生活費が足りないとき|借りる前に確かめる公的な支援と、家計簿での出し方

家計の見える化 ・ ・ 最終更新

生活費が足りない月が続くときは、借りる前に確かめられる公的なしくみがあります。返さなくてよい給付や、払う額を下げる減免・猶予もそのひとつです。

この記事では、国と自治体の案内で確かめた支援を、相談する順番に並べます。あわせて、足りない額を家計簿から出す手順まで書きます。

今月も生活費が足りません。カードで払ってしのいでいますが、来月はもっと厳しくなりそうで不安です。

借りる前に確かめられる公的なしくみ

生活費が足りないときに使える公的なしくみの図。困っていることごとに、家賃なら住居確保給付金、当座の現金なら緊急小口資金、保険料なら国民健康保険料の減免、年金なら国民年金の免除、何から相談するか分からないときは自立相談支援機関を並べている

図は、困っていることごとに、先に確かめられる公的なしくみを並べたものです。どれも申請や相談が要るもので、黙っていても始まりません。病院の支払いが重いときは医療費が払えないときも確かめてください。

ひとり親家庭には、児童扶養手当もあります。額と条件は児童扶養手当はいくら?にまとめました。

厚生労働省の案内では、生活困窮者自立支援制度として7つの支援が示されています。相談を受ける自立相談支援事業、家賃相当額を出す住居確保給付金、すぐの就労が難しい方への就労準備支援事業などです。

家計そのものを支える事業もあります。家計改善支援事業は、家計の状況の「見える化」と根本的な課題の把握を行い、相談者が自ら家計を管理できるように支援するとされています。

子どもと住まいの支援もあります。子どもの学習・生活支援事業と、住居をもたない方や不安定な住居形態にある方に一定期間の宿泊場所や衣食を提供する居住支援事業です。小・中学生の学用品費や給食費は、市区町村の就学援助で援助を受けられることがあります。

借りるしくみもあります。社会福祉協議会が窓口になる生活福祉資金貸付制度で、これは次の章にまとめます。

相談の入口は、自立相談支援機関の1か所

どの制度を使えるかを自分で見分けるのは大変です。厚生労働省の案内では、生活に困りごとや不安を抱えている場合は、まず地域の相談窓口に相談するよう示されています。

支援員が相談を受け、どのような支援が必要かを相談者と一緒に考え、具体的な支援プランを作成するとされています。1か所で複数の制度をまとめて相談できるのが、この窓口の役割です。

窓口は市区町村ごとに置かれています。名前は自治体によって違うので、住んでいる市区町村の名前と「自立相談支援機関」で探すのが確実です。

自分の地域の窓口は、厚生労働省の生活困窮者自立支援制度のページから探せます。受付の時間や、電話を受け付けているかどうかは、お住まいの自治体により異なります。

制度の中身は生活困窮者自立支援制度とはにまとめました。家賃の補助だけを先に知りたい方は住居確保給付金とはをご覧ください。

総合支援資金と福祉資金は、無利子か年1.5%

生活福祉資金貸付制度の主な資金と限度額の図。緊急小口資金は10万円以内で無利子・保証人不要、総合支援資金の生活支援費は二人以上で月20万円以内・単身で月15万円以内、住宅入居費は40万円以内、一時生活再建費は60万円以内

図は、厚生労働省が示している生活福祉資金貸付制度の主な資金です。実施主体は都道府県社会福祉協議会で、相談と申請は市区町村の社会福祉協議会が受け付けます。

対象になる世帯は3つです。他から借りることが困難な低所得者世帯(市町村民税非課税程度)、障害者手帳などの交付を受けた方がいる障害者世帯、65歳以上の高齢者がいる高齢者世帯です。

利子の付き方が民間の借入と違います。連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%で、緊急小口資金と教育支援資金はどちらも無利子です。

例外もあります。不動産担保型生活資金だけは年3%、又は長期プライムレートのいずれか低い利率とされています。

連帯保証人がいなくても申し込めます。厚生労働省の案内では、原則として必要だが、連帯保証人を立てない場合も貸付可能とされています。

すぐに要る少額なら緊急小口資金です。緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に貸し付ける少額の費用で、10万円以内・無利子・保証人不要とされています。

