大学の入学金は辞退したら返ってくる?|授業料は3月31日までの辞退で返還、入学金を返す大学の確かめ方と辞退の手続き

大学の入学を辞退しても、払った入学金は原則として返ってきません。授業料や施設設備費など入学金のほかのお金は、3月31日までに辞退を申し出れば、原則として返ってきます。
ただし、専願や学校推薦型選抜などで合格した人は、3月31日までの辞退でも授業料などが返らないことがあります。2025年6月の文部科学省の依頼を受けて、入学金の全部か一部を返す制度を設けた私立大学もあるので、自分の大学の案内を確かめます。
4月1日を過ぎてから辞退した人は、授業料などの初年度の分も、返さない定めがあれば原則として返りません。入学金をまだ払っていない人は、納付期限を延ばす制度や分けて払う制度がないかを、先に大学の案内で確かめられます。
第一志望の発表より前に、併願校の入学金を払う期限が来ます。あとで辞退したら、払ったお金がどこまで戻るのかが分かりません。
辞退したときに返るお金の早見
次の表は、私立大学に入学金と授業料などを払ったあとで辞退したとき、払ったもの別に返るかどうかを、辞退を申し出た時期で分けたものです。最高裁 平成18年11月27日の判決と、文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項に沿っています。
| 払ったもの | 3月31日までに辞退 | 4月1日以後に辞退 |
|---|---|---|
| 入学金 | 原則返らない | 原則返らない |
| 授業料・施設設備費など | 原則返る | 原則返らない(※) |
| 専願・推薦で合格した人の授業料など | 返らないことがある | 原則返らない(※) |
| 返す制度のある大学の入学金 | 大学の決まりによる | 大学の決まりによる |
(※)は、払った授業料などを返さない定め(不返還の特約)があり、初年度に払う分の範囲のときです。入学式を無断で欠席したら辞退とみなすと書いている大学では、入学式の日までの辞退で授業料などが返ります。

図は、一般選抜で合格した私立大学に、入学金と前期の授業料などを払ってから3月31日までに辞退した場合の例です。実際に返る額と、手数料を引くかどうかは、大学の入学手続要項で確かめます。
入学金が返らないのは、入学できる地位を得る対価だから
最高裁 平成18年11月27日の判決は、入学金を、合格者がその大学に入学し得る地位を取得するための対価と位置づけました。大学が合格者を受け入れるための事務手続などの費用にも充てられる、としています。
そのうえで判決は、入学金を払ったあとで在学契約が解除されても、大学は入学金を返す義務を負わないとしました。辞退の時期が3月31日より前でも、この扱いは変わりません。
例外は、入学金が不相当に高額な場合など
判決は、入学金の額が不相当に高額であるなど、ほかの性質を持つと認められる特段の事情があれば、この扱いの外になるとしています。判決の要旨には、いくらからが不相当に高額かの額は示されていません。
文部科学省の調査では、令和7年度の私立大学の入学料の平均は240,365円でした。学部の系統で見ると、文科系219,951円・理科系245,362円・医歯系1,088,248円です。学費全体の平均は大学の学費はいくら?にまとめています。
授業料などは、3月31日までの辞退で返る
授業料・施設設備費・諸会費などは、入学したあとの授業や施設の利用の対価です。最高裁の判決は、払った授業料などを返さない定めを、在学契約の解除に伴う損害賠償の額の予定か、違約金の定めにあたるとしました。
在学契約は消費者契約法の消費者契約に当たり、同法 第9条は、解除に伴う違約金などのうち、事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分を無効としています。判決は、3月31日までの辞退なら大学に平均的な損害は生じないとして、返さない定めを原則としてすべて無効としました。
大学入学者選抜実施要項も、3月31日を返還の線にしている
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項は、3月31日までに入学辞退の意思表示をした人には、原則として授業料等と諸会費等の返還に応じる、としています。この点と返還の申出の期限を、募集要項や入学手続要項に書くなどして明らかにするよう求めています。
同じ要項は、入学式を無断で欠席したら辞退とみなす、などと書いている大学では、入学式の日までに在学契約を解除した人に返還に応じるとしています。自分の大学の入学手続要項に、この書き方があるかを見ておきます。
専願・学校推薦型選抜で合格した人は扱いが違う
実施要項は、専願か学校推薦型選抜(これに類する入試を含む)に合格して在学契約を結んだ人を、3月31日の返還の対象から除いています。判決も、専願や第1志望、入学の確約を出願の資格にした推薦入試などの合格者は、別に扱いました。
判決は、この合格者については、初年度分の授業料などを返さない定めを、特段の事情がない限り有効としました。大学がほかの入試で代わりの入学者を通常容易に確保できる時期を過ぎていない、などの特段の事情がある場合は別です。
併願できる総合型選抜や公募の推薦で合格した人が、どちらの扱いになるかは募集要項で確かめます。返還の欄に、自分の入試の区分が対象として書かれているかを見ます。
入学金を返す私立大学もある
