塾の中途解約で返金はいくら?|返ってくる額の計算と、授業の前・後の解約料の上限、月謝制・講習のとき

塾の契約を途中でやめたときに返ってくる額は、「先に払った額−受けた授業の分−解約料」で出します。期間が2か月を超え、金額が5万円を超える塾の契約なら、塾が求められる解約料には上限があります。
塾の解約料の上限は、授業が始まる前にやめるなら1万1,000円、始まったあとなら2万円か1か月分の授業料の低いほうです。契約の書面を受け取って8日以内なら、クーリング・オフで払った額の全部が戻ります。
1か月ごとに更新する月謝制の塾や、2か月以下の講習だけの契約は、この上限の外で、原則として塾の規約で決まります。その場合の考え方は、月謝制の塾・講習だけの契約の節にあります。
塾を途中でやめたいのですが、先にまとめて払った授業料がいくら戻るのか、計算のしかたが分かりません。塾の言う解約料が正しいのかも、確かめ方が分かりません。
返ってくる額の早見
次の表は、期間が2か月を超え、金額が5万円を超える塾の契約を、いつやめるかで分けた、塾が求められる額の上限と返ってくる額です。
| やめる時 | 塾が求められる上限 | 返ってくる額 |
|---|---|---|
| 書面から8日以内 | 0円 | 払った額の全部 |
| 授業が始まる前 | 1万1,000円 | 払った額−1万1,000円 |
| 授業が始まったあと | 受けた分+解約料 | 払った額−上限 |
| 月謝制・短い講習 | 塾の規約による | 規約しだい |
授業が始まったあとの解約料は、2万円と、その契約の1か月分の授業料を比べた低いほうです。1か月分が1万6,000円なら1万6,000円、2万4,000円なら2万円になります。
塾がこの上限を超えるお金をすでに受け取っているときは、超えた分を返さなければなりません。塾が求められるのは上限の額に法定利率による遅延損害金を足した額までで、これより不利な特約は無効です。
返金の計算のしかた
自分の契約で返ってくる額は、契約の書面を見ながら、次の順で出します。
- 払った額:前払いした授業料・入学金・教材費などの合計
- 受けた授業の分:やめるまでに受けた授業の対価
- 解約料:始まる前は1万1,000円、始まったあとは2万円か1か月分の低いほう
- 返ってくる額:払った額から、受けた分と解約料を引いた残り
受けた授業の分は、契約の書面の「中途解約」や精算の項に書かれたしかたで出します。書面の出し方で計算した解約料が上の上限を超えていても、塾が求められるのは上限までです。

例として、10か月の講座の授業料24万円(月2万4,000円)を先に払い、4か月受けてやめたとします。受けた授業の分は9万6,000円、解約料は2万円と2万4,000円の低いほうで2万円です。
塾が求められるのは合わせて11万6,000円までなので、返ってくる額は24万円から引いて12万4,000円です。同じ24万円を払って授業の前にやめたなら、1万1,000円を引いた22万9,000円が戻ります。
図と例の額は、置いた前提で計算したものです。実際の額は、自分の契約の授業料と、受けた月数や回数に置き換えます。
入学金や初めの費用は
授業が始まったあとにやめたときの入学金(入会金)は、消費者庁の特定継続的役務提供のQ&Aでは、基本的にはこの精算の決まりに従って返すべき性格のものとされています。「入学金は返さない」とだけ決めた特約は無効です。
ただし、入会の手続きなどの初めの費用は、契約の書面に具体的な中身と、やめたときに求めることが書かれていれば、受けた授業の分に含めて求められることがあります。いくら求められるかは、契約ごとに違います。
教材も一緒にやめられる
塾の授業を受けるために買う必要がある教材は、法律で「関連商品」とされ、塾の契約をやめるときに一緒に解約できます。施行令が塾の関連商品として決めているのは、書籍、音や映像、プログラムを記録した物、ファクシミリとテレビ電話の装置です。
関連商品は、契約の書面に、買う必要があるものとして書かれている物です。書面に無い「すすめられて買った物」は、関連商品に当たらず、一緒の解約の対象になりません。
教材を返したときは、通常の使用料に当たる額を求められることがあり、書き込みなどで値打ちが下がったときは、下がった分が上限になることもあります。返さないときは、販売の値段に当たる額までです。
中途解約の決まりが使える塾の契約
上限の決まりが使えるのは、特定商取引法の「特定継続的役務提供」に当たる塾の契約です。次の3つがそろうと当たります。
- 塾の形:塾が用意した教室などで、小・中・高校生などに受験の対策や学校の補習を教える
- 期間:契約の期間が2か月を超える
- 金額:入学金・授業料・教材費などを足した総額が5万円を超える
