傷病手当金の申請書の書き方|本人・会社・医師が書く欄と、いつ出すか(期間が過ぎてから・3か月以内・時効2年)

傷病手当金の申請書は4ページで、1・2ページ目を本人、3ページ目を勤め先(事業主)、4ページ目を医師(療養担当者)が書きます。出すのは、申請する期間(療養のために休んだ期間)が過ぎてからです。
協会けんぽの記入例では、1枚の申請書で出せる期間は暦で3か月以内です。長く休むときは期間を区切って続けて出し、休んだ日ごとに、その翌日から2年たつと、その日の分は時効で受け取れなくなります。
この記事は協会けんぽの様式(2026年6月の版)で、欄ごとに書くことと、会社と医師に頼む時期をまとめます。健康保険組合に入っている人は様式や出し方が違うことがあるので、加入している組合の案内で確かめてください。
申請書の欄が多くて、どこを自分で書き、どこを会社や病院に頼めばいいのかが分かりません。いつ出せば早く振り込まれるのかも知りたいです。
申請書の4ページを、誰が何を書くか
協会けんぽの申請書は、ページごとに書く人が決まっています。次の表は、記入例をもとに、ページごとの書く人と、おもな欄の名前、頼む時期を並べたものです。
| ページ | 書く人 | おもな欄 | 頼む時期 |
|---|---|---|---|
| 1ページ目 | 本人 | 記号・番号、振込先指定口座 | 自分で書く |
| 2ページ目 | 本人 | 申請期間、仕事の内容 | 自分で書く |
| 3ページ目 | 勤め先 | 勤務状況、報酬等 | 期間が過ぎてから |
| 4ページ目 | 医師 | 労務不能と認めた期間 | 期間が過ぎてから |
本人の欄を書き、医師と勤め先の欄をそろえてから、まとめて出します。医師と勤め先には、休み始めた時点で「傷病手当金を申請するので、期間が過ぎたら証明を頼みたい」と伝えておくと、あとの段取りが進めやすくなります。
申請するのは本人です。勤め先を通して出すか、自分で郵送するかは、勤め先の人事や総務に確かめます。
1・2ページ目:本人が書く欄
1ページ目:記号・番号と振込先
被保険者の「記号・番号」は、資格情報のお知らせなどに書かれている記号と番号を写します。退職したあとの期間を申請するときは、勤めていたときの記号と番号です。
個人番号(マイナンバー)は、記号・番号が分からないときだけ書きます。書いた場合は、本人確認の書類を貼付台紙に貼って一緒に出します。
振込先は、まず「公金受取口座の利用について」で、希望するかしないかを選びます。希望すれば、マイナポータルなどで登録した口座に振り込まれ、口座の欄は書かなくて済みます。希望しないときは、申請者と同じ名義の口座を書きます。
ゆうちょ銀行の口座にするときは、通帳の記号・番号ではなく、振込専用の店名(漢数字3字)と口座番号(7桁)を書きます。通帳の記号・番号のままでは振り込めないと、記入例に書かれています。
2ページ目:申請期間・仕事の内容・傷病名
「申請期間(療養のために休んだ期間)」は、働けずに休んだ期間です。初めて申請するときは、待期(3日続けて休んだ日)の初日から書きます。
「被保険者の仕事の内容」は、具体的に書きます。記入例では「経理担当事務」「自動車組立」「プログラマー」が挙がっていて、退職後の申請なら退職前の仕事を書きます。働けるかどうかは仕事の内容と照らして判断されるので、ここは短くしすぎないほうが伝わります。
「傷病名」は、4ページ目に医師が書く傷病名と同じなら、チェックの欄に印を付けます。違う傷病で申請するときは、その傷病について医師などの証明を別に受けます。
2ページ目:傷病の原因と確認事項
「傷病の原因」は、仕事中以外・仕事中・通勤途中から選びます。仕事中や通勤途中の病気やけがは、原則として労災保険の対象です。
労災に当たるか分からないときは、労働基準監督署に相談します。交通事故やけんかなど、ほかの人の行為が原因のときは「はい」を選び、「第三者行為による傷病届」を別に出します。
確認事項では、休んだ期間に報酬を受けたか、同じ傷病で障害厚生年金や障害手当金を受けているか、別の傷病で労災の休業補償給付を受けているかを答えます。退職後の期間なら、老齢や退職の年金を受けているかも答えます。受けていると、傷病手当金の額が調整されます。
3ページ目:勤め先(事業主)に頼む欄
3ページ目は、申請期間の出勤のようすと、払った給与を勤め先が証明する欄です。本人は書かず、人事や総務に申請書を渡して頼みます。
勤め先は、申請期間のうち出勤した日を〇で囲みます。決まった勤務時間の一部だけ働いた日も、出勤した日に入ります。待期の初日に早退した日は「早」と書く決まりで、有給休暇や公休日には〇を付けません。
出勤していない日に払った給与があれば、払った日と金額を下の欄に書きます。記入例では、有給休暇の賃金、出勤に関係なく払う扶養手当・住宅手当・通勤手当、食事や住まいの現物が当たります。残業手当や見舞金のように一時的なものは書きません。
証明の日付は、申請期間が過ぎた後の日付です。出勤簿や賃金台帳の写しは付けないよう、協会けんぽは案内しています。退職した日より後の期間だけを申請するときは、この欄は空欄のまま出します。
4ページ目:医師(療養担当者)に頼む欄
4ページ目は、医師などの療養担当者が意見を書く欄です。傷病名、初診日、発病や負傷の日と原因、労務不能と認めた期間、症状と経過、治療の内容、その期間に診療した日があったかを書いてもらいます。
