引っ越しの当日に追加料金と言われたら、払う必要はある?|見積もりより上げられる場合・上げられない場合と、追加になる作業の目安・相談先

引っ越しの当日に見積もりより高い額を言われても、その額をそのまま払うとは限りません。国土交通省の標準引越運送約款では、見積もりの額を超えて請求できるのは、依頼した人の責任で、見積もりの前提が変わったときに限られます。
見積もりで伝えていない荷物が増えた、当日に作業を頼み足した、といった場合は追加料金がかかります。業者が下見で荷物の量や道幅を見誤っただけなら、約款が見積もりを超えて額を直せるとする条件に当たりません。
まだ引っ越しの前なら、見積書の内訳と、業者が受取日の3日前までにする確認の連絡で、追加を防げます。もう払ってしまったときも、根拠を尋ね、消費者ホットライン188に相談できます。
当日に追加料金と言われたら、その場で払うしかないのかが分かりません。見積もりに無かった額を払うべきか迷います。
当日に言われた理由で、払うかどうかが決まる
約款は、見積もりのあとに中身が変わって実際の額が見積もりより高くなるとき、依頼した人の責任による事情で、見積もりの土台が変わった場合に限って額を直せるとしています(第19条第4項第二号)。次の表は、当日に言われる理由ごとに、その当てはめを並べたものです。
| 当日に言われた理由 | 見積もりより上げられるか | その場で確かめること |
|---|---|---|
| 伝えていない荷物が増えた | 上げられる | 増えた品と額 |
| 伝えた道と違いトラックが入れない | 上げられる | 自分の説明との違い |
| 荷造りが終わっていない | 手伝いは自分の負担 | 人数と時間 |
| 当日にエアコンなどの作業を頼んだ | 頼んだ作業の料金がかかる | 作業ごとの額 |
| 業者が下見で量や道を見誤っただけ | 約款の条件に当たらない | 下見の日と見積書 |
| 説明の無かった工事の費用 | 見積書の書き方しだい | 見積書の作業内容 |
表は標準引越運送約款に当てはめたもので、業者が自社で定めた約款を使っているときは、その約款の同じ条で確かめます。軽トラックの業者の標準貨物軽自動車引越運送約款も、第19条は同じ書き方です。
例:見積もり7万4,000円で、当日に3つ言われたとき
見積書が7万4,000円(運賃5万2,000円・作業の料金2万2,000円)で、当日に追加を3つ言われた例です。自分で伝えていなかった自転車とラック、当日に頼んだ洗濯機の取り付けは追加になり、業者の見誤りによるトラックの追加は、約款の条件に当たらない分です。

図の額は例で、平均ではありません。言われた10万5,000円のうち、トラックの追加の2万円は業者の見誤りが原因なので、約款の上では、見積もりの額に足す根拠になりません。払う額の目安は、7万4,000円に1万1,000円を足した8万5,000円です。
荷物が見積もりより少なかったときは、額が下がる
同じ条は、実際にかかった額が見積もりより少ないときは、実際の額に直すとしています(第19条第4項第一号)。運ぶ予定だった家具を処分したり、トラックが小さくて済んだりしたときは、見積もりの額のまま払うとは限りません。
そのため、運ぶか迷っている物も見積もりのときに伝えておくと、当日に増えて追加になることを避けられます。減ったときに額が下がるかは、請求書の内訳で確かめます。
見積もりの額は、どう決まり、どこに書いてあるか
見積書には、運賃と料金の合計額、その内訳と支払方法、業者と依頼した人がする作業の内容を書く決まりです(第3条第2項)。内訳は、積込み・搬出・荷造りなどの作業ごとに分けて、分かりやすく書くことになっています(第3条第3項)。
運賃と料金の額そのものは、業者が別に定める運賃料金表で決まり、営業所などの店頭に掲示し、ウェブサイトにも載せることがあります(第18条)。当日に言われた額が料金表のどこに当たるかを尋ねると、額の根拠を確かめられます。
当日に受け取る請求書も、見積書の中身に沿って書き、見積もりのあとに変わった所があれば、その分を直して書く決まりです(第19条第3項)。追加の額を言われたら、見積書と同じように、内訳を分けて書いた請求書をもらいます。
支払いは、荷物を受け取るときが基本
約款では、業者は荷物を受け取るとき(積み込みのとき)に、見積書に書いた支払方法で運賃等を受け取るとしています(第19条第1項)。荷物を届けたあとに払うことを認める場合もあります(同条第5項)。
