を超える例では、はみ出した分が差し引かれます。
時短前の賃金の出し方
時短前の賃金(育児時短就業開始時賃金月額)は、時短を始める前の直近6か月間(賃金支払基礎日数が11日未満の月は除く)に支払われた賃金の総額を180で割り、30を掛けた額です。臨時に支払われた賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与などは、この総額に入れません。
育児休業から引き続き時短を始めた人は、育児休業給付金の計算に使った休業開始時賃金日額に30を掛けた額が、時短前の賃金になります。育休前の給与で比べるので、育休から復帰した月の給与と比べるわけではありません。
時短前の賃金には上限と下限があります。令和8年8月1日から令和9年7月31日までの育児時短就業開始時賃金月額は、上限が496,200円、下限が96,090円です。
支給されない場合
次のどれかに当たる月は、育児時短就業給付金は支給されません。支給限度額と最低限度額は、令和8年8月1日から令和9年7月31日までの額です。
- 支払われた賃金が、時短前の賃金の100%以上のとき
- 支払われた賃金が、育児時短就業給付金の支給限度額484,121円以上のとき
- 計算した支給額が、育児時短就業給付金の最低限度額2,562円以下のとき
時短を始めても賃金が下がっていない月は、給付の対象になりません。支給限度額・最低限度額と、時短前の賃金の上限・下限は、毎月勤労統計の平均定期給与額によって毎年8月1日に改定されます。
月給別の目安(例)
1日8時間を6時間にすると、所定労働時間は4分の3になります。時短前の月給がそのまま4分の3になり、残業も手当の変化もないと仮定すると、賃金率は75%で90%以下なので、支給額は時短中の賃金の10%です。

図は、その前提で月給ごとに計算した例です。時短前が月給30万円なら、時短中は22万5,000円で、給付は2万2,500円になります。
減った7万5,000円のうち、給付で戻るのは2万2,500円です。実際の賃金は勤め先の給与の決め方で変わるので、自分の額は時短中の給与明細の総支給額で計算します。
いつからいつまで受け取れるか
受け取れるのは、原則として時短を始めた日の属する月から、時短を終えた日の属する月までの各月です。この1か月ごとの月を「支給対象月」と呼びます。
ただし、次のどれかの日があると、その日の属する月までで終わります。
- 子が2歳に達する日(2歳の誕生日の前日)の前日
- 産前産後休業・育児休業・介護休業を始めた日の前日
- 別の子のために育児時短を始めた日の前月末日
- 子が亡くなったときなど、子を育てなくなった日
子が2歳になる前にフルタイムに戻り、また時短にしたときも、条件を満たせば再び受け取れます。同じ子について時短をする回数に、制限はありません。
令和7年4月より前から時短の人
制度は令和7年4月1日にできました。それより前から時短で働いていた人は、令和7年4月1日に時短を始めたとみなして、条件を満たせば令和7年4月以降の各月が支給対象になります。
このとき、比べる時短前の賃金も令和7年4月1日を始めた日とみなして計算します。その額より支給対象月の賃金が下がっていない月は、支給されません。
申請の流れと期限
申請するのは、原則として勤め先(事業主)です。本人が希望すれば、受給資格の確認と支給申請は本人がハローワークに直接出すこともできます。
提出先は、勤め先の所在地を管轄するハローワークで、電子申請もできます。支給申請は原則として2か月ごとに2か月分をまとめて出し、本人が希望すれば1か月ごとにもできます。
郵送で出すときは、ハローワーク品川の案内では、宛名を書き、特定記録か簡易書留の料金分の切手を貼った返信用封筒を同封します。郵送の決まりは管轄のハローワークで確かめます。
手続きは3つ
手続きは、時短前の賃金の届け出、受給資格の確認、支給申請の3つです。勤め先が申請するときは、3つを同時に出すこともできます。
- 時短前の賃金の届け出:勤め先が「所定労働時間短縮開始時賃金証明書」を出す。育児休業から引き続き同じ子について時短を始めたときは要らない