「労務不能と認めた期間」は、治療した期間ではなく、療養のため働けなかったと認められる期間の始めと終わりです。2ページ目の申請期間と、この期間が食い違わないかを、出す前に見比べます。
転院したときは、それぞれの病院で意見を受けます。主治医が変わって4ページ目が複数に分かれるときは、申請期間も分けて出し、1〜3ページ目もそれぞれに書きます。
頼むときは、申請期間が過ぎてからの受診の日に申請書を持っていきます。書いてもらうまでに日数がかかることや、文書の費用がかかることがあるので、受付で確かめます。
気分の落ち込みなど外から見えにくい症状は、仕事で何ができなくなっているかを書き出して伝えると、症状と経過の欄に書いてもらいやすくなります。書き出したメモを、そのまま医師に渡す方法もあります。
いつ出すか、何か月ごとに出すか
申請期間が過ぎてから出す
申請書は、申請期間が過ぎる前には出せません。協会けんぽの記入例は、申請期間が経過した後に出すよう案内しています。これから休む予定の日を先に申請することはできません。
同じ記入例では、1枚の申請書で出せる申請期間は暦で3か月以内とされています。3か月を超えるときは、申請書を分けて出します。
長く休むときは、区切って続けて出す
休みが長くなるときは、期間を区切って何回かに分けて出します。1か月ごとに区切って出すことが多いですが、記入例が求めているのは1枚で暦で3か月以内という点で、数か月分をまとめて出すこともできます。
数か月分をまとめると、出せる日が先になるぶん、最初の振り込みも後になります。2回目からも、本人・勤め先・医師の欄がそれぞれ要ります。前の回の続きの期間を書き、省ける欄があるかは加入している健康保険に確かめます。
休んだ日ごとに、翌日から2年で時効
健康保険法 第193条で、保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効になります。協会けんぽの案内では、傷病手当金の時効は、働けなかった日ごとに、その翌日から数えます。
古い日の分から順に期限が来るので、出しそびれた期間があるときは、古い月の分から先に確かめます。2年を過ぎた日の分は受け取れませんが、2年以内の日の分は、今からでも申請できます。
出す先と、振り込みまでの日数
協会けんぽは、加入している支部か電子申請
協会けんぽに入っている人は、紙の申請書を、加入している協会けんぽの支部に郵送します。加入している支部は、資格情報のお知らせかマイナポータルで確かめられます。協会けんぽは電子申請をすすめていて、入力の漏れを機械で確かめられ、出したあとの処理の状況も見られます。
健康保険組合に入っている人は、組合の申請書と提出先を使います。組合によっては、法律で決まった傷病手当金に独自の上乗せ(付加給付)があるので、あわせて組合の案内で確かめます。
協会けんぽは受付日から10営業日以内
協会けんぽの案内では、審査の結果、支払えると決まれば、受付日から10営業日以内に支払われます。書いた内容に漏れや食い違いがあると、確認や差し戻しで日数が延びることがあります。
申請期間が過ぎるまで出せないうえに、医師と勤め先の記入の日数もかかるので、休み始めてから最初の振り込みまでには間が空きます。1日あたりの額と、最初の振り込みまでの生活費の見積もり方は傷病手当金はいくら?にまとめました。
その間の生活費が足りないときは、公的な相談先と制度を病気やけがで働けないときのお金と生活費が足りないときにまとめています。どちらも、借りる前に確かめられる公的なしくみを中心に書いています。
家計簿には、申請した期間と出した日を書く
家計簿の収入には、給料とは別に「傷病手当金」の行を作り、入った日に額を書きます。その横に、どの申請期間の分か、いつ出したかを書き添えておくと、まだ入っていない期間がひと目で分かります。
出していない期間が残っていれば、時効の確かめにもなります。ここは紙の家計簿でも表計算でも、同じ書き方でできます。
迷いやすい場面
退職したあとの期間を申請する
退職した後も、条件を満たせば傷病手当金を続けて受け取れます。退職した日より後の期間だけを出すときは、3ページ目の勤め先の欄は空欄のまま出し、記号・番号は勤めていたときのものを書きます。
続けて受け取れる条件は、資格を失う日の前日までに被保険者期間が続けて1年以上あり、その前日に傷病手当金を受けているか受けられる状態であることです。くわしくは傷病手当金はいくら?の「会社を辞めた後も受け取れるか」にまとめました。
書き間違えた
協会けんぽの記入例では、訂正するときは、間違えた所を読み取れないよう黒く塗りつぶし、欄の外に正しい内容を書きます。勤め先と医師の欄の訂正も、同じ形で案内されています。医師や勤め先が書いた欄は自分で直さず、食い違いに気づいたら、書いた人に相談して直してもらいます。
仕事中や通勤中の病気やけがだった
仕事中や通勤中の病気やけがは、原則として労災保険の対象で、傷病手当金ではありません。労災の休業の給付は労災の休業補償はいくら?にまとめました。
労災保険の給付を請求している間は、2ページ目で「請求中」を選び、並行して申請できます。あとで労災の支給が決まって期間が重なると、受け取った傷病手当金は返すことになります。
国民健康保険に入っている