当日に追加を言われるのは、払う時と重なることがあります。払う前に、見積書のどの条件が変わったのかを聞いておくと、あとで食い違いを示せます。
追加料金がかかる作業と、額の目安
当日に追加になるのは、トラックや人手、時間を足す必要が出たときと、頼み足した作業の分です。額は業者・距離・時期で変わり、次の表は目安です。実際の額は、その業者の料金表で決まります。
| 追加になるもの | 額の目安 | 額を左右すること |
|---|---|---|
| トラックの追加・往復 | 1万5,000〜5万円程度 | 車の大きさ・距離 |
| 荷造りの手伝い | 作業員1人で数千円から | 人数と時間 |
| エアコンの取り外し・取り付け | 1台1万5,000〜4万円程度 | 配管・高所の作業 |
| 段ボールの追加 | 有料になる場合がある | 新品か中古か |
| 横持ち・吊り作業 | 業者の料金表による | 距離・機材・階数 |
横持ちは、トラックを家の前に止められず、離れた所から手や台車で運ぶ作業です。窓やベランダから吊って入れる作業は、機材や人手が要るので、1点で数万円になることもあります。
エアコンの工事は、別の業者が行うことがある
国民生活センターの資料では、エアコンの脱着やピアノの運送などの附帯サービスは、外部の事業者に委託することが多いとしています。そのうえで、作業の中身や費用、追加の料金に疑問があれば、引越事業者に確かめるよう呼びかけています。
同じ資料には、見積もりのときに当日の脱着の費用や高所作業の費用の説明が無く、引っ越しの当日に約2万円の追加を払った相談が載っています。工事ごとの追加の目安は、エアコンの取り付け工事費の記事にあります。持っていくか買い替えるかの比べ方はエアコンの移設費用にあります。
当日に追加料金を言われたら、その場ですること
作業が始まる前か、払う前に、次のことを担当者に確かめます。現場の作業員で分からないときは、作業の責任者や、見積もりをした担当者に電話でつないでもらいます。
- 何に、いくらか:増えた品、足すトラックや作業員の数、時間と、それぞれの額
- 見積書のどの条件が変わったか:荷物の量、道や駐車の場所、作業の内容のどれか
- 原因はどちらの側か:自分が伝えていなかったのか、業者が下見で見誤ったのか
- 書面でもらえるか:額と理由を、請求書やメールで残してもらう
自分の側の事情なら、額を確かめてから追加を頼むかを決めます。業者が下見で道や荷物を見ていたのに見誤ったときは、下見の日と見積書の内容を示して、額の見直しを求めます。
署名と支払いの前に、残しておくこと
作業の終わりに書類への署名を求められたら、納得していない点があることを伝え、その点を書き添えてから署名するかを決めます。荷物を積みきれずに残したまま署名し、あとで納得できなかったという相談も、国民生活センターに寄せられています。
払ったときは、内訳の分かる請求書と領収書を受け取ります。担当者の名前、話した時刻と中身をメモし、積めなかった荷物があれば写真を撮っておきます。
当日にやめると、解約手数料がかかることがある
追加の額に納得できずに当日やめたり延ばしたりすると、原因が依頼した人の側にあれば、当日の解約手数料(見積運賃等の50%以内)がかかる場合があります。先に、追加になる荷物を外して運べないかを相談します。解約手数料と延期の決まりは、引っ越しのキャンセル料はいつから?にまとめています。
追加料金を防ぐために、見積もりの前と後にすること
追加料金は、見積もりのときの条件と、当日の様子が食い違うと出ます。食い違いを減らすために、見積もりの前と後で次のことをしておきます。
- 訪問の見積もりにする:オンラインや電話の見積もりでは、荷物の量や運び出す経路を自分で正しく伝える必要があり、不安なときは訪問の見積もりにする
- 収納の中まで見せる:押し入れや物置、ベランダの物、自転車も、運ぶ物として伝える
- 運ぶか迷う物も伝える:減れば額が下がる決まりがあり、当日に増えるより防ぎやすい
- 道と建物の様子を伝える:家の前の道幅、トラックを止める場所、エレベーターの有無、搬入口の決まり
- 大きな家具・家電を測る:新居の玄関・廊下・階段を通るかを、見積もりの前に確かめる
- 頼む作業は見積もりで決める:エアコン・洗濯機・不用品の引き取りを見積書の作業内容に入れてもらう