- 受給資格の確認:「育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書」に、母子健康手帳などの子の出生を確かめられる書類を添える
- 支給申請:初回は、最初の支給対象月の初日から4か月以内。2回目からは、ハローワークが指定する期間に出す
たとえば、7月10日に時短を始めたときは、最初の支給対象月が7月なので、初回の申請の期限は10月31日です。2回目からの期間は、ハローワークが交付する「次回支給申請日指定通知書」に書かれます。
本人が用意するもの
勤め先が申請するときも、本人から出すものがあります。子の出生を確かめる母子健康手帳の出生届出済証明のページや住民票などの写しです。手書きの申請書で公金受取口座を使わないときは、通帳やキャッシュカードの写しも要ります。
同じ子について育児休業給付を受けていた人は、子の出生を確かめる書類は要りません。受給資格確認票には個人番号(マイナンバー)を書きます。
振り込みは決定から約1週間
ハローワークは、賃金台帳などで内容を確かめてから支給を決め、「育児時短就業給付金支給決定通知書」で知らせます。支給決定から口座に振り込まれるまで、約1週間かかります。
振込先は、申請書の払渡希望金融機関の欄に書いた本人の口座です。給付の内容や手続きは、厚生労働省の育児休業等給付コールセンター(0570-200-406、平日8時30分〜17時15分)で問い合わせられます。
ほかの給付と税
育児時短就業給付金は、同じ月にほかの雇用保険の給付と重ねて受け取れないことがあります。厚生労働省のパンフレットでは、次の2つです。
- 月の初日から末日まで続けて育児休業給付や介護休業給付を受けられる休業をした月は、受け取れない
- 高年齢雇用継続給付を受けた月は、受け取れない
育児時短就業給付金は、育児休業給付金などと同じ育児休業等給付の1つです。雇用保険法は第12条の公課の禁止を育児休業等給付にも当てはめていて、給付に所得税や住民税はかかりません。
家計簿での書き方
育児時短就業給付金は、給与とは別の日に、2か月分がまとめて入ることがあります。家計簿では給与の行と分けて「育児時短就業給付金(◯月・◯月分)」と、何月分かを書き添えます。
月ごとの手取りを比べたいときは、入った額を支給対象月ごとに分けてメモします。育休中の給付と同じ考え方で、区切り方は育休手当の計算の家計簿の手順にまとめています。
終わる月を先に書いておく
給付は、子が2歳に達する日(2歳の誕生日の前日)の前日を含む月で終わります。その月を年間の見通しに書いておくと、給付がなくなって手取りが下がる月を先に知っておけます。
保育料は住民税の所得割額で決まるので、時短で給与が下がると、翌年度の保育料が変わることがあります。保育料の決まり方は保育料はいくら?、1年の見通しは年間収支表にまとめています。
育休から引き続き時短を始める人は育休に入る前の6か月、それ以外の人は時短を始める前の6か月の給与明細を出してみてください。総支給額を足して6で割ると、時短前の賃金のおよその額が分かります。
迷いやすい場面
育休が終わってから時短を始めるまで15日以上空いた
育児休業を終えた日から時短を始めるまでが14日を超えると、「引き続き」には当たりません。この場合は、時短を始めた日の前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12か月あるかで見ます。
育休中は賃金が出ない月が続くので、前2年間だけでは12か月そろわないことがあります。出産や育児などで30日以上続けて賃金を受けられなかった期間は2年に足せる(最長4年)ので、勤め先かハローワークで確かめます。
下の子が生まれた
上の子の時短中に下の子の産前産後休業や育児休業に入ると、上の子の分はその前日の月までで終わります。下の子のために時短を始めたときは、下の子について受け直します。
同じ月に上の子の時短を終え、下の子の時短を始めたときは、その月は下の子の支給対象月になります。上の子の分は前の月までです。
転職した
転職先でも、雇用保険の被保険者として時短で働き、条件を満たせば対象になります。月の途中で前の会社を辞めると、その月は支給されません。
