生命保険の告知義務違反はバレる?どうなる?|解除・支払われない場合と2年・5年の期間、気づいたときにすること

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生命保険の告知義務違反は、保険金や給付金を請求したときに出す診断書や、本人の同意を得て行う医療機関への確認などから分かることがあります。故意または重大な過失で事実を告げなかったとされると、契約が解除され、保険金・給付金を受け取れないことがあります。

ただし、告げなかった事実と関係のない原因で起きた保険事故なら、保険金は支払われます。保険法では、解除できるのは保険会社が解除の原因を知った時から1か月以内で、契約の締結の時から5年を過ぎると解除できません。生命保険会社は約款で、この期間を責任開始日から2年などに縮めています。

書き忘れに気づいたときは、保険会社に連絡して告知をし直すのが先です。すでに解除や不払いの通知を受けた人は、理由を書面で受け取り、生命保険協会の生命保険相談所に相談することもできます。

入るときの告知書に通院のことを書かなかった場合、保険会社に分かるものなのかが分かりません。分かったら保険金が出ないのかも心配です。

自分の状況から、どうなるかを見分ける

告知義務違反になるか、なったらどうなるかは、告げなかった理由と、契約からの期間と、保険事故の原因で分かれます。次の表は、状況ごとに、起こりうることと次にすることを並べたものです。

いまの状況 起こりうること 次にすること
書き忘れに気づいた 解除の対象になりうる 保険会社に告知し直す
営業職員に書かなくてよいと言われた 解除できない場合がある いきさつを書き残す
責任開始日から2年以内 解除・不払いがありうる 約款の条項を確かめる
2年を過ぎ、その間に保険事故なし 約款では解除しない例 約款の条項を確かめる
告げなかった病気と別の原因 保険金は支払われる 請求の書類を出す
重い病気を故意に隠した 詐欺で取消のことも 保険会社に申し出る
解除されて納得できない 理由の説明を受ける 生命保険相談所に相談

表は目安です。解除できる期間や手続きは約款で決まっている部分があるので、保険証券と「ご契約のしおり・約款」で、自分の契約の告知義務違反の条項を確かめます。

告知義務は、聞かれたことに事実を答える義務

保険法第37条では、生命保険の契約者か被保険者になる人は、保険事故が起きる可能性に関わる重要な事項のうち、保険会社が告知を求めたことについて、事実を告げなければならないと定めています。聞かれていないことまで自分から伝える義務ではありません。

聞かれる中身は会社と商品で違い、最近の通院や投薬、過去の入院・手術、健康診断で指摘されたこと、職業などが告知書に並びます。質問ごとに「過去〇年以内」のように期間が区切られているので、その期間に当てはまるかを1問ずつ確かめて答えます。

告知する相手は、保険会社と保険会社が指定した医師

生命保険文化センターの案内では、告知する相手は生命保険会社(告知書)か、生命保険会社が指定した医師です。営業職員や代理店の担当者、生命保険面接士に口頭で伝えても、告知したことにはなりません。

担当者に病気のことを話したから大丈夫、とは言えないということです。迷う質問があれば、告知書に書くか、告知の専用の窓口を用意している保険会社ならそこに聞いて決めます。

告知義務違反になるのは、故意か重大な過失のとき

保険法第55条では、告知事項について故意または重大な過失で事実を告げなかったり、事実と違うことを告げたりしたとき、保険会社は契約を解除できると定めています。医療保険などの傷害疾病定額保険も、第84条に同じ定めがあります。

うっかりの書き忘れが重大な過失に当たるかは、病歴の内容や、告知書で聞かれていたこととの関係で変わります。うっかりだから大丈夫と自分で決めず、気づいた時点で保険会社に確かめます。

一方で、次の場合は、保険会社は解除できません。第55条第2項に並ぶのは、この3つです。

  • 契約の締結の時に、保険会社がその事実を知っていたか、過失で知らなかったとき
  • 営業職員や代理店などの保険媒介者が、告知を妨げたとき
  • 保険媒介者が、告知をしないことや事実と違う告知を勧めたとき

ただし、保険媒介者の妨げや勧めがなくても事実を告げなかったと認められる場合は、2つめと3つめは当てはまらず、解除できます。担当者に書かなくてよいと言われたときは、いつ・誰に・何と言われたかを書き残しておきます。

告知義務違反は、どこで分かるのか

告知の中身は、保険金や給付金を請求したときに確かめられることがあります。請求のときに出す診断書や入院証明書に病名や経過が書かれ、加入前からの通院が分かる場合があるためです。

