犬の去勢手術の費用|手術料は中央値17,500円、検査・麻酔込みの例は39,500円。体の大きさでの違い、メスの避妊、市の補助

犬の去勢手術の費用は、日本獣医師会の調査(令和3年)の動物病院の料金の中央値で、体重10kgの犬の手術料が17,500円です。麻酔料を含まない額で、手術料を犬の体重で変える病院が83.5%ありました。
麻酔、手術の前の血液検査、初診料、抜糸を、同じ調査の中央値で足すと39,500円です。中央値どうしを足した計算の例なので、実際に払う額は、動物病院の見積もりで確かめます。
メスの犬の避妊手術は、手術料の中央値が27,500円で、入院1回分などを足すと53,500円の例になります。名古屋市のように、手術の費用を補助する市区町村もあります。
オスの子犬の去勢手術を考えていますが、手術料のほかに何がいくらかかるのかが分かりません。小型犬と大型犬で、どれくらい違うのかにも迷います。
犬の去勢の手術料は、体重10kgで中央値17,500円
額の出どころは、日本獣医師会が全国の動物病院の料金を聞いた調査です。調べたのは令和3年8月〜10月で、動物病院を開く獣医師1,096人の答えを、令和5年9月に公表しました。
料金は「15,000〜20,000円未満」のような幅から選ぶ形で、手術は麻酔料を含めずに聞いています。犬は体重10kgの料金で答えてもらい、犬の去勢手術の中央値は17,500円でした。
料金の幅の割合
犬の去勢手術の料金を、動物病院の答えの割合で並べると次のとおりです。
- 10,000〜15,000円未満:15.7%
- 15,000〜20,000円未満:26.1%
- 20,000〜25,000円未満:22.3%
- 25,000〜30,000円未満:14.5%
- 30,000〜40,000円未満:7.1%
1万5千円から2万5千円未満の病院を合わせると、半分近くになります。手術料だけで3万円以上の病院もあるので、見積もりの手術料がこの幅のどこに入るかを見ると、高いか安いかの見当がつきます。
体の大きさで、手術料も麻酔料も変わる
同じ調査で、犬の去勢手術の料金を体重で分けて決めている病院は83.5%でした。体が大きいと使う麻酔や薬の量が増えるので、小型犬より大型犬のほうが高くなる傾向があります。
麻酔の料金も、注射による麻酔で66.7%、ガスを吸わせる麻酔で59.9%の病院が、体重で分けています。入院料の中央値は、小型犬で2,500円、中型犬と大型犬で4,000円です。
調査の額は体重10kgの犬の分だけで、小型犬や大型犬の手術料の中央値は出ていません。体重が10kgから離れている犬は、病院の料金表か見積もりで、その犬の体重の額を聞きます。
手術料のほかに払うもの
払うのは手術料だけではありません。眠らせるための麻酔、手術に耐えられるかを見る事前の検査、診察の料金が加わり、縫った糸を後で抜く病院では抜糸の料金も払います。
同じ調査の中央値は、犬も猫も分けずに聞いた全身麻酔が11,250円、初診料が1,500円、抜糸が750円でした。事前の血液検査は3つに分かれ、血を採る料金が750円、血球を数えるCBC検査が1,500円、内臓の働きを見る生化学検査が6,250円です。
総額の計算の例
表は、同じ調査の中央値を項目ごとに足し上げた例です。オスは入院しない形、メスは1回分の入院を入れた形で、どちらにも抜糸を入れています。
| 項目 | オスの去勢 | メスの避妊 |
|---|---|---|
| 手術料 | 17,500円 | 27,500円 |
| 全身麻酔 | 11,250円 | 11,250円 |
| 血液検査 | 8,500円 | 8,500円 |
| 初診料 | 1,500円 | 1,500円 |
| 入院料 | なし | 4,000円 |
| 抜糸 | 750円 | 750円 |
| 合計 | 39,500円 | 53,500円 |
表の血液検査8,500円は、上の3つの検査の料金の合計です。入院料には中型犬の中央値を使っていて、小型犬なら2,500円です。調査は何日分の料金かを示していません。
中央値どうしを足した額は、実際に払う額の中央値ではありません。かかりつけの病院の見積もりと、項目ごとに並べて使います。
