犬の健康診断の費用は、1日ドックで中央値16,250円|血液検査だけ・レントゲンやエコーまでの額、7歳からの回数と1年の予算

犬の健康診断の費用は、日本獣医師会が全国の動物病院に聞いた調査(令和3年)で、健康診断(1日ドック)の料金の中央値が16,250円です。いちばん答えの多かった料金の幅は2万〜2万5千円未満で、1日ドックを置いていない病院も37.0%ありました。
コースではなく検査を選んで受けるなら、額は選んだ検査で決まります。検査ごとの中央値で見ると、血液検査までなら9,250円、尿と便も調べて11,500円、レントゲンとお腹のエコーまで受けると19,500円が目安です。
健康な犬の健康診断の費用は、ペット保険で補償されない場合があり、所得税の医療費控除の対象にもなりません。受ける月を決めて、家計から出す額として先に取り分けておきます。
健康診断は、血液検査だけの形とレントゲンまで入った形で、額がずいぶん違います。どこまで受ければよいのか、毎年いくら見ておけばよいのかを知りたいです。
犬の健康診断(1日ドック)の料金は、中央値16,250円
額の出どころは、日本獣医師会の「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」です。令和3年8月〜10月に動物病院を開く獣医師に聞き、1,096件の答えを令和5年9月に公表しました。
料金は「15,000〜17,500円未満」のような幅から選ぶ形で、健康診断(1日ドック)は麻酔料を除いて聞いています。犬と猫を分けずに聞いた項目で、1日ドックにどの検査を含むかは、公表された調査結果には示されていません。
前回の平成27年の調査では14,021円で、令和3年までの間に2,000円あまり上がりました。初診料や時間外の料金も上がっていて、調査をまとめた日本獣医師会は、全体に料金が引き上げられているとしています。
料金の幅ごとの病院の数
表は、調査の1日ドックの答えを、幅ごとに調査のとおり並べたものです。幅は左の額以上・右の額未満で、割合は「対応外」と無回答を含む1,096件の中の割合です。
| 料金の幅 | 病院の数 | 割合 |
|---|---|---|
| 2,000〜3,000円 | 1件 | 0.1% |
| 3,000〜5,000円 | 6件 | 0.5% |
| 5,000〜7,500円 | 17件 | 1.6% |
| 7,500〜10,000円 | 63件 | 5.7% |
| 10,000〜12,500円 | 86件 | 7.8% |
| 12,500〜15,000円 | 83件 | 7.6% |
| 15,000〜17,500円 | 87件 | 7.9% |
| 17,500〜20,000円 | 82件 | 7.5% |
| 20,000〜25,000円 | 111件 | 10.1% |
| 25,000〜30,000円 | 63件 | 5.7% |
| 30,000〜40,000円 | 31件 | 2.8% |
| 40,000〜50,000円 | 5件 | 0.5% |
| 50,000円以上 | 3件 | 0.3% |
| 対応外 | 405件 | 37.0% |
| 無回答 | 53件 | 4.8% |
幅ごとに見ると、2万〜2万5千円未満が111件(全体の10.1%)で、ほかのどの幅よりも件数が上でした。1万円から2万円までの4つの幅も、どれも7%台で並んでいます。見積もりの額が表のどこに入るかを見ると、高いか安いかの見当がつきます。
1日ドックを「対応外」と答えた病院は、全体の37.0%でした。健康診断のコースを置いていない病院では、検査を1つずつ選んで受けることになり、額も選んだ検査で決まります。
検査ごとの料金(中央値)
健康診断の中身は、獣医師が体を見て触る身体検査と、血液・尿・便の検査、レントゲンや超音波(エコー)の画像の検査などの組み合わせです。同じ調査の中央値は次のとおりです。
| 検査 | 分かること | 中央値 |
|---|---|---|
| 採血料 | 血を採る料金 | 750円 |
| CBC検査 | 貧血や炎症 | 1,500円 |