生活の立て直しには総合支援資金があります。生活支援費は二人以上の世帯で月20万円以内、単身で月15万円以内、貸付期間は原則3か月(最長12か月)です。総合支援資金と緊急小口資金は、原則として自立相談支援事業の利用が貸付の要件とされています。

引っ越しや滞納の立て替えにも使えます。住宅入居費は敷金・礼金などに40万円以内、一時生活再建費は滞納している公共料金等の立て替え費用などに60万円以内とされています。

返し方の決まりもあります。貸付の決定にあたっては貸付条件に加えて償還可能性の有無が考慮されるとされているので、返せる見込みを一緒に立てることになります。

詳しい条件は生活福祉資金貸付とはにまとめました。分からないときは、厚生労働省のコールセンター(0120-46-1999・平日9時から17時)でも聞けます。

止められる前に相談すると、変えられるものがある

保険料や家賃は、払えないまま黙っていると止まったり差し押さえになったりします。先に相談すると、額そのものを変えられることがあります。電気・ガス・水道は電気代が払えないときにまとめました。

国民健康保険料には減免があります。川崎市の案内では、災害減免・生活困窮減免・収入減少減免・給付制限減免の4つが示されています。

申請の時期に注意が要ります。川崎市の案内では、災害減免と給付制限減免を除き、申請時において納期限を経過している保険料と納付済の保険料については減免が適用されないとされています。

会社を辞めさせられた方には別の軽減もあります。倒産・解雇・雇い止めなどを理由に離職した方は、届出により給与所得を100分の30として保険料を計算する軽減が受けられます。

国民年金の保険料にも免除と猶予があります。しくみは国民年金の保険料が払えないときにまとめました。住民税の猶予・分納・減免は住民税が払えないときにまとめました。

家賃は住居確保給付金の対象です。神奈川県の案内では、家賃補助は原則3か月で、申請により3か月を限度に2回まで延長でき最長9か月とされています。

それでも生活が成り立たないときは生活保護があります。厚生労働省の案内では最低限度の生活を保障する制度とされていて、申請できるかは資産や親族の支援を含めて福祉事務所に相談します。条件と保護費の決まり方は生活保護の条件にまとめました。

家計簿で「足りない額」を出す

相談に行く前に、いくら足りないのかを数字にしておくと話が早く進みます。感覚ではなく、1か月分の記録から出します。

ステップ1先月の入ったお金を書き出す15分

給与だけでなく、児童手当・失業保険・年金などの公的な給付もすべて書き出します。通帳と給与明細を並べれば、思い出さなくても拾えます。

給与明細の読み方は給与明細の見方にまとめました。手取りがいくらかは、ここで確かめます。

ステップ2毎月必ず出ていくものを一覧にする20分

家賃・保険料・通信費・水道光熱費など、毎月決まって出ていくものを明細から拾います。思い出して書くのではなく、引き落としの記録から拾うのがこつです。

やり方は家計簿の固定費の書き方にまとめました。この一覧が、相談のときにそのまま使えます。

ステップ3年に1回・数か月に1回のものを月割りにする15分

税金・更新料・車の費用など、毎月ではないものを1年分拾って12で割ります。これを入れないと、足りない月が突然やってくる理由が見えません。

拾い方は特別費は思い出さずに明細から拾うにまとめました。1年分の記録を見れば、年に1回しか出ていかないものも拾えます。

ステップ4足りない額を1枚にまとめる10分

入ったお金から、毎月のものと月割りにしたものを引きます。残った数字が、毎月いくら足りないのかという答えです。

1枚にまとめる形は年間収支表の作り方にあります。この1枚を持って窓口に行くと、どの制度が合うかを早く絞れます。

足りない額が出たら、削る順番を決める

足りない額が数字になったら、削る支出の順番を決めます。先に見るのは、ステップ2で作った毎月決まって出ていくものの一覧です。

固定費は、一度契約を変えれば次の月からも減ったままになります。通信費はプランと使っていないオプション、保険は同じ保障が重なっていないかを、契約の書類で確かめます。引き落としの記録にある定期購入も、使っていないものがないかを見ます。