見積もりで聞くこと
動物病院の料金は病院ごとに決まっていて、去勢手術の料金に何が入っているかも違います。予約の前に、次のことを聞いておくと、総額の差が分かります。
- 体重での料金:その犬の体重だと、手術料と麻酔料がいくらか
- 手術料に入っているもの:麻酔・点滴・痛み止め・術後の薬が入っているか
- 事前の検査:血液だけか、レントゲンや心臓の検査も入るか
- 日帰りか入院か:入院するなら何日か
- 術後の料金:抜糸と再診、傷をなめないためのカラーや服の代金
- 精巣の位置:精巣が陰嚢に下りていないときの料金
料金の項目を細かく分けて書く病院もあれば、総額だけを書く病院もあります。細かく分かれているから安いとは限らないので、合計の額で比べます。
メスの避妊手術の費用
メスの犬の避妊手術は、お腹を開けて卵巣や子宮を取るので、去勢手術より手術料が高くなります。同じ調査の犬の避妊手術の中央値は、卵巣だけを取る方法も、卵巣と子宮を取る方法も27,500円でした。
卵巣と子宮を取る手術の料金の幅は、30,000〜40,000円未満が31.0%、25,000〜30,000円未満が25.3%でした。卵巣だけを取る手術は「対応外」と答えた病院が61.8%あり、どちらの方法で手術するかは病院によって違います。
メスは手術の後に入院することがあり、総額の計算の例では入院1回分を足して53,500円になりました。日帰りの病院や、溶ける糸を使って抜糸の要らない病院もあるので、見積もりで確かめます。
市の補助(名古屋市の例)
犬の避妊・去勢手術の費用を補助するかどうか、いくらまでかは、市区町村ごとに決めています。ここでは、名古屋市の令和8年度の案内を例に、確かめることを見ていきます。
名古屋市は、補助券を手術の前に受け取る
名古屋市の補助は、市内に住み、市内で犬を飼っている人が対象です。犬は、狂犬病予防法に基づく登録が済んでいることが条件です。
名古屋市の補助の額は、市と名古屋市獣医師会を合わせて、去勢手術で4,800円、避妊手術で9,600円です。内訳は、去勢手術が名古屋市から1,600円と獣医師会から3,200円、避妊手術が名古屋市から3,200円と獣医師会から6,400円です。
手術の時期を指定の動物病院と決めてから、保健センターか動物愛護センターで補助券を受け取ります。病院に補助券を出すと、手術の費用から補助の分が引かれます。
補助券の有効期間は、交付の日から14日間です。令和8年4月1日から交付していて、なくなり次第終わるので、予約の日と合わせて受け取ります。
総額の計算の例に当てはめると、オスは39,500円から4,800円を引いた34,700円です。メスは53,500円から9,600円を引いた43,900円になります。
住んでいる市区町村で確かめること
補助が無い市区町村もあり、ある場合も、額や対象、申し込みの時期は違います。名古屋市のように手術の前に申し込む形のほか、手術を受けた後に申請する形の市区町村もあります。
犬の登録と、その年度の狂犬病の予防注射を済ませていることを条件にする市区町村もあります。登録と注射の料金は、犬のワクチンの費用にまとめています。
市区町村とは別に、地域の獣医師会が補助をしていることもあります。市区町村の名前と「犬 去勢 補助」で探すか、保健所や動物の担当の窓口に聞きます。
受ける時期と、停留精巣のとき
犬の去勢手術は、性成熟を迎える前の、生後6か月前後が目安とされています。年齢の決まりは無く、成犬でも受けられますが、年をとるほど全身麻酔の負担が大きくなります。
体の大きさや成長の早さで、適した時期は違います。ワクチンを済ませているかも見て決めるので、子犬を迎えたら、ワクチンの日程と合わせて動物病院で相談します。
精巣が陰嚢の中に下りてこない停留精巣(停留睾丸)では、お腹の中や皮膚の下から精巣を取る手術になり、ふつうの去勢手術より費用が高くなります。お腹を開けるときは、入院が要ることもあります。
ペット保険は、健康な犬の去勢には使えないことがある
損害保険会社の業界団体である日本損害保険協会は、ペット保険が補償するのは主に入院・手術・通院の費用だと説明しています。病気でない犬が受ける去勢・避妊手術の費用は、補償されない場合があるとしています。