期間も金額も、法律の言葉は「超える」です。ちょうど2か月の契約や、総額がちょうど5万円の塾の契約は当たりません。
個別指導の塾も、教室に通って習う形なら、法律の上では学習塾に当たります。インターネットや電話で受ける授業も特定継続的役務提供に含まれますが、塾が用意した場所の外で受ける形は、家庭教師の区分になるとされます。
小学校や幼稚園に入るための受験の対策と、浪人生だけのコースは、法律の学習塾に入りません。高校生と浪人生が一緒のコースは、全体として対象になります。浪人の1年にかかる予備校・受験・暮らしの費用は、浪人の費用は1年でいくら?にあります。
家庭教師の区分は塾とは上限の額が違い、始まる前は2万円、始まったあとは5万円か1か月分の低いほうです。塾の上限で計算しないように、どちらの契約かを書面で確かめます。
月謝制の塾・講習だけの契約
1か月ごとに更新する月謝制の塾は、期間が2か月を超えないので、原則としてこの上限の決まりの外です。この場合の返金は、塾の規約と話し合いで決まります。
ただし、月謝制でも、授業に要るとして教材を売り、実際には2か月を超えて契約に縛られるときは、決まりが使える場合があります。契約書に「1年契約」とある場合なども、当たると判断される可能性があります。
退塾の申し出の締め切りを規約で決めている塾では、締め切りを過ぎてから申し出ると、翌月分の月謝を求められることがあります。月謝制の塾は、やめたい月の前に規約の締め切りを確かめておきます。
夏休みなどの講習だけを申し込み、期間が2か月以下のときも、この上限の決まりは使えません。埼玉県の相談の事例には、4週間・8万円の講習を始まる前に断り、規約を理由に返金を断られたものがあります。
決まりの外の契約でも、消費者契約法は、解約のときの損害賠償の額の予定や違約金の定めのうち、同じ種類の契約の解除で塾に生じる平均的な損害の額を超える部分を無効としています。不利すぎる解約の条件は、無効になることがあります。
ピアノやスイミングなど、塾以外の習い事は上限の決まりが違います。月の途中でやめたときの月謝は、習い事を月の途中でやめたときの月謝で確かめられます。
クーリング・オフは書面から8日
期間が2か月を超え、金額が5万円を超える塾の契約は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面か電磁的記録でクーリング・オフができます。教材などの関連商品も、あわせて解除できます。
クーリング・オフでは、塾は解約料も違約金も求められず、すでに受けた授業の分も求められません。受け取っていたお金は、速やかに返さなければなりません。
通知は、書面なら特定記録郵便・書留・内容証明郵便などで送ります。メールなら送ったメールを、クーリング・オフ専用の画面なら画面を写したものを残し、通知した証拠にします。
8日は、法律で決められた書面を受け取った日から数えます。塾が解除について事実と違うことを言ったり、おどしたりしたせいで8日を過ぎたときは、過ぎたあとでもクーリング・オフができます。
返金されないと言われたとき
塾から「返金はしない」「解約料は2か月分」などと言われたら、次の順で確かめます。
- 契約の期間と総額が、2か月・5万円を超えているか
- 契約の書面の中途解約と精算の項に、何が書かれているか
- 書面の受け取りから8日以内か
- 上の計算で出した額と、塾の言う額が違うか
塾は、契約をやめるのを妨げるために、事実と違うことを言ったり、おどして困らせたりしてはいけません。やめると伝えた日と中身は、書面やメールで残しておくと、あとで確かめられます。
塾の言う額に納得できないときや、自分の契約が当たるか分からないときは、消費者ホットライン(188)に電話すると、近くの消費生活センターなどの窓口を案内してもらえます。契約の書面と領収書を手元に置いてから電話します。
法律に照らして解除や返金ができないかを確かめたいときは、弁護士に相談する道もあります。クーリング・オフの期間を過ぎていても、決まりの外の理由で返金を求められないかを見てもらえます。
家計簿での書き方
前払いした塾代を払った月に書いていたら、返金を受けた月に、同じ「教育」の中の塾代の行に、戻った額を差し引いて書きます。解約料は、塾代の一部として残します。
授業料を月ごとに分けて予算に入れていたなら、やめた月より後の予算の行を消します。次の塾や講習を探すときは、解約の条件と精算のしかたを、払う前に書面で確かめておきます。
まとめ
- 塾を途中でやめたときに返ってくる額は「先に払った額−受けた授業の分−解約料」
- 期間2か月・金額5万円を超える塾の契約では、解約料の上限は、授業の前が1万1,000円、授業のあとが2万円か1か月分の授業料の低いほう