保険を削るときは、公的な保障と並べて考えます。医療費には高額療養費で自己負担に上限があります。家賃が重いときは、削る前に住居確保給付金の対象になるかを確かめます。

食費や日用品のような変動費は、一度削っても次の月にまた戻ることがあります。固定費を見直したあとに、食費のつけ方のように内訳ごとの合計を見ながら決めます。

固定費の拾い方は固定費の書き方に、引き落としの探し方はサブスクの探し方にまとめました。どれを削っても足りないときは、上の公的なしくみの相談に戻ります。

窓口と制度は、公的機関のページで確かめる

この記事で挙げた給付・減免・貸付は、どれも公的機関のページから直接たどれます。リンクをそのまま開いて、自分に当てはまるかを確かめてください。

  • 条件・金額・申請の方法は、各制度の公式サイトとお住まいの自治体の窓口で確かめてください

制度の条件や金額は、年度ごとに変わることがあります。最後は公的機関のページと窓口で確かめてください。

迷いやすい場面

借金があって返済で足りなくなっている

生活福祉資金の一時生活再建費は、債務整理をするために必要な経費も対象とされています。借入そのものの相談先は別になるので、自立相談支援機関で一緒に整理します。

ここで気をつけたいのは、返すために借りる形になっていないかです。毎月の返済額と収入を並べて、無理なく返せる形かを先に確かめます。

SNSや広告の「すぐ貸します」に迷う

金融庁の案内では、個人でも、くり返し続ける意思をもってお金を貸すことは貸金業にあたり、国か都道府県の登録が要ります。SNSで「融資します」と呼びかけて契約を勧めるのは、貸金業法で規制されている勧誘にあたるおそれがあるとされています。

個人を装ったヤミ金融による違法な高い金利の貸付けや、個人情報を悪用されて別の犯罪に巻き込まれる危険も示されています。給料を買い取るとうたう「給与ファクタリング」も、金融庁は貸金業にあたるとしています。

貸す側が登録を受けているかは、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で調べられます。ここで検索されない業者は、登録したばかりでまだ載っていない場合のほか、登録していないヤミ金融の可能性があると案内されています。

迷ったときは、金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811)や消費者ホットライン(188)に相談できます。生活そのものの相談は、上の自立相談支援機関が窓口です。

すでに滞納していて督促が来ている

滞納があっても相談はできます。川崎市のように、国民健康保険料の減免を納期限を過ぎた分には適用しないとしている自治体もあるため、次の納期限が来る前に窓口に行くのが大切です。

分割での納付を相談できる自治体もあります。まず区役所や市役所の担当窓口に、いまの状況を伝えるところから始めます。

働けるのに仕事が見つからない

生活困窮者自立支援制度には就労準備支援事業があります。すぐに就労が困難な方に、原則1年の間、プログラムにそって基礎能力を養いながら就労に向けた支援を行うとされています。