保険会社は、本人の同意を得たうえで、医療機関に受診の内容や経過を照会することもあります。告知書に「通院なし」と答えていても、照会でそれより前の受診が分かれば、告知との食い違いになります。

生命保険協会の照会の制度で分かること

生命保険協会の「支払査定時照会制度」では、保険金などの請求があったとき、各社が生命保険協会を通じて、ほかの会社の契約の情報を照会することがあります。照会されるのは契約日や保険金額、入院日などで、請求の傷病名が照会されることはないと書かれています。

「契約内容登録制度」でも、申込みがあると契約の内容が生命保険協会に登録され、同じ人の申込みや請求の判断の参考にされます。登録されるのは氏名や保険金額、入院給付金の日額、契約日などで、病名は登録事項にありません。登録の期間は契約日などから5年間です。

告知義務違反が分かったら、どうなるか

契約・特約が解除され、保険金・給付金を受け取れないことがある

保険会社が告知義務違反を理由に契約を解除すると、契約はその時から先がなくなります(保険法第59条)。保険会社は、解除がされた時までに起きた保険事故についても、保険金を支払う責任を負いません。

生命保険文化センターの案内では、主契約だけでなく特約が解除されることもあります。解除されると、その後に入院したり亡くなったりしても、その契約からは保険金・給付金は出ません。

告げなかった事実と関係のない原因なら、支払われる

同じ第59条には、告げなかった事実に基づかずに起きた保険事故は、支払う責任を負わないものから外すというただし書があります。告知義務違反があっても、保険事故の原因が告げなかった病気と関係なければ、保険金は支払われます。

例として、腰の痛みでの通院を告知しなかった人が、契約の後に交通事故でけがをして入院した場合は、告げなかった事実と関係のない原因として、給付金を受け取れる場合があります。例なので、自分の請求がどちらに当たるかは、保険会社の説明で確かめます。

解除できる期間は、保険法は5年・約款は2年の例

保険法第55条第4項では、解除する権利は、保険会社が解除の原因を知った時から1か月使わなければ消え、契約の締結の時から5年を過ぎたときも消えます。生命保険文化センターの案内では、生命保険会社は約款で、責任開始日から2年を超えて有効に続いた契約は解除できないと緩和しています。

次の表は、契約からの期間ごとに、保険法と約款の例で解除できるかを並べたものです。復活した契約では、約款の期間を復活日から数えます。

経った期間 保険法 約款の例
責任開始日から2年以内 解除できる 解除できる
2年を過ぎ5年以内 解除できる 原則は解除しない
締結の時から5年を過ぎた 解除できない 解除できない

約款で2年を過ぎていても、保険金を払う理由(支払事由)が2年以内に起きていた場合は、解除されることがあります。また、保険会社が解除の原因を知った時から1か月を過ぎると、2年以内でも解除できなくなります。

重い隠し方は、詐欺として取り消されることがある

生命保険文化センターの案内では、告知義務違反の中身が特に重大な場合、詐欺による取消を理由に保険金・給付金が支払われないことがあります。この場合は、約款の2年を過ぎた契約も取り消されることがあります。

保険法第64条では、詐欺を理由に取り消した場合、保険会社は払い込まれた保険料を返す義務を負いません。うそで保険金を受け取ろうとしたときは、刑法第246条の詐欺罪(10年以下の拘禁刑)が問題になることもあります。

解除のときに戻るお金は、約款で確かめる

告知義務違反で解除されたときに、解約返戻金のような払い戻しがあるか、あればいくらかは、約款で決まります。すでに受け取った保険金・給付金の扱いも含めて、解除の通知を受けたら書面で説明を求めます。

保険法の告知の定めは、解除できる期間の定めを除き、契約者に不利な約款の定めを無効とする片面的強行規定です。約款が法律より厳しい扱いを書いていないかも、説明を受けるときに確かめられます。

告知を間違えた・書き忘れたと気づいたら

生命保険文化センターの案内では、病歴の告知を忘れていたと気づいたら、生命保険会社に連絡して、改めて告知をし直す必要があります。営業職員に伝えるだけでは告知にならないので、保険会社の正規の手続きで出し直します。

連絡する前にそろえるもの

告知し直すときは、何をいつ告げなかったのかを、記録で確かめてから伝えます。手元にあるものを先にそろえておくと、聞かれたことにその場で答えられます。

  • 保険証券(証券番号・契約日)と、告知書の控え
  • 通院した医療機関の名前、受診した時期、病名
  • お薬手帳か、薬の名前と飲んでいた期間
  • 健康診断の結果と、指摘された項目