文部科学省は2025年6月26日の通知で、私立大学の設置者に、入学しない学生が払う入学料の負担を軽くする方策を講ずるよう努めることを依頼しました。あわせて、入学料の額の抑制と、額や納付時期の考え方の説明も依頼しています。
通知は、大学に入学料を返す義務はないとした最高裁の判決にふれたうえで、負担を軽くする対応を大学にお願いするものです。文部科学省の考え方の案内でも、入学料の扱いは大学の設置者が判断するものとしていて、返すかどうかは大学ごとに決まります。
大学の対応は、令和8年度の入試から分かれている
文部科学省が令和7年11月末の時点で私立大学と私立短期大学の計836校に聞いたところ、令和8年度の入試で対応することとしたのは83校でした。令和9年度の入試から対応する予定が39校、対応するかどうかを検討中が357校、現時点で対応する予定はないが176校でした。
令和8年度の入試で対応した83校のうち、辞退の時期によって入学料の全部か一部を返すこととしたのは25校です。納付期限を後ろ倒しにしたのは39校、入学料を引き下げたのは15校でした(複数回答)。
返し方の例
文部科学省のアンケートには、併願できる入試区分の合格者が3月31日までに辞退したら、事務手数料5,000円と振込手数料を引いて入学料を返す例があります。国公立大学に合格して3月31日までに辞退を申し出た人に、入学料の全額を返す例もあります。
旺文社 教育情報センターが2026年入試の私立大学の募集要項とホームページを調べた資料(2026年5月14日)では、返還の対象は他大学と併願できる入試が中心でした。返す額は全額のほか、半額など一部の大学もあります。
辞退届の期限も、3月31日とは限りません。神奈川県のある私立大学の2025年12月の発表では、合格発表の日ごとに入学辞退届の提出期限を1月16日・2月26日と決め、3月6日に合格発表をする入試は返還の対象外としていました。
返還の制度は、年度ごとに変わることがあります。上の例は2026年入試のもので、次の年の入試では、その年の募集要項と大学のお知らせで確かめます。
自分の大学の募集要項で見る所
返るかどうかと、いつまでに何を出すかは、募集要項と入学手続要項に書かれています。次の表は、見る所と、そこで確かめることです。
| 見る所 | 確かめること |
|---|---|
| 入試の区分 | 専願か、併願できるか |
| 入学手続の欄 | 納付の期限・延納の有無 |
| 学生納付金の欄 | 入学金と授業料などの額 |
| 入学辞退・返還の欄 | 期限・書類・返る範囲 |
| 大学のお知らせ | 入学金を返す新しい制度 |
文部科学省の考え方の案内は、募集要項に入学料を返さないと書いていても、ホームページなどで公表して負担を軽くする取組をしてよいとしています。募集要項に返さないとあっても、大学のお知らせの頁も開いておきます。
辞退して返してもらう手順
進学先が決まったら、辞退する大学の入学手続要項を開き、辞退の届け出の方法と期限を確かめます。大学によって、入学辞退届と返還願を一緒に出す形や、決まった用紙を取り寄せる形があります。
最高裁の判決は、確定的な意思を示した辞退の申し出なら、口頭でも原則として有効な解除の意思表示になるとしました。書面で申し出ると決めている大学でも、解除の効力は妨げられないとしています。
それでも、返るかどうかは辞退を申し出た日で分かれるので、大学の決めた書類を期限までに出し、出した日が後で分かる形を残します。郵送するなら、送った日と届いた日の記録が残る方法を選びます。
返還の振込先の口座、差し引かれる手数料、返される時期は、大学の案内に書かれていることがあります。書かれていなければ、辞退届を出すときに大学の窓口に聞いておきます。
返ってこない・少ないと言われたとき
3月31日までに辞退したのに授業料などが返らないときは、まず大学に、返さない理由と、募集要項のどの定めによるのかを書面で尋ねます。辞退を申し出た日が分かる控えと、募集要項の返還の欄の写しも手元にそろえておきます。
大学の説明に納得できないときは、消費者ホットライン(188)に電話すると、住んでいる地域の消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます。相談は無料で、通話料はかかります。
話し合いで決まらないときは、弁護士に相談するほか、裁判所の民事調停や訴訟の手続きがあります。簡易裁判所の少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払の請求に使えます。
4月1日を過ぎてから辞退した
最高裁の判決は、3月31日より後の辞退では、授業料などが初年度に払う分の範囲にとどまる限り、返さない定めを原則として有効としました。入学式を無断で欠席したら辞退とみなすと書いている大学なら、入学式の日までの辞退は返還の対象です。
判決が有効とした範囲は初年度に払う分までです。2年目以降の分まで前払いしていたら、どこまでが初年度の分かを振込の控えと大学の納付金の案内で確かめ、その先の分の返還を大学に尋ねます。
入学金を払う前にできること
文部科学省のアンケートには、国公立大学と併願する人の入学料の納付期限を、国公立大学の前期日程の合格発表の後まで延ばす例があります。入学料の一部を先に払い、残りを後で払う例や、修学支援新制度の予約採用者に納付の猶予を認める例もあります。
