再雇用で給料は何割下がる?|60代前半の平均は50代後半の約8割、給付金を足した月の額の早見と下がりすぎたときの相談先

再雇用で給料が何割下がるかは、勤め先の再雇用の決まりで決まります。国の統計で見ると、国税庁の令和7年分民間給与実態統計調査では、60〜64歳の1年間の平均給与は481万円で、55〜59歳の573万円の約84%でした。年齢ごとの平均で比べると、2割近く低くなっています。
統計は同じ人を追った数字ではなく、定年が65歳以上の会社や、60歳後も条件が同じ人も入ります。大きな会社を調べた中央労働委員会の令和7年の調査では、再雇用のときの基本給の時間単価を定年時の「50%以上80%未満」とする会社が60.4%で、「50%未満」も16.5%ありました。
雇用保険の被保険者だった期間が5年以上あるなどの条件を満たす人は、60歳時点の賃金の75%未満に下がると、高年齢雇用継続給付で下がった分の一部が補われます。割合ごとの月の額は、下の早見の表で自分に当てはめられます。
再雇用の面談を前に、給料がどこまで下がるのか見当がつきません。下がった後の月の額で暮らしが回るのかも心配です。
60歳以降の給料は、統計の平均で約8割
60歳前後の給料の水準は、国税庁と厚生労働省の2つの統計で、年齢ごとに比べられます。どちらも、60〜64歳の平均は55〜59歳より低く、65〜69歳はさらに低くなっています。

1年間の給与(国税庁)
国税庁の調査は、1年を通じて勤めた人の、賞与を含む1年間の給与の平均です。55〜59歳を100とすると、60〜64歳は約84、65〜69歳は約65になり、65〜69歳の平均給与は375万円でした。
男女別に同じ計算をすると、男性は55〜59歳の734万円に対して60〜64歳が約83%、女性は約86%です。男性のほうが、60歳を過ぎてからの下がり方が大きく出ています。
月の給与(賃金構造基本統計調査)
厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、フルタイムで働く人(一般労働者)の6月分の所定内給与を見ています。残業代と賞与を含まない、毎月決まって払われる額です。
男女計の所定内給与の平均は、55〜59歳が39万6,200円、60〜64歳が32万9,300円で、約83%です。65〜69歳は28万5,300円で、約72%でした。男性だけで見ると、60〜64歳は55〜59歳の約80%です。
低い順に並べた真ん中の人の額(中位数)は、55〜59歳が34万6,500円、60〜64歳が27万8,200円で、約80%です。年齢ごとの給料の平均と中位数は給料の平均は年代別にいくら?にあります。
会社の再雇用の決まりでは、基本給は定年時の5〜8割が多い
統計の平均よりも再雇用の人の下がり方に近いのが、会社に再雇用の条件を聞いた調査です。中央労働委員会の「令和7年退職金、年金及び定年制事情調査」は、原則として資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上の会社を対象にしています。
定年のある149社のうち140社(94.0%)が継続雇用制度をとり、その140社のすべてが、いったん退職して改めて契約を結ぶ再雇用制度を採用していました。再雇用したときの主な形を聞くと、「嘱託社員」と答えた会社が58.6%、「契約社員」が24.3%で、「正社員」は5.7%です。
再雇用制度のある会社(計139社)に、再雇用のときの条件を、定年退職のときや定年前の社員と比べて答えてもらった結果です。割合は139社に占める会社の数の割合です。
| 比べた項目 | 会社の答え | 割合 |
|---|---|---|
| 所定労働時間 | 定年退職時と同じ | 79.1% |
| 基本給の時間単価 | 50%以上80%未満 | 60.4% |
| 基本給の時間単価 | 50%未満 | 16.5% |
| 定期昇給 | なし | 80.6% |
| 賞与 | 定年前より低い水準 | 64.0% |
| 賞与 | 支給なし | 17.3% |
基本給の時間単価が「80%以上100%未満」の会社は11社、「定年退職時と同じ」は6社でした。働く時間が同じまま時間単価が5割から8割になれば、月の基本給も同じ割合に下がります。そこに昇給が無く、賞与も下がると、1年の給与はさらに減ります。
この数字は大きな会社だけの調査で、会社の数を数えたものです。勤め先がどの形かは、示された再雇用の条件で確かめるしかありません。
自分の月の額を、給付金を足して出す
再雇用で示された月の給料を、60歳時点の賃金で割ると、自分の下がり方が分かります。割合で、高年齢雇用継続給付が出るかと、その額が決まります。
割合の出し方
割合は「再雇用後の月の給料÷60歳時点の賃金月額×100」で出します。60歳時点の賃金月額は、原則として60歳になる前6か月間の平均の賃金で、ハローワークから届く受給資格確認通知書や支給決定通知書に書かれています。
給付金は、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の人が対象で、60歳になった月から65歳になる月まで支給されます。令和7年4月1日以降に60歳になった人は、割合が64%以下なら月の給料の10%、64%を超えて75%未満なら10%より低い率で支給されます。
割合ごとの月の額の早見