保険会社に聞くこと

告知し直したあとの扱いは、告知の中身や健康状態をもとに保険会社が決めます。電話や窓口で、次のことを聞いて、答えをメモか書面で残します。

  • 告知し直す書類と、出す先
  • 告知し直したあと、契約や特約はどう扱われるか
  • 保険料や保障の条件が変わるか
  • 判断が出るまでの間に請求するときの扱い

告知し直さずに置いておくと、保険金や給付金が必要になったときに受け取れないことがあります。2年を過ぎるのを待つより、気づいた時点で伝えるほうが、自分の契約の扱いを早く確かめられます。

解除や不払いに納得できないとき

告知義務違反を理由に解除や不払いの通知が来たら、まず理由を書面で受け取ります。どの告知事項の何が違っていたとされたのか、保険事故の原因とどう関係するとされたのかを確かめます。

告知を止められた、保険会社がすでに知っていた、関係のない原因だ、と考えるときは、根拠をそろえて保険会社の本社の相談窓口に伝えます。生命保険協会の案内でも、営業職員や代理店とのやりとりで解決できないときは、まず加入している保険会社の本社の相談窓口に相談するよう書かれています。

生命保険相談所と裁定審査会

それでも解決しないときは、生命保険協会の生命保険相談所に相談できます。生命保険の相談・照会・苦情を受け付けていて、電話の受付は9時から17時で、土・日曜、祝日と12月29日から1月3日は休みです。

相談所が苦情を受けて保険会社に解決を頼んでから、原則として1か月たっても解決しないときは、生命保険協会の裁定審査会に申し立てられます。中立・公正な立場で、紛争の解決を支援する手続きです。

持病があって、入れるか不安なとき

持病や通院歴があっても、正しく告知したうえで、特定の部位や病気を保障の対象から外すといった条件付きで契約できる場合があります。断られた場合も、告知の項目が少ない保険を扱う生命保険会社があります。

生命保険文化センターの案内では、告知や診査のない「無選択型」や、告知の項目が少ない「引受基準緩和型」「限定告知型」の保険があります。通常の終身保険より保険料が割高で、一般に契約後一定期間内の病気による死亡は受け取る額が制限されているので、まず通常の保険に入れるかを確かめます。

よくある質問

Q5年・10年たてば、解除されませんか

保険法では、契約の締結の時から5年を過ぎると、告知義務違反を理由に解除する権利は消えます。ただし、詐欺による取消は告知義務違反による解除とは別の扱いなので、年数だけで支払われるとは言えません。

Q住宅ローンの団体信用生命保険にも告知義務はありますか

団体信用生命保険も生命保険なので、加入のときに健康状態の告知があります。告知義務違反で保険金が出ないと、住宅ローンの残りを返し続けることになります。団信と審査の関係は住宅ローンの審査に落ちたときにあります。

Q失効した保険を復活するときも告知は要りますか

復活には告知か診査が要り、約款の2年は復活日から数えます。復活の条件は生命保険料が払えない・遅れたらにまとめました。

まとめ

  • 告知義務は、保険会社が告知書などで聞いたことに、事実を答える義務(保険法第37条)
  • 故意または重大な過失で告げなかったとされると、契約・特約が解除され、保険金・給付金を受け取れないことがある
  • 告げなかった事実と関係のない原因の保険事故なら、保険金は支払われる(保険法第59条のただし書)
  • 解除できるのは、知った時から1か月以内で、締結の時から5年まで。約款では責任開始日から2年に縮めている例がある
  • 重い病気を故意に隠したときは、2年を過ぎても詐欺として取り消され、保険料も戻らないことがある
  • 書き忘れに気づいたら、保険会社に連絡して告知し直す。営業職員に口頭で伝えるだけでは告知にならない
  • 解除に納得できないときは、本社の相談窓口のあと、生命保険協会の生命保険相談所へ