払う前に、募集要項の入学手続の欄で、延納の願い出ができるか、分けて払えるかを確かめます。経済的な事情があるなら、大学独自の減免や納付の猶予がないかも、入試の窓口に聞けます。併願校の入学金を払う時期と、受験のお金全体の用意の仕方は、大学受験の費用はいくら?にまとめています。
まとめ
- 入学を辞退しても、払った入学金は原則として返らない(最高裁 平成18年11月27日の判決)
- 授業料・施設設備費などは、3月31日までに辞退を申し出れば原則として返る。4月1日以後は、返さない定めがあれば初年度の分は原則として返らない
- 専願や学校推薦型選抜などで合格した人は、3月31日までの辞退でも授業料などが返らないことがある
- 2025年6月の文部科学省の通知を受けて、入学金の全部か一部を返す私立大学がある。対象の入試・額・辞退届の期限は大学ごとに違う
- 募集要項の入試の区分・入学手続・学生納付金・入学辞退と返還の欄と、大学のお知らせを見る
- 辞退は大学の決めた書類で期限までに出し、出した日の記録を残す。返らないときは大学に理由を尋ね、消費者ホットライン(188)に相談できる
この記事で参照した公的情報
- 最高裁判所 平成18年11月27日 第二小法廷判決 平成17(受)1158 不当利得返還請求事件(入学金は入学し得る地位を取得するための対価で、在学契約が解除されても大学は返還義務を負わない・入学辞退の申し出は口頭でも原則として有効な解除の意思表示・授業料等の不返還特約は損害賠償額の予定又は違約金の定め・在学契約は消費者契約・3月31日までの解除なら特約は原則としてすべて無効・専願等を出願資格とする推薦入学試験等の合格者は特段の事情がない限り特約が有効)
- 窓口
- 裁判所(裁判例検索)
- 確認日
- 確認先
- https://www.courts.go.jp/hanrei/33837/detail2/index.html
- 令和9年度大学入学者選抜実施要項 第10 2 入学手続(入学料を含む学生納付金の額の抑制と負担軽減の方策・3月31日までに入学辞退の意思表示をした者には原則として授業料等及び諸会費等の返還に応じる(専願又は学校推薦型選抜に合格して在学契約を締結した受験者を除く)・入学式の無断欠席を辞退とみなす記述がある場合は入学式の日までの解除で返還に応じる・募集要項等で明確にする)
- 私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について(通知)(令和7年6月26日付け7文科高第491号 高等教育局私学部長通知・入学料の趣旨の説明・額の抑制・入学しない学生の納付する入学料の負担軽減の方策・経済的に困難な学生への配慮と辞退の時期と納付の時期の観点)
- 「私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について」の考え方等について(令和8年3月13日更新)(入学料の取扱いは各設置者が判断・募集要項に返還しない旨の記載があってもホームページ等で公表して負担軽減の取組ができる・辞退の時期による返還や時期ごとの返還額の差・入学料の一部の納付や納付期限の後ろ倒し)
- 入学しない大学に納付する入学料に関するアンケート結果(令和7年12月・令和7年11月末時点・私立大学604校と私立短期大学232校の計836校・令和8年度入学者選抜で対応83・令和9年度から対応予定39・対応する予定はない176など・具体例=3月31日までの辞退で事務手数料5,000円と振込手数料を差し引いて返還、国公立大学合格者が3月31日までに辞退した場合は全額返還)
- 令和7年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について(私立大学学部の入学料の平均=全平均240,365円・文科系学部219,951円・理科系学部245,362円・医歯系学部1,088,248円)
- 消費者契約法 第9条(消費者契約の解除に伴う損害賠償の額の予定・違約金の条項は、平均的な損害の額を超える部分が無効)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061
- 民事訴訟法 第368条(簡易裁判所で、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求について少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
- 消費者ホットライン(188・地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内)
- 2026年入試 入学辞退者に入学金の返還措置を設けた私立大学(2026年5月14日・各大学の募集要項とホームページの調査・返還額は全額のほか半額など一部・対象入試は併願できる入試・国公立大学への進学者などの条件)
- 窓口
- 旺文社 教育情報センター
- 確認日
- 確認先
- https://eic.obunsha.co.jp/file/exam_info/2026/0514_1.pdf
- 横浜商科大学は、2026年入試より、入学辞退者に対する入学金を返還します。(2025年12月15日・合格発表日ごとの入学辞退届の提出期限・対象外の入試)
- 窓口
- 横浜商科大学(大学プレスセンターの発信)
- 確認日
- 確認先
- https://digitalpr.jp/r/124685
