生活困窮者自立支援制度とは|7つの支援と、相談から始まる進み方

お金に困ったとき、どの制度が自分に当てはまるのかを自分で調べるのは大変です。生活困窮者自立支援制度は、その入口をまとめて用意したしくみです。
この記事では、7つの事業がそれぞれ何をするのかを、厚生労働省の案内にそって並べます。どこに相談すればよいかも書きます。
仕事も家賃も子どものことも重なっていて、どこから相談すればいいのか分かりません。窓口をいくつも回る余裕もありません。
生活保護の前に使える、相談の制度
この制度の位置づけを先に押さえます。生活保護に至る前の段階で、生活の立て直しを支えるために作られたしくみです。
厚生労働省の案内では、生活にお困りの方の相談を受け付け、ひとりひとりの状況に合わせて支援を提供するとされています。仕事の支援、家賃相当額の支給などの住まいの支援、家計の立て直しの支援などです。
制度の位置づけもはっきりしています。第1のセーフティネットである社会保険や労働保険と、第3のセーフティネットである生活保護の間の第2のセーフティネットとして、生活保護に至る前の段階で自立に向けた支援を行うとされています。
厚生労働省の案内では、対象者は「仕事や生活など、様々な困難により生活に困窮しているかた」とされていて、相談の入口に収入の額は示されていません。事業ごとの要件は、相談の中で確かめる形になります。
支援は1つではありません。状況に合わせて複数の事業を組み合わせる形で、支援員が一緒に決めていきます。
生活保護は別の制度です。最低限度の生活を保障する制度で、申請できるかは資産や親族の支援を含めて福祉事務所に相談します。生活保護の条件と申請の流れは生活保護の条件にまとめました。
7つの事業が用意されている

図は、厚生労働省が示している7つの事業です。名前だけでは中身が分からないので、1つずつ見ます。
自立相談支援事業は入口です。支援員が相談を受けて、どのような支援が必要かを相談者と一緒に考え、具体的な支援プランを作成し、寄り添いながら自立に向けた支援を行うとされています。
住居確保給付金は住まいを支えます。離職などにより住居を失った方、または失うおそれの高い方に、就職に向けた活動をするなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給します。
この事業には要件があります。厚生労働省の案内では、一定の資産収入等に関する要件を満たしている方が対象と示されています。
就労準備支援事業は、すぐの就労が難しい方向けです。社会との関わりに不安がある方などに、原則1年の間、プログラムにそって一般就労に向けた基礎能力を養いながら支援や就労機会の提供を行います。
家計改善支援事業は、家計そのものを見ます。家計状況の「見える化」と根本的な課題を把握し、相談者が自ら家計を管理できるように支援するとされています。
就労訓練事業は中間的就労と呼ばれます。すぐに一般就労することが難しい方に、その方に合った作業機会を提供しながら、個別の就労支援プログラムに基づき中・長期的に支援します。
子どもの学習・生活支援事業は、次の世代を支えます。学習支援をはじめ、日常的な生活習慣、居場所づくり、進学に関する支援、高校進学者の中退防止に関する支援などを、子どもと保護者の双方に行います。
居住支援事業は、泊まる場所が無い方向けです。住居をもたない方、またはネットカフェ等の不安定な住居形態にある方に、一定期間、宿泊場所や衣食を提供します。
家計改善支援は、家計の「見える化」から始まる