国民健康保険法 第58条第2項では、傷病手当金は市町村や組合が条例や規約で定めて行える給付で、必ず支給されるものではありません。支給があるかは、加入している国民健康保険の窓口で確かめます。
働けないときに使えるほかの制度は、病気やけがで働けないときのお金にまとめています。障害年金や、医療費と保険料の負担を軽くするしくみを並べています。
よくある質問
Q申請書は誰が書きますか
1・2ページ目を本人、3ページ目を勤め先(事業主)、4ページ目を医師などの療養担当者が書きます。申請するのは本人で、勤め先と医師の欄がそろってから出します。
Qいつ出せばいいですか
申請する期間が過ぎてから出します。協会けんぽの様式では、1枚で出せるのは暦で3か月以内なので、長く休むときは区切って続けて出します。
Q毎月出さないといけませんか
協会けんぽの記入例が求めているのは、1枚で暦で3か月以内という点で、毎月出すようにとは書かれていません。ただ、まとめるほど最初の振り込みは後になります。
Qいつまでに出せばいいですか
働けなかった日ごとに、その翌日から2年で時効になります。2年を過ぎた日の分は受け取れないので、古い期間から先に出します。
Q出してからどれくらいで振り込まれますか
協会けんぽは、審査の結果支払えると決まれば、受付日から10営業日以内に支払います。健康保険組合は組合ごとに違うので、組合の案内で確かめます。
まとめ
- 申請書は4ページで、1・2ページ目を本人、3ページ目を勤め先、4ページ目を医師が書く
- 出すのは申請期間が過ぎてから。協会けんぽの記入例では、1枚で出せる期間は暦で3か月以内
- 初めての申請は、待期の初日から申請期間を書く
- 勤め先の証明と医師の意見は、期間が過ぎてから頼む。休み始めに先に伝えておく
- 医師の「労務不能と認めた期間」と、本人の申請期間を見比べてから出す
- 時効は、働けなかった日ごとに翌日から2年
- 協会けんぽは加入している支部へ郵送か電子申請。審査で支払えると決まれば受付日から10営業日以内
- 健康保険組合は、組合の申請書と案内で確かめる
休み始めた日と、勤め先・医師に頼む日を家計簿のメモに書いておけば、出す時期と振り込みの見通しが立ちます。今日は資格情報のお知らせを出して、記号と番号を確かめるところから始められます。
この記事で参照した公的情報
- 健康保険傷病手当金支給申請書(審査の結果お支払い可能であれば受付日から10営業日以内に支払い・電子申請がおすすめ・紙の申請書は加入の協会けんぽ支部へ郵送・添付書類・申請期限=受けることができるようになった日の翌日から2年で時効、傷病手当金の起算日は労務不能であった日ごとにその翌日・賃金台帳や出勤簿の写しは添付しない)
- 窓口
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 確認日
- 確認先
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/application_form/benefit/001/index.html
- 健康保険傷病手当金支給申請書 手書き用記入例(2026年6月の様式・申請期間が経過する前に提出できない・申請期間は暦で3か月以内・初めての申請は待期完成の初日から・仕事の内容は具体的に・事業主は出勤した日を〇で囲み出勤していない日に支給した報酬等の日と金額を記入・証明は申請期間経過後の日付・療養担当者は治療期間ではなく就労できなかったと認められる期間を記入・転院したらそれぞれの病院で意見を受ける・訂正は黒塗りして欄外に記入)
- 窓口
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 確認日
- 確認先
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/assets/k_shoute_guide2610.pdf
- 傷病手当金(給付対象の4要件・待期3日・支給期間は通算1年6か月・提出先は加入の協会けんぽ支部・資格喪失後の継続給付)
- 窓口
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 確認日
- 確認先
- https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html
- 健康保険法 第99条(傷病手当金・労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から支給・支給期間は通算して1年6月間)・第193条(保険給付を受ける権利は行使することができる時から2年で時効)(2026-10-01 施行の版。両条ともいちばん先の未施行の版 2029-10-01 施行 211AC0000000070_20291001_507AC0000000074 まで同じ文)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070
- 国民健康保険法 第58条第2項(市町村及び組合は、条例又は規約の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことができる)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192