| 生化学検査 | 肝臓・腎臓の働き | 6,250円 |
| 尿検査 | 腎臓・膀胱・糖 | 1,500円 |
| 糞便検査 | 寄生虫など | 750円 |
| レントゲン | 骨・心臓・肺 | 4,000円 |
| 腹部エコー | 肝臓・腎臓など | 4,000円 |
| 心エコー | 心臓の形と動き | 4,000円 |
| 心電図 | 不整脈 | 2,500円 |
| 血圧測定 | 血圧 | 1,500円 |
どれも麻酔料を除き、犬と猫を分けずに聞いた額です。生化学検査はスクリーニング検査の費用、糞便検査は直接法、レントゲンは単純撮影の料金で、どこを何枚撮るかでも額は変わります。
このほか、甲状腺ホルモン(T4)の検査が4,000円、フィラリアの抗原検査が2,500円でした。診察の料金は、初診料が1,500円、再診料が750円です。
受ける検査の組み合わせと合計の例
表は、かかりつけの病院で受ける形にして、再診料750円に検査の中央値を足していった例です。上の行の検査に、下の行で検査を足していきます。
| 組み合わせ | 足す検査 | 合計の例 |
|---|---|---|
| 血液検査まで | 採血・CBC・生化学 | 9,250円 |
| 尿と便も | 尿検査・糞便検査 | 11,500円 |
| 画像まで | レントゲン・腹部エコー | 19,500円 |
| 心臓まで | 心エコー・心電図・血圧 | 27,500円 |
初めての病院で受けるなら、再診料の代わりに初診料1,500円がかかり、どの行も750円上がります。どの額も、検査ごとの真ん中の料金を積み上げた目安で、この組み合わせで実際に払われた額の真ん中ではありません。
1日ドックの中央値16,250円は、検査を1つずつ足した「画像まで」の例より低い額です。コースの額だけで比べず、コースにどの検査が入っているかを聞いて、表の行と並べます。
若い犬は血液検査、年をとったら画像も
若いうちは血液検査までにとどめ、年齢が上がってからレントゲンや超音波の検査を足していく、という考え方があります。体の外から見えない内臓の変化は、画像で見つかることがあるためです。
持病のある犬や、かかりやすい病気が分かっている犬種では、そのための検査を足すこともあります。どの組み合わせにするかは、犬の年齢と体の様子を伝えて、獣医師と決めます。
フィラリアの予防を始める前には、フィラリアの検査のために血を採ることがあります。そのときに血液検査を一緒に頼めるかを聞くと、採血を1回で済ませられます。
コースに入っている検査を確かめる
健康診断の料金や中身は病院ごとに決まっていて、同じ「健康診断」でも入っている検査が違います。予約の前に、次のことを聞いておくと、額の差の理由が分かります。
- 入っている検査:血液検査の項目の数、尿と便、レントゲンとエコーが入っているか
- 画像の範囲:レントゲンは胸とお腹のどちらか、エコーはお腹だけか心臓もか
- 結果の日:外の検査機関に出す検査があるか、結果を聞く日に再診料がかかるか
- 尿と便:家で採って持っていくか、病院で採るか
- 割引の時期:健康診断の料金を下げる時期を決めているか
割引の時期を設ける病院もあります。受ける月を動かせるなら、その時期に合わせると額を抑えられることがあります。
何歳から、年に何回受けるか
健康診断を何歳から、年に何回受けるかに、決まりはありません。子犬のうちはワクチンの接種で何度か病院に行くので、その通院が終わる1歳ごろから、年1回のペースで始める考え方があります。
小型犬と中型犬は7歳ごろ、大型犬は5歳ごろからシニア期に入るとされ、半年に1回を目安に受ける考え方があります。持病がある犬は、病気の様子を見るために、もっと短い間隔で検査を受けることもあります。
1日ドックの中央値で年の額を見ると、年1回なら16,250円、年2回なら32,500円です。シニア期に入る前の年に、回数を増やした後の1年の額を見積もっておくと、急に支出が増えて慌てずに済みます。
元気なうちから受けておくと、その犬の健康なときの数値が残ります。後で体調を崩したときに比べられるので、若いうちの1回も、年をとってからの検査の役に立ちます。