転職先で支給を再開するときの留意点は、厚生労働省が別の資料にまとめています。申請先は勤め先の所在地を管轄するハローワークなので、勤め先が変わると申請先が変わることもあります。転職先の担当に伝えておきます。
残業をした月
支給額は、その月に実際に支払われた賃金で決まります。残業代が増えて時短前の賃金の90%を超えると支給率が下がり、100%以上になるとその月は支給されません。
よくある質問
Qパートでも受け取れますか
雇用保険の被保険者で、子を育てるために1週間の所定労働時間を短くして働いていれば対象になります。短くしたあとの時間が週20時間を下回ると、原則として被保険者でなくなるので対象から外れます。
Q自分で申請できますか
受給資格の確認と支給申請は、本人が希望すればハローワークに直接出せます。時短前の賃金の届け出は、勤め先が出す必要があります。
Qいつ振り込まれますか
原則2か月ごとに申請し、ハローワークが支給を決めてから約1週間で振り込まれます。申請の時期は勤め先の手続きによるので、勤め先に確かめます。
Q支給率はずっと10%ですか
時短中の賃金が時短前の90%以下なら10%です。90%を超えると10%より低くなり、100%以上になると支給されません。
Q税金はかかりますか
かかりません。雇用保険法の公課の禁止が育児休業等給付にも当てはめられていて、所得税や住民税の対象になりません。
Q子が何歳まで受け取れますか
2歳未満の子が対象です。子が2歳に達する日(誕生日の前日)の前日を含む月までが支給対象月になります。
Q育児休業給付金と同じ月に受け取れますか
月の初日から末日まで続けて育児休業給付を受けられる休業をした月は、受け取れません。月の途中で育休から復帰して時短を始めた月は、条件を満たせば支給対象になります。
まとめ
- 育児時短就業給付金は、2歳未満の子を育てるために時短で働く雇用保険の被保険者への給付。令和7年4月1日にできた
- 支給額は、時短中の各月の賃金が時短前の90%以下なら、その賃金の10%。90%を超えると支給率が下がり、100%以上なら支給されない
- 令和8年8月1日から令和9年7月31日までは、育児時短就業給付金の支給限度額484,121円・最低限度額2,562円
- 受給資格は、育休から引き続き(14日以内)時短を始めたか、前2年間に12か月あること
- 申請は原則勤め先から。初回は最初の支給対象月の初日から4か月以内
- 家計簿では給与と別の行に、何月分かを書き添え、終わる月を先に書いておく
時短前の6か月の給与と、時短中の給与明細があれば、給付のおよその額と終わる月が分かります。申請の時期は勤め先と合わせて確かめておきます。
この記事で参照した公的情報
- 育児時短就業給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日時点版・受給資格と各月の支給要件・支給対象となる時短就業・支給対象期間・支給額の3つの式・支給限度額484,121円・最低限度額2,562円・育児時短就業開始時賃金月額の上限496,200円と下限96,090円・支給率早見表・申請の期限・支給決定から振込まで約1週間・2025年4月1日前から時短の人の措置)
- 窓口
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
- 確認日
- 確認先
- https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001395102.pdf
- 育児休業等給付について(育児時短就業給付金は育児休業等給付の1つ・こども未来戦略に基づく支援策で子ども・子育て支援金を充てる・育児休業等給付コールセンター・申請先は事業所の所在地を管轄するハローワーク)
- 育児時短就業給付金の届出書類と添付書類(育児休業から引き続き時短を始めた場合と、15日以上たってから始めた場合)
- 雇用保険法 第61条の12(育児時短就業給付金・2歳に満たない子・賃金の百分の十・支給限度額は毎年8月1日以後に変更)・第61条の6第5項(第12条の公課の禁止を育児休業等給付に準用)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