図は、家計改善支援事業の進み方です。7つの事業のうち、家計簿に近いのがこの事業です。
始まりは「見える化」です。厚生労働省の案内では、家計状況の「見える化」と根本的な課題を把握するとされています。
そのうえで計画を作ります。状況に応じた支援計画の作成、相談支援、関係機関へのつなぎ、必要に応じて貸付のあっせん等を行うとされています。
目指す形もはっきりしています。相談者が自ら家計を管理できるようになり、早期の生活再生を支援するとされています。
つまり肩代わりではありません。自分で管理できる形に戻すところまでが支援の範囲です。
相談の前に記録があると早く進みます。1か月の収入と支出の出し方は生活費が足りないときにまとめました。
窓口は市区町村。1か所でまとめて聞ける
窓口は市区町村ごとに置かれています。厚生労働省の案内では、詳しくはお住まいの地域の自立相談支援機関に問い合わせるよう示されています。
名前は自治体で違います。見つからないときは、市区町村の役所で「生活困窮者自立支援制度の相談窓口」と伝えて尋ねます。
受付の時間は、お住まいの自治体により異なります。自分の地域の窓口で確かめてください。
電話で受け付けているところもあります。横須賀市の案内では、住居確保給付金(家賃補助)の相談について、窓口での相談時間と電話での相談時間が別に示されています。
窓口の一覧は厚生労働省のページから探せます。生活困窮者自立支援制度のページに、自立相談支援機関の窓口情報が置かれています。
1か所で複数の制度を相談できるのが特徴です。仕事・住まい・家計・子どものことを、別々の窓口へ持っていかなくて済みます。
この制度の外の話も、そこから先へつながります。社会福祉協議会が窓口の生活福祉資金や、市区町村の保険料の減免などです。
相談の前にそろえておくもの
手ぶらでも相談はできます。ただし数字があると、その日のうちに話が進みます。
ステップ1入ってくるお金を1か月分書き出す15分
給与だけでなく、手当・年金・失業保険など公的な給付も含めて書き出します。通帳を見れば思い出さなくても拾えます。
給与明細の読み方は給与明細の見方にまとめました。手取りがいくらかを確かめます。
ステップ2毎月必ず出ていくものを一覧にする20分
家賃・保険料・通信費・水道光熱費など、引き落としの記録から拾います。削れないものと、変えられるものを分けて書いておきます。
拾い方は家計簿の固定費の書き方にまとめました。明細から拾うのがこつです。
ステップ3滞納や借入があれば額と相手を書き出す15分
保険料・家賃・税金・借入など、遅れているものを正直に書き出します。隠すと合う制度が見つかりません。
窓口は返済の相談先も知っています。どこに何を先に相談するかを、その場で決められます。
ステップ4困っていることを3つに絞る10分
仕事・住まい・家計・子どものうち、いま何がいちばん重いかを3つに絞ります。優先順位があると、支援プランが具体的になります。
1枚にまとめる形は年間収支表の作り方にあります。数字と困りごとを並べて持っていきます。
住んでいる市区町村の名前と「自立相談支援機関」で検索して、窓口の電話番号を確かめてください。受付の時間は、お住まいの自治体により異なります。
窓口と制度は、公的機関のページで確かめる
7つの事業の中身も、自分の地域の窓口も、厚生労働省のページから直接たどれます。リンクをそのまま開いて確かめてください。
- 条件・金額・申請の方法は、各制度の公式サイトとお住まいの自治体の窓口で確かめてください
制度の条件や金額は、年度ごとに変わることがあります。最後は公的機関のページと窓口で確かめてください。
迷いやすい場面
働いているが生活が苦しい
働いていても相談できます。厚生労働省の案内では、対象者は「仕事や生活など、様々な困難により生活に困窮しているかた」とされていて、失業している方に限られていません。
収入が少ない場合は、保険料の減免や給付が使えることもあります。使えるものは生活費が足りないときにまとめました。
家賃だけが重い
住居確保給付金が使えるか確かめます。離職や休業で収入が減った方には、原則3か月(最長9か月)の家賃補助があります。
支給は貸主の口座へ直接振り込まれます。条件は住居確保給付金とはにまとめました。
当座の現金がない
社会福祉協議会の生活福祉資金があります。厚生労働省の貸付条件等一覧では、緊急小口資金は10万円以内・無利子・保証人不要とされています。
限度額と返し方は生活福祉資金貸付とはにまとめました。総合支援資金と緊急小口資金は、原則として自立相談支援事業の利用が貸付の要件とされています。
生活保護を勧められるか不安
この制度は生活保護に至る前の段階の支援です。相談したからといって、生活保護になるわけではありません。
どうしても成り立たないときの選択肢として、生活保護の相談先も案内されます。決めるのは本人です。
よくある質問
Q生活困窮者自立支援制度とは何ですか
生活にお困りの方の相談を受け付け、状況に合わせて仕事・住まい・家計などの支援を提供する制度です。生活保護に至る前の段階で使えます。
Qどこに相談すればいいですか
お住まいの市区町村の自立相談支援機関です。名前は自治体によって違うので、役所で「生活困窮者自立支援制度の相談窓口」と伝えて尋ねます。
Q電話でも相談できますか
電話で受け付けているところもあります。ただし受付の時間も、電話を受け付けているかどうかも、お住まいの自治体により異なります。
Q収入がいくら以下なら対象ですか
厚生労働省の案内では、相談の入口に収入の額は示されていません。住居確保給付金のように、事業ごとの要件は相談の中で確かめる形になります。
Q家計改善支援では何をしてもらえますか
家計状況の見える化と課題の把握、支援計画の作成、関係機関へのつなぎ、必要に応じた貸付のあっせんです。自分で家計を管理できる形に戻すことを目指します。
Q生活保護とどう違いますか
生活保護は最低限度の生活を保障する制度です。この制度は、その前の段階で立て直しを支えるものです。
まとめ
- 生活保護に至る前の段階で使える、相談から始まる制度
- 事業は7つ(自立相談支援・住居確保給付金・就労準備支援・家計改善支援・就労訓練・子どもの学習生活支援・居住支援)
- 入口は市区町村の自立相談支援機関。1か所でまとめて相談できる
- 家計改善支援事業は「見える化」から始まり、自分で管理できる形に戻すことを目指す
- 住まいの支援は住居確保給付金、当座の現金は社会福祉協議会の生活福祉資金につながる
- 相談の前に、収入・毎月の支出・滞納の3つを書き出しておくと早く進む
窓口の電話番号が分かれば、今日のうちに相談を始められます。数字を書き出して持っていくと、その日に話が進みます。
この記事で参照した公的情報
- 生活困窮者自立支援制度(概要・対象者・7つの事業=自立相談支援事業・住居確保給付金の支給・就労準備支援事業・家計改善支援事業・就労訓練事業・子どもの学習生活支援事業・居住支援事業)
- 住居確保給付金について(家賃補助と転居費用補助・原則3か月で最長9か月・貸主の口座へ直接振込・求職活動の要件)
- 生活福祉資金貸付制度(実施主体は都道府県社会福祉協議会・貸付対象の3区分・貸付利子・コールセンター)
- 生活保護制度(最低限度の生活の保障・福祉事務所への相談)
- 生活困窮者自立支援制度の沿革(第1のセーフティネットである社会保険や労働保険と、第3のセーフティネットである生活保護の間の第2のセーフティネット・生活保護に至る前の段階で自立に向けた支援を行う)
- 生活自立支援(住居確保給付金(家賃補助)の相談受付時間=窓口と電話で別・住居確保給付金の必要書類)
- 生活福祉資金貸付条件等一覧(緊急小口資金10万円以内・無利子・保証人不要)
- 生活福祉資金貸付制度について(全国社会福祉協議会の資料。総合支援資金と緊急小口資金は、自立相談支援事業の利用が原則要件化されている)
- 窓口
- 厚生労働省(全国社会福祉協議会の資料を掲載)
- 確認日
- 確認先
- https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001092878.pdf