失業保険を受けられる場合もあります。受けられる額と日数は失業保険はいくらもらえる?にまとめました。

収入はあるのに毎月足りない

収入があるのに足りないときは、まずお金の行き先を費目ごとに確かめます。原因の探し方はお金が貯まらない理由の見つけ方にまとめました。

赤字に見えても本当の赤字とは限りません。数え方は毎月赤字の家計で分けています。

よくある質問

Qお金がないとき、まずどこに相談すればいいですか

市区町村の自立相談支援機関です。支援員が相談を受けて、どの制度が使えるかを一緒に探してもらえます。

Q借りずに済む方法はありますか

減免・免除・給付があります。国民健康保険料の減免、国民年金の免除、住居確保給付金などは、返す必要がありません。

Q公的な貸付は利子がつきますか

連帯保証人を立てる場合は無利子、立てない場合は年1.5%です。緊急小口資金と教育支援資金は、どちらの場合も無利子とされています。

Q保証人がいなくても借りられますか

厚生労働省の案内では、原則として必要だが、連帯保証人を立てない場合も貸付可能とされています。緊急小口資金は保証人不要です。

Q生活保護しかないのでしょうか

生活保護の前に使えるしくみが複数あります。相談の中で、どれが合うかを順に確かめる形になります。

Q相談に何を持っていけばいいですか

収入が分かるもの、通帳、家賃が分かるものです。1か月分の収入と支出を書き出したメモがあると、話が早く進みます。

まとめ

  • 借りる前に確かめられる公的なしくみがある(減免・免除・給付・貸付)
  • 入口は市区町村の自立相談支援機関。1か所で複数の制度をまとめて相談できる
  • 生活福祉資金は、連帯保証人ありで無利子・なしで年1.5%。緊急小口資金は10万円以内・無利子・保証人不要
  • 生活支援費は二人以上で月20万円以内、単身で月15万円以内。原則3か月(最長12か月)
  • 国民健康保険料の減免は、納期限を過ぎた分には適用しない自治体もある(例:川崎市)。先に相談する
  • 相談の前に、1か月分の記録から「足りない額」を数字にしておく

足りない額が数字になれば、どの制度が合うかを窓口で絞れます。今日は通帳を1か月分開くところから始められます。

この記事で参照した公的情報

  1. 生活困窮者自立支援制度(自立相談支援事業・住居確保給付金・就労準備支援事業・家計改善支援事業・就労訓練事業・子どもの学習生活支援事業・居住支援事業)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059425.html
  2. 生活福祉資金貸付制度(実施主体は都道府県社会福祉協議会・貸付対象の3区分・資金の4種類・連帯保証人・貸付利子・コールセンター)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html
  3. 生活福祉資金貸付条件等一覧(緊急小口資金10万円以内・生活支援費の月額と期間・住宅入居費40万円・一時生活再建費60万円・据置期間・償還期限)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/kashitsukejoken.html
  4. 国民健康保険料の減免制度(災害減免・生活困窮減免・収入減少減免・給付制限減免・納期限内の申請)
    窓口
    川崎市
    確認日
    確認先
    https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000016737.html
  5. 非自発的な理由により離職された方に対する保険料の軽減制度(給与所得を100分の30として計算・軽減期間・雇用保険受給資格者証の離職理由の番号)
    窓口
    川崎市
    確認日
    確認先
    https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000016744.html
  6. 住居確保給付金について(原則3か月・申請により3か月を限度に2回まで延長し最長9か月・貸主の口座へ直接振込)
    窓口
    神奈川県
    確認日
    確認先
    https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r6w/konkyu/jukyokakuhokyufukin.html
  7. 生活保護制度(最低限度の生活の保障・福祉事務所への相談)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/
  8. SNS等を利用した「個人間融資」にご注意ください!(個人でも反復継続する意思をもった貸付けは貸金業・登録が要る・違法な勧誘・相談窓口)
    窓口
    金融庁
    確認日
    確認先
    https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/kinyu_chuui.html
  9. 給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!(給与ファクタリングは貸金業に該当・金融サービス利用者相談室 0570-016811・消費者ホットライン 188)
    窓口
    金融庁
    確認日
    確認先
    https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/kinyu_chuui2.html
  10. 登録貸金業者情報検索サービス ご利用上の注意(検索されない業者は無登録業者(いわゆるヤミ金融)の可能性)
    窓口
    金融庁
    確認日
    確認先
    https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/chuui.html
  11. 生活福祉資金貸付制度について(全国社会福祉協議会の資料。総合支援資金と緊急小口資金は、自立相談支援事業の利用が原則要件化されている)
    窓口
    厚生労働省(全国社会福祉協議会の資料を掲載)
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001092878.pdf

この記事を書いているのは

Mirai Kanaiは、家計を見えるようにすることを目的とした個人向けの家計簿サービスです。運営するMove for People株式会社は、家計が見えていないことが、使える制度を逃したり、対処が遅れたりする原因になっていると考えています。

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この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。特定の金融商品の推奨や、個別の投資判断に関する助言を行うものではありません。公的制度の要件・金額は変更される場合があり、自治体によって異なります。実際のご利用にあたっては、必ず公式の窓口でご確認ください。