停留精巣が腫瘍になったときなど、病気の治療として精巣を取る手術は、契約によって補償の対象になることがあります。入っている保険の約款か、保険会社の窓口で確かめます。保険の考え方は、ペット保険は必要?にまとめています。
法律と環境省の基準での決まり
動物愛護管理法 第37条第1項は、犬の飼い主に、子犬が増えすぎて適切に飼えなくなるおそれがあると認めるときは、生殖を不能にする手術などで繁殖を防ぐよう求めています。手術を受ける時期や方法までは、法律では決めていません。
環境省の家庭動物等の飼養及び保管に関する基準では、増えても自分の責任で飼うか譲るかができる場合を除き、原則として繁殖を制限する措置をとります。去勢手術・不妊手術のほか、オスとメスを分けて飼うことも挙げています。
家計簿での取り分け方
去勢手術の費用は、毎月の分ではなく、一度だけ出るお金です。見積もりを受けた日に、払う予定の額を書いておきます。

図では、オスの例の39,500円を、手術の前・当日・後の3つの時期に分けました。検査と手術を別の日にする病院では、払う日も分かれます。書く順は次の3つで、ノートでも表計算のソフトでも同じです。
ステップ1犬の体重の額で見積もりを書く5分
動物病院で聞いた、その犬の体重の手術料と麻酔料を、検査・入院・抜糸と分けて書きます。総額の計算の例の表と並べると、どの項目が高いかが分かります。
ステップ2補助を引いて、払う日を決める5分
住んでいる市区町村の補助が使えるなら、補助の額を引いた額を、払う額として書き直します。補助券や申請の期限も、予約の日のそばに書いておきます。
ステップ3迎えた年の予定と並べる5分
決まった額は、手術を受ける月の「ペット」の欄に書き込みます。同じ年には、登録や混合ワクチンなども重なるので、犬を飼う費用は一生でいくら?の迎えるときのお金と並べて、月ごとの額を見ます。
まとめて払えそうにないときは、予約の段階で、いくらなら払えるかと払い方を病院に伝えておきます。伝え方は、ペットの医療費が払えないときにまとめています。
よくある質問
Q犬の去勢手術は、全部でいくらかかりますか
日本獣医師会の調査(令和3年)の中央値では、体重10kgの犬の手術料が17,500円です。麻酔・血液検査・初診料・抜糸を足すと39,500円ですが、中央値どうしを足した例なので、見積もりで確かめます。
Q小型犬なら、もっと安くなりますか
体重で手術料を分けている病院が83.5%あり、小さい犬ほど麻酔や薬の量が少なくて済みます。調査には小型犬の手術料の額は無いので、その犬の体重での料金を病院に聞きます。
Q去勢と避妊では、どちらが高いですか
犬の手術料の中央値は、オスの去勢が17,500円、メスの避妊が27,500円で、避妊のほうが1万円高い額でした。避妊は入院することもあり、総額の計算の例では14,000円の差になりました。
Q手術を受けた後に、補助を申し込めますか
名古屋市では、補助券を受け取ってから手術を受けます。手術の後に申請する形の市区町村もあるので、予約の前に住んでいる市区町村の案内を見ます。
Q手術の費用に、ペット保険は使えますか
健康な犬が受ける去勢手術の費用は、補償の対象とならない場合があります。停留精巣の腫瘍など、病気の治療で精巣を取る手術は、契約によって対象になることがあるので約款で確かめます。
Q手術の後に、ほかにかかるお金はありますか
抜糸の料金(中央値750円)や再診、エリザベスカラーや術後服の料金がかかることがあります。去勢の後は体重が増えやすくなるので、ごはんの量や種類をどう変えるかを獣医師に聞いておきます。
まとめ
- 犬の去勢手術の手術料の中央値は、体重10kgで17,500円(日本獣医師会 令和3年の調査・麻酔料を含まない)
- 麻酔・血液検査・初診料・抜糸の中央値を足した例は39,500円。メスの避妊手術は手術料27,500円、入院を足した例が53,500円
- 手術料を体重で分けている病院は83.5%。体重が10kgから離れた犬は、その体重の額を聞く
- 見積もりでは、麻酔・検査・入院・抜糸が手術料に入っているかと、精巣の位置での料金を聞く
- 名古屋市(令和8年度)の補助は去勢4,800円・避妊9,600円で、補助券は手術の前に受け取る