この記事で参照した公的情報

  1. 保険法 第37条(告知義務=保険契約者又は被保険者になる者は、危険に関する重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたもの(告知事項)について、事実の告知をしなければならない)・第55条(告知義務違反による解除=告知事項について、故意又は重大な過失により事実の告知をせず、又は不実の告知をしたときは解除できる・締結の時に保険者が事実を知り又は過失によって知らなかったとき、保険媒介者が告知を妨げたとき、告知をしないこと等を勧めたときは解除できない(媒介者の行為がなくても告知をしなかったと認められる場合を除く)・解除権は解除の原因があることを知った時から1箇月間行使しないとき、締結の時から5年を経過したときに消滅)・第59条(解除は将来に向かってのみ効力を生ずる・解除がされた時までに発生した保険事故に関し保険給付を行う責任を負わない。ただし、告知しなかった事実に基づかずに発生した保険事故については、この限りでない)・第64条(詐欺又は強迫を理由として取り消した場合は保険料を返還する義務を負わない)・第84条・第88条(傷害疾病定額保険契約の同じ定め)(2020-04-01 施行の版・未施行の版は無い)
    窓口
    e-Gov 法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/420AC0000000056
  2. 刑法 第246条(詐欺=人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する)(2026-05-21 施行の版・未施行の版は無い)
    窓口
    e-Gov 法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045
  3. 病歴があったのに告知するのを忘れていたら?(生命保険会社に連絡して、改めて告知をし直す必要がある・告知する相手は生命保険会社(告知書)か指定した医師で、営業職員や代理店の担当者、生命保険面接士に口頭で告げても告知したことにはならない・故意または重大な過失による告知義務違反は、営業職員などから告知を妨げられたり、告知をしないことを勧められたときなどを除き、契約・特約が解除となり保険金・給付金が受け取れないことがある(告知義務違反となった事実と支払事由との間に因果関係が認められない場合は受け取れる)・責任開始日(復活の場合は復活日)から2年以内であれば解除できる・保険法は締結のときから5年、生命保険会社は約款で責任開始日から2年を超えて有効に継続したときは解除できないと緩和・2年を経過していても支払事由が2年以内に発生していた場合は解除されることがある・特に重大な場合は詐欺による取消を理由に支払われないことがあり、2年経過後の契約も取消となることがある)
    窓口
    公益財団法人 生命保険文化センター
    確認日
    確認先
    https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/146.html
  4. 保険法の概要 各論 1.告知制度(保険会社が告知を求めた事項に応答する義務・告知義務違反による解除と解除できない場合・解除の効力と因果関係・片面的強行規定=解除できる期間の規定を除き、保険法の規定より契約者に不利な約款の定めは無効)
    窓口
    公益財団法人 生命保険文化センター
    確認日
    確認先
    https://www.jili.or.jp/knows_learns/law/details.html
  5. 保険金や給付金が受け取れないのはどのような場合?(告知義務違反による解除の場合・生命保険会社指定の医師以外の職員は告知受領権を持っていない・告知の専用フリーダイヤルや告知サポート資料を用意している生命保険会社もある・重大事由による解除、詐欺による取消、不法取得目的による無効)
    窓口
    公益財団法人 生命保険文化センター
    確認日
    確認先
    https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/165.html
  6. 告知や医師の診査なしで契約できる生命保険とは?(無選択型・引受基準緩和型・限定告知型=通常の終身保険より保険料は割高・契約後一定期間内の病気による死亡時の受取額が制限されている・まずは通常の生命保険を契約できるかどうかを確認することが大切)
    窓口
    公益財団法人 生命保険文化センター
    確認日
    確認先
    https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/147.html
  7. 「支払査定時照会制度」について(保険金等の請求があった場合などに、生命保険協会を通じて各生命保険会社等が保険契約等に関する相互照会事項を照会する・請求に係る傷病名その他の情報が相互照会されることはない・お支払等の判断の参考とする目的に限る)
    窓口
    一般社団法人 生命保険協会
    確認日
    確認先
    https://www.seiho.or.jp/personal/assessment/
  8. 「契約内容登録制度・契約内容照会制度」について(保険契約等の申込みがあった場合に登録事項を生命保険協会に登録・同じ被保険者の申込みや請求があった場合にお引受けやお支払いの判断の参考とする・登録の期間は契約日等から5年間)
    窓口
    一般社団法人 生命保険協会
    確認日
    確認先
    https://www.seiho.or.jp/personal/contract/
  9. 生命保険相談所のご案内(生命保険に関する相談・照会・苦情を受け付ける・受付時間9:00〜17:00(土・日曜、祝日および12/29〜1/3を除く)・十分に話し合いをしても解決がつかない場合の裁定審査会=相談所が保険会社に解決を依頼した後、原則として1ヶ月を経過しても解決しない場合に申立てできる)
    窓口
    一般社団法人 生命保険協会
    確認日
    確認先
    https://www.seiho.or.jp/contact/about/

この記事を書いているのは

Mirai Kanaiは、家計を見えるようにすることを目的とした個人向けの家計簿サービスです。運営するMove for People株式会社は、家計が見えていないことが、使える制度を逃したり、対処が遅れたりする原因になっていると考えています。

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この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。特定の金融商品の推奨や、個別の投資判断に関する助言を行うものではありません。公的制度の要件・金額は変更される場合があり、自治体によって異なります。実際のご利用にあたっては、必ず公式の窓口でご確認ください。