60歳時点の賃金月額を34万円と置いた例で、割合ごとの月の給料と給付金を並べました。令和7年4月1日以降に60歳になった人の率で計算しています。
| 割合 | 月の給料 | 給付金 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 80% | 27万2,000円 | 0円 | 27万2,000円 |
| 70% | 23万8,000円 | 9,900円 | 24万7,900円 |
| 64% | 21万7,600円 | 2万1,760円 | 23万9,360円 |
| 60% | 20万4,000円 | 2万400円 | 22万4,400円 |
| 50% | 17万円 | 1万7,000円 | 18万7,000円 |
金額は例です。70%のときの支給率は、ハローワークの早見表で4.16%になり、23万8,000円×4.16%の小数点以下を切り捨てて9,900円です。75%以上に当たる80%の行は、給付金が出ません。
給付金で戻るのは、下がった分のごく一部です。60歳時点が34万円で再雇用後が60%なら、給料は13万6,000円下がり、給付金を足しても合計は60歳時点より11万5,600円少なくなります。
手取りの見当のつけ方
表の給料は、税金や社会保険料を引く前の額です。手取りは、給料から健康保険・厚生年金・雇用保険の保険料と、所得税・住民税を引いた額になります。引かれる額の出し方は年収と手取りの違いと社会保険料の計算方法にあります。
給付金は課税の対象になりません。支給の申請は原則として2か月に一度で、支給が決まると本人の口座に給料とは別に振り込まれるので、家計簿では給料と分けて、入った月に書くと月ごとの額がつかみやすくなります。
令和7年3月31日以前に60歳になった人は率が違い、割合が61%以下なら15%です。条件のくわしい話と申請のしかたは高年齢雇用継続給付にまとめています。
年金を受けている人
60歳から65歳までの間に、特別支給の老齢厚生年金を受けながら給付金を受けると、給付金の額に応じて年金の一部が止まる場合があります。どれだけ止まるかは、年金事務所で確かめられます。
65歳を過ぎて働くと、給料と年金の合計によって年金が止まる在職老齢年金のしくみがあります。止まる額の出し方は在職老齢年金とはにあります。
再雇用の条件が示されたら確かめること
高年齢者雇用安定法の第9条は、65歳未満の定年を定めている会社に、定年の引上げ・継続雇用制度の導入・定年の定めの廃止のどれかを求めています。65歳まで働ける道を用意する決まりで、再雇用後の賃金の額を定めた条文ではありません。
再雇用の給料は、会社が示す条件で決まります。面談で示された条件は、次の点を書面で確かめておくと、あとで割合や給付金を計算し直すときにも使えます。
- 契約の形と期間:嘱託・契約社員・パートのどれか、1年ごとの契約か、更新の条件と何歳まで更新できるか
- 働く時間と日数:定年前と同じか、短くなるか(時間が短くなると、時間単価が同じでも月の額は減る)
- 基本給と手当:月の基本給、時間単価、どの手当が残り、どれがなくなるか
- 賞与と昇給:賞与があるか、どの程度か、昇給があるか
- 仕事の内容と責任:定年前と同じ仕事か、責任の重さや異動の範囲が変わるか
有期の契約やパートとして再雇用された人は、正社員と比べて待遇がなぜ違うのかを会社に聞くことができます。パートタイム・有期雇用労働法の第14条第2項で、求めがあれば会社は待遇の違いの内容と理由を説明しなければならず、第3項で、求めたことを理由とする不利益な扱いも禁じられています。
下がりすぎと感じたときの法律と相談先
パートタイム・有期雇用労働法の第8条は、有期やパートの人と正社員の間で、基本給や賞与などの待遇ごとに不合理な違いを設けることを禁じています。仕事の内容と責任の重さ、異動の範囲などを、その待遇の性質や目的に照らして考えます。
6割の線は、最高裁で差し戻された
最高裁の令和5年7月20日の判決の事件は、自動車学校で定年後に再雇用された教習指導員が、仕事は変わらないのに基本給と賞与を下げられたと争った裁判です。第一審と第二審は、定年時の6割に満たない部分の差額を払うよう会社に命じました。
最高裁はこれを差し戻し、正職員と嘱託職員の基本給・賞与それぞれの目的と性質をつかんだうえで、労使交渉の経緯も考えて判断すべきだとしました。6割に満たない部分を違法とした判断は、そのままでは認められなかったことになります。
運送会社の運転手の事件(最高裁 平成30年6月1日判決)では、皆勤手当などを払わないことは不合理とされました。一方で、年収が定年前の8割程度だったことは不合理と判断されていません。
下がり方が大きいと感じたら、まず第14条で違いの理由の説明を求め、仕事の内容と比べて納得できるかを考えます。説明を聞いても納得できないときは、次の相談先があります。
相談先
再雇用の条件や待遇の違いについては、都道府県労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーで相談できます。全国に378か所あり、予約はいらず、相談は無料です。
会社との話し合いがまとまらないときは、都道府県労働局長による助言・指導や、紛争調整委員会のあっせんを申し込めます。有期やパートの人の正社員との待遇の違いの争いは、パートタイム・有期雇用労働法により、労働局長の助言・指導・勧告と、紛争調整委員会の調停で扱われます。