- 健康な犬の手術にはペット保険が使えない場合があるので、見積もりの額を手術の月の家計簿に入れておく
その犬の体重の額で見積もりを聞き、表と並べると、どこで額が違うかが分かります。補助を引いた額を手術の月に書いておけば、用意する額も先に決められます。
この記事で参照した公的情報
- 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(令和3年8月〜10月・小動物診療施設の開設者・回答1,096件・料金を金額の幅から選ぶ形・令和5年9月公表)の中央値=不妊手術(麻酔料を除き、犬は体重10kgの料金)犬去勢17,500円・犬避妊(卵巣切除)27,500円・犬避妊(卵巣子宮切除)27,500円、全身麻酔11,250円、採血料750円、CBC検査1,500円、生化学検査(スクリーニング)6,250円、初診料1,500円、入院料 犬(小型)2,500円・犬(中型)4,000円・犬(大型)4,000円(調査票は日数の単位を示していない)、抜糸750円。犬去勢の幅の割合(10,000〜15,000円未満15.7%・15,000〜20,000円未満26.1%・20,000〜25,000円未満22.3%・25,000〜30,000円未満14.5%・30,000〜40,000円未満7.1%)・犬避妊(卵巣子宮切除)の幅の割合(25,000〜30,000円未満25.3%・30,000〜40,000円未満31.0%・40,000〜50,000円未満10.6%)・犬避妊(卵巣切除)の対応外61.8%・犬去勢の体重別料金設定「ある」83.5%・注射麻酔の体重別の料金設定「ある」66.7%・吸入麻酔の体重別の料金設定「ある」59.9%
- 窓口
- 公益社団法人 日本獣医師会(獣医師の団体の調査)
- 確認日
- 確認先
- https://jvma-vet.jp/clinic/ryokin_pdf/r5.pdf
- 名古屋市 令和8年度 犬・猫の避妊・去勢手術の補助(2026年4月1日更新)=対象は市内で犬猫を所有する市内在住の人・犬は狂犬病予防法に基づく登録が済んでいること・保健センター又は動物愛護センターで補助券の交付を受け、市の指定する獣医師に出すと費用が減額・犬の去勢手術は名古屋市から1,600円と名古屋市獣医師会から3,200円・犬の避妊手術は名古屋市から3,200円と名古屋市獣医師会から6,400円・補助券の有効期間は交付の日から14日間(交付した年度を超えない)・令和8年4月1日から交付を開始し、なくなり次第終了
- 窓口
- 名古屋市 健康福祉局 生活衛生部 食品衛生課 獣医務担当
- 確認日
- 確認先
- https://www.city.nagoya.jp/kurashi/pet/1015199/1034042/1015208.html
- 動物の愛護及び管理に関する法律 第37条第1項(犬又は猫の所有者は、みだりに繁殖して適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置を講じなければならない)(2026年6月5日施行の今の版と2027年1月4日施行の未施行の版で同じ文)
- 窓口
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/348AC1000000105
- 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成14年環境省告示第37号)第3の4(繁殖制限=飼養数が増えても適切な飼養環境・終生飼養の確保又は適切な譲渡が自らの責任で可能な場合を除き、原則として去勢手術・不妊手術・雌雄の分別飼育等の措置を講じる)
- ペット保険(主に入院・手術・通院の費用が補償の対象・ペットの治療費は公的医療保険制度が無いため全額自己負担・健康体なペットが受ける予防接種・病気予防の診療・健康診断・去勢・避妊手術などに係る費用は補償の対象とはならない場合がある)
- 窓口
- 一般社団法人 日本損害保険協会(損害保険会社の業界団体)
- 確認日
- 確認先
- https://www.sonpo.or.jp/insurance/pet/index.html