- 書面を受け取って8日以内ならクーリング・オフで、払った額の全部が戻る
- 入学金を返さないとだけ決めた特約は無効で、関連商品の教材も一緒に解約できる
- 月謝制の塾と2か月以下の講習だけの契約は、原則として塾の規約で決まる
- 納得できないときは、消費者ホットライン(188)で近くの消費生活センターを案内してもらえる
この記事で参照した公的情報
- 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」(いわゆる学習塾=役務提供事業者が用意する場所で提供される入学試験・学校教育の補習のための学力の教授・2月を超えるもの・入学金、受講料、教材費、関連商品の販売など契約金の総額が5万円を超えるもの・浪人生のみのコースは対象外・ファックスや電話、インターネット、郵便等で行われる場合も含む・クーリング・オフは法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内・中途解約の上限=役務提供開始前は1万1000円、開始後は提供された役務の対価に2万円又は1か月分の授業料相当額のいずれか低い額を足した額)
- 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供Q&A」(月謝制の学習塾は原則として規制を受けないが、教材を販売し契約の実態として政令で定める期間を超えて拘束される場合は規制を受ける場合がある・学習塾と家庭教師の違いは役務提供事業者が用意した場所で提供するか・個別指導塾も教室に通う形なら学習塾・開始後の中途解約で入学金、入会金は精算ルールに従って返還すべき性格で「入学金(入会金)は返還しない」等の特約は無効・初期費用は書面に具体的な内容と請求することを明示した場合に・関連商品と推奨品の違い・関連商品の通常の使用料)
- 特定商取引に関する法律 第41条(特定継続的役務提供の定義)・第44条(禁止行為)・第48条(書面を受領した日から起算して八日を経過したときを除き、書面又は電磁的記録により解除できる・損害賠償、違約金、役務の対価を請求できない・受領した金銭は速やかに返還)・第49条(中途解約と請求できる額の上限・関連商品販売契約の解除・不利な特約は無効)/2027-07-22 施行の版まで4つの条の文は今の版(2026-08-12 施行)と同じ(2026-10-14 に e-Gov の版一覧で確認)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
- 特定商取引に関する法律施行令 第24条(期間は別表第四の第二欄・金額は五万円)・第30条・第31条・別表第四 五の項(入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授で、役務提供事業者が用意する場所において提供されるもの・期間 二月・解除によつて通常生ずる損害の額 二万円又は一月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額・契約の締結及び履行のために通常要する費用の額 一万一千円)・別表第五 三(関連商品=書籍、音・影像・プログラムを記録した物、ファクシミリ装置及びテレビ電話装置)(2026-06-01 施行の版・未施行の版なし)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/351CO0000000295
- 消費者契約法 第9条第1項第1号(解除に伴う損害賠償の額の予定・違約金の条項のうち、同種の消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効)/2028-12-23 施行の版も同じ文(2026-10-14 に e-Gov の版一覧で確認)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061
- 学習塾 退会・特別講習のキャンセルで解約トラブルに(月謝制の学習塾は1か月ごとの契約更新と捉えられ基本的には該当しない・実態として2か月以上の契約なら該当と判断される可能性・該当しない場合は原則として学習塾の規約に従い当事者間で話し合う・あまりにも不利な解約条件は無効になるケース)
- 窓口
- 埼玉県(消費生活支援センター)
- 確認日
- 確認先
- https://www.pref.saitama.lg.jp/b0304/shohisoudan/jirei/manabu_asobu/20220225.html
- 消費者ホットライン(188=地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内)