受ける前に確かめること
当日の朝に犬の元気や食欲がいつもと違うときは、検査の前にそのことを病院に伝えます。体調によっては健康診断をやめ、その日の不調を診てもらう形に変わることがあります。
血液検査や超音波検査の前には、食事を抜くように言われることがあります。何時間前から抜くか、水は飲ませてよいか、ふだん飲んでいる薬はどうするかを、予約のときに聞きます。
尿と便は、当日の朝に採って持っていくように言われることがあります。同じ調査で、尿の採取料(お腹を押して出す方法)と便の採取料の中央値は0円でした。
家で尿が採れず、病院でカテーテルを入れたり膀胱に針を刺したりして採るときは、採取料の中央値が1,500円です。採り方は病院で教えてもらえるので、前の日までに聞いておきます。
保険と医療費控除の扱い
健康診断の費用は、予防のための支出として、家計から出す前提で考えます。ペット保険と税金での扱いは次のとおりです。
ペット保険は、健康なときの健康診断を補償しない場合がある
損害保険会社の業界団体である日本損害保険協会は、ペット保険が補償するのは主に入院・手術・通院の費用だと説明しています。健康な犬が受ける健康診断の費用は、補償の対象とならない場合があるとしています。
健康診断で異常が見つかり、病気を調べる検査や治療に進んだときは、その費用が契約によって補償の対象になることがあります。健康診断の費用の一部を補う特約のある保険もあるので、入っている保険の約款で確かめます。
精密な検査に進むと、額は大きくなります。同じ調査の中央値は、CT検査が造影なしで35,000円、MRI検査が45,000円で、どちらも麻酔料は別です。保険の考え方は、ペット保険は必要?にまとめています。
医療費控除の対象にはならない
所得税の医療費控除は、自分や、生計を一にする配偶者その他の親族のために払った医療費が対象です。犬の健康診断や治療の費用は、この対象に入りません。動物の治療費が払えないときの相談のしかたは、ペットの医療費が払えないときにまとめています。
1年の額を家計簿で月に割る
健康診断の費用は毎月ではなく、受ける月にまとめて出るお金です。年に何回、どの組み合わせで受けるかを決めて、1年の額を先に出しておきます。

図は、7歳を過ぎた犬が、春に画像まで、秋に血液検査までを受ける形にした例です。書く順は次の3つで、ノートでも表計算のソフトでも同じです。
ステップ1病院の料金と中身を書き写す10分
かかりつけの病院の健康診断の料金を、コースならコースの額と入っている検査、単体なら検査ごとの額で書きます。組み合わせの例の表の行と比べると、病院の額が高めか低めかの見当がつきます。
ステップ2受ける月を決めて、1年の額を出す5分
年1回なのか2回なのか、どの月にどの組み合わせを受けるかを決めて、額を足します。フィラリアの検査や狂犬病の予防注射の月と同じにするなら、その額も同じ月に書きます。
ステップ312で割って、毎月取り分ける3分
1年の額を12で割った額を、毎月「ペット」の欄に取り分けておくと、受ける月に慌てずに払えます。ワクチンの額は犬のワクチンの費用は年間いくら?、1年全体の額は犬を飼う費用は一生でいくら?で見られます。
よくある質問
Q血液検査だけなら、いくらかかりますか
日本獣医師会の調査(令和3年)の中央値では、採血料750円、CBC検査1,500円、生化学検査6,250円で、再診料750円を足すと9,250円です。血液検査の項目を増やすと、そのぶん高くなります。
Q健康診断は何歳から受ければいいですか
決まった年齢はなく、1歳ごろから年に1回を目安に受け始める考え方があります。7歳ごろ(大型犬は5歳ごろ)からは、半年に1回を目安にする考え方があります。
Q猫の健康診断も、同じくらいの額ですか
日本獣医師会の調査は、健康診断(1日ドック)の料金を犬と猫に分けずに聞いていて、中央値16,250円は猫も含めた病院の料金です。猫を飼う費用全体は、猫を飼う費用はいくら?にまとめています。
Q健康診断の費用に、ペット保険は使えますか