- 見積書を書面で受け取る:合計額と内訳が書いてあるかを見る
業者は受取日の3日前までに、見積書の内容に変わりがないかを確認する決まりです(第3条第7項)。荷物が増えたときや、頼む作業を足したいときは、その連絡を待たずに早めに伝え、追加の額を先に聞いておきます。
荷造りは、作業員が来る前に終わらせておきます。運送に向かない荷造りのときは、業者が荷造りを求めるか、依頼した人の負担で荷造りをすることがあります(第7条第2項)。段ボールが足りなくなりそうなら、当日を待たずに業者に相談します。
自分の契約の約款を確かめる
トラック(緑ナンバー)の業者は、運送約款を定めて国土交通大臣の認可を受けることになっていて、標準引越運送約款と同じ約款にした業者は、認可を受けたものとみなされます(貨物自動車運送事業法 第10条)。業者は見積もりのときに約款を示すことになっています(第3条第6項)。
- 自社の約款の業者:受け取った約款で、見積もりより額を上げられる場合の条を見る
- 定額のパック:決まった容器で定額で運ぶ運送などは、この約款によらないと先に告げられていれば、標準引越運送約款は使われない
- 軽トラックの業者:黒ナンバーの業者には標準貨物軽自動車引越運送約款があり、見積もりを超える修正の条件は同じ
- 特約:約款は、法令に反しない範囲で特約に応じることがあるとしている
定額のパックは、決まった容器に収まらない荷物を運べないことがあります。容器の大きさと、収まらないときの扱いを、申し込みの前に聞いておきます。
納得できないとき・もう払ってしまったとき
まず、請求の根拠を業者に尋ねます。見積書の内訳、約款の第19条、料金表を並べて、どの条件が変わったとして、どの額を足したのかを書面で示してもらいます。
業者との話で決着しないときは、消費者ホットライン188に電話すると、最寄りの消費生活センターなどの窓口を案内してもらえます。京都府消費生活安全センターの頁にも、当日に作業を頼み足して見積額を上回って請求された相談が載っています。
国民生活センターの相談事例には、追加料を払ったあとに返金を求めたら、払った時点で承諾したと言われたものがあります。払う前に相談できるときは、払う前に188に電話します。払ったあとでも、相談はできます。
電話の前に、見積書・約款・請求書・領収書と、業者とのメールやメモ、写真をそろえておきます。誰がいつ何を言ったかを示せると、相談員が状況をつかみやすくなります。
当日に払った追加の額は、家計簿では見積もりの額とは別の行に書いておきます。次に引っ越すとき、どの作業を最初から頼むかを決める手がかりになります。
よくある質問
Q段ボールが少し増えただけでも、追加料金になりますか
約款の上では、増えた荷物で見積もりの土台が変わったかどうかで決まります。少しの箱なら追加を求めない業者もありますが、トラックに載りきらないほど増えると、車の追加や往復の額がかかることがあります。
Q電話やネットの見積もりでも、見積もりの額は守られますか
訪問しない見積もりでも見積書は出され、見積もりを超える修正の条件は同じです。ただし、荷物の量や経路を伝えるのは依頼した人なので、伝えた中身と当日の様子が違えば、依頼した人の側の事情として追加になる場合があります。
伝えた荷物の一覧や写真、道の様子は、メールなどで残しておきます。当日に食い違ったとき、何を伝えていたかを示せます。
まとめ
- 当日に言われた追加料金は、そのまま払うとは限らない。標準引越運送約款では、見積もりを超えて請求できるのは、依頼した人の責任で見積もりの土台が変わったときに限る(第19条第4項第二号)
- 伝えていない荷物の増え・伝えた道との違い・当日に頼み足した作業は、追加がかかる
- 業者が下見で量や道を見誤っただけなら、約款の上で見積もりを超えて額を直す条件に当たらない
- 実際の額が見積もりより少ないときは、実際の額に直る(第19条第4項第一号)
- 額の根拠は、見積書の内訳と業者の料金表。追加は、何にいくらかを書面でもらう
- 署名と支払いの前に、納得していない点を伝えて残す
- 防ぐには、訪問の見積もり・収納の中まで見せる・道と建物の様子を伝える・作業は見積もりで頼む・3日前までの確認で変更を伝える
- 自社の約款・定額のパック・軽トラックの業者は、受け取った約款で確かめる