健康な犬が受ける健康診断の費用は、補償の対象とならない場合があります。異常が見つかった後の検査や治療は、契約によって対象になることがあるので、約款で確かめます。
Q犬の健康診断の費用は、医療費控除に入れられますか
入れられません。医療費控除は、自分や生計を一にする配偶者その他の親族のために払った医療費が対象で、犬の診療の費用は入りません。
Q費用を抑える方法はありますか
若い犬なら血液検査までにするなど、受ける検査を獣医師と選ぶと額が変わります。フィラリアの検査の採血と一緒に頼む、尿と便を家で採って持っていく、病院が割引をする時期に合わせる、といった方法もあります。
まとめ
- 犬の健康診断(1日ドック)の料金の中央値は16,250円(日本獣医師会 令和3年の調査・麻酔料を除く・犬と猫を分けずに聞いた額)
- 料金の幅で件数が最大なのは2万〜2万5千円未満(全体の10.1%)。1日ドックを置いていない病院が37.0%あった
- 検査の中央値を足すと、血液検査まで9,250円、尿と便も11,500円、画像まで19,500円、心臓まで27,500円の例
- 1歳ごろから年1回、7歳ごろ(大型犬は5歳ごろ)から半年に1回を目安にする考え方がある
- 健康な犬の健康診断はペット保険で補償されない場合があり、医療費控除の対象にもならない
- 受ける月と組み合わせを決めて1年の額を出し、12で割った額を毎月取り分けておく
年齢に合わせて受ける検査を選ぶと、1回の額は検査ごとの中央値から見当がつきます。受ける月まで決めておけば、1年の額も、毎月の取り分けもそこから決まります。
この記事で参照した公的情報
- 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(令和3年8月2日〜10月25日・小動物診療施設の開設者・回答1,096件・料金を金額の幅から選ぶ形・令和5年9月公表)の中央値(検査は麻酔料を除く・犬と猫を分けずに聞いた項目)=健康診断(1日ドック)16,250円(平成27年の調査は14,021円)、1日ドックの幅=2,000〜3,000円未満1件・3,000〜5,000円未満6件・5,000〜7,500円未満17件・7,500〜10,000円未満63件・10,000〜12,500円未満86件・12,500〜15,000円未満83件・15,000〜17,500円未満87件・17,500〜20,000円未満82件・20,000〜25,000円未満111件・25,000〜30,000円未満63件・30,000〜40,000円未満31件・40,000〜50,000円未満5件・50,000円以上3件・対応外405件(37.0%)・無回答53件、初診料1,500円・再診料750円、採血料750円・CBC検査1,500円・生化学検査(スクリーニング)6,250円・フィラリア検査(抗原検査)2,500円、尿検査の採取料(圧迫)0円・(カテーテル採尿)1,500円・(膀胱穿刺)1,500円・検査料(尿比重・試験紙・沈渣)1,500円、糞便検査の採取料0円・直接法750円、エックス線検査(単純撮影)4,000円、心エコー4,000円・腹部エコー4,000円、心電図検査2,500円、血圧測定1,500円、T4 4,000円、CT検査(造影なし)35,000円、MRI検査45,000円、全身麻酔11,250円
- 窓口
- 公益社団法人 日本獣医師会(獣医師の団体の調査)
- 確認日
- 確認先
- https://jvma-vet.jp/clinic/ryokin_pdf/r5.pdf
- ペット保険(主に入院・手術・通院の費用が補償の対象・ペットの治療費は公的医療保険制度が無いため全額自己負担・健康体なペットが受ける予防接種・病気予防の診療・健康診断・去勢・避妊手術などに係る費用は補償の対象とはならない場合がある)
- 窓口
- 一般社団法人 日本損害保険協会(損害保険会社の業界団体)
- 確認日
- 確認先
- https://www.sonpo.or.jp/insurance/pet/index.html
- No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること)