- 納得できないときは、根拠を尋ね、消費者ホットライン188へ
見積書の内訳と、当日に言われた理由を並べて、どの分を払うかを見分けられました。追加の額と理由を書面でもらってから決めます。
この記事で参照した公的情報
- 標準引越運送約款(平成二年運輸省告示第五百七十七号・最終改正 令和七年国土交通省告示第百九十三号)第1条(一般貨物自動車運送事業による引越運送と附帯するサービスに適用・定型の容器を用いて定額で行う運送などで、この約款によらない旨をあらかじめ告知した場合は適用しない・法令に反しない範囲で特約の申込みに応じることがある)・第3条(見積書に運賃等の合計額・内訳・支払方法、作業内容、解約手数料の額などを記載・運賃等の内容ごとに区分して記載・見積料は請求しない・見積り時に約款を提示・受取日の三日前までに見積書の記載内容の変更の有無等を確認)・第7条(荷造りが運送に適さないときは必要な荷造りを要求し、又は荷送人の負担で荷造りを行う)・第18条(運賃及び料金は当店が別に定める運賃料金表による・店頭に掲示し又はウェブサイトに掲載・申し込みを受けた附帯サービスを行ったときは料金を収受)・第19条(荷物を受け取るときに見積書の支払方法で収受・請求書は見積書に準拠し、変更が生じた場合は修正・実際の額が見積運賃等の合計額より少ない場合は実際の額に修正・超える場合は荷送人の責任による事由により見積運賃等の算出の基礎に変化が生じたときに限り修正)・第21条(受取日の当日の解約手数料は見積運賃等の五十パーセント以内)
- 窓口
- 国土交通省
- 確認日
- 確認先
- https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001881518.pdf
- 標準貨物軽自動車引越運送約款(平成十五年国土交通省告示第百七十二号・最終改正 令和六年国土交通省告示第二百十号)第19条(見積書に記載した運賃等を超える修正は、荷送人の責任による事由により見積運賃等の算出の基礎に変化が生じたときに限る=標準引越運送約款と同じ)
- 窓口
- 国土交通省
- 確認日
- 確認先
- https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001733389.pdf
- 貨物自動車運送事業法 第10条(一般貨物自動車運送事業者は運送約款を定めて国土交通大臣の認可を受ける・標準運送約款と同一の運送約款を定めたときは認可を受けたものとみなす)
- 窓口
- e-Gov 法令検索
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000083
- 引越トラブルにご注意(報道発表資料・令和8年2月4日:見積り時にエアコンの脱着作業の当日費用や高所作業の追加費用の説明がなく、当日に約2万円の追加料を支払い、返金を求めたが支払った時点で承諾していると言われた相談・荷物がトラックに乗りきれず積み残され、作業終了の書類に署名した相談・オンライン等の見積りでは荷物量や搬入経路を正しく申告する必要がある・不安な場合は訪問による見積り・附帯サービスは外部の事業者に委託することが多い・約款や見積書を読み疑問点は事前に確認・消費者ホットライン188)
- 窓口
- 独立行政法人国民生活センター
- 確認日
- 確認先
- https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20260204_1.pdf
- 各種相談の件数や傾向「引越サービス」(作業中の破損・紛失や料金に関する相談・大きすぎるとベッドの運搬を断られたうえ追加料金を請求された事例)
- 窓口
- 独立行政法人国民生活センター
- 確認日
- 確認先
- https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/hikkoshi.html
- 引っ越しをするときの注意点(当日にクーラーの取り外し・不要品の引き取りを依頼して車両を追加し、見積額を上回って請求された相談・電話の見積りより高い請求書の相談・運賃等の合計額とその内訳等を記載した見積書を書面で受け取る)
- 窓口
- 京都府消費生活安全センター
- 確認日
- 確認先
- https://www.pref.kyoto.jp/shohise/15400192.html