給付金の支給・不支給の決定や額については、手続きをしたハローワークに問い合わせます。年金が止まる額については、年金事務所で確かめられます。
まとめ
- 国税庁の令和7年分の統計では、60〜64歳の平均給与481万円は55〜59歳573万円の約84%。月の所定内給与では約83%。年齢ごとの平均の比べで、2割近く低い
- 大きな会社の令和7年の調査では、再雇用の基本給の時間単価を定年時の50%以上80%未満とする会社が60.4%、50%未満が16.5%。昇給なしが80.6%
- 自分の割合は「再雇用後の月の給料÷60歳時点の賃金月額×100」。75%未満なら高年齢雇用継続給付の対象で、64%以下なら月の給料の10%(令和7年4月1日以降に60歳になった人)
- 給付金は非課税で、申請は原則2か月に一度。足しても60歳時点との差の一部しか戻らない
- 示された条件は、契約の形・働く時間・基本給と手当・賞与・仕事の内容を書面で確かめる。有期やパートなら待遇の違いの理由の説明を求められる
- 下がりすぎと感じたら総合労働相談コーナーへ。「6割に満たない部分は違法」とした判断は最高裁で差し戻され、基本給・賞与の目的と性質や労使交渉の経緯も考えて判断するとされた
この記事で参照した公的情報
- 令和7年分 民間給与実態統計調査 第10表 事業所規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額(その3 平均給与・事業所規模の合計の行・1年を通じて勤務した給与所得者/計=55〜59歳5,731千円・60〜64歳4,811千円・65〜69歳3,749千円/男=55〜59歳7,341千円・60〜64歳6,125千円・65〜69歳4,741千円/女=55〜59歳3,571千円・60〜64歳3,068千円・65〜69歳2,380千円)
- 令和7年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告(調査の対象=令和7年12月31日現在の源泉徴収義務者(民間の事業所に限る)に勤務している給与所得者・年齢階層別の平均給与=男性は55〜59歳の734万円が最も高い)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(第2表 性、年齢階級別賃金=一般労働者の所定内給与額・男女計 55〜59歳396.2千円・60〜64歳329.3千円・65〜69歳285.3千円/男 445.6・358.5・304.3/女 305.7・270.8・240.7)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 第3表 年齢階級、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値(男女計の中位数=55〜59歳346.5千円・60〜64歳278.2千円)
- 令和7年退職金、年金及び定年制事情調査 調査の説明(中央労働委員会が隔年で実施・令和7年6月末日現在・原則として資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上の企業から選んだ380社・回答207社・集計198社)
- 窓口
- 中央労働委員会
- 確認日
- 確認先
- https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/25/dl/05.pdf
- 令和7年退職金、年金及び定年制事情調査 調査結果の概要 5 継続雇用制度(継続雇用制度を採用140社=定年制のある149社の94.0%・全てで再雇用制度/再雇用時に最も多い形態=嘱託社員58.6%・契約社員24.3%・正社員5.7%/表16 再雇用時と定年退職時の比較=所定労働時間が定年退職時と同じ110社(139社の79.1%)・基本給の時間単価が50%以上80%未満84社(60.4%)・50%未満23社(16.5%)・80%以上100%未満11社・同じ6社/表17=定期昇給なし112社(80.6%)・一時金(賞与)が低い水準89社(64.0%)・支給なし24社(17.3%))
- 窓口
- 中央労働委員会
- 確認日
- 確認先
- https://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/25/dl/07.pdf
- 雇用継続給付(高年齢雇用継続給付=雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者・原則として60歳時点に比べて75%未満に低下・64%以下は各月の賃金の10%・64%超75%未満は10%未満・各月の賃金が397,369円を超える場合は支給されない・令和7年3月31日以前に60歳に達した人は61%以下で15%)
- 窓口
- 厚生労働省・ハローワーク
- 確認日
- 確認先
- https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_continue.html
- 高年齢雇用継続給付の内容及び支給申請手続(賃金月額=原則として60歳に到達する前6か月間の平均賃金・受給資格確認通知書や支給決定通知書に記載/支給率早見表=低下率70.00%は4.16%/支給率は小数点以下第3位を四捨五入・支給額は小数点以下を切り捨て/支給申請は原則として2か月に一度/最低限度額)
- 窓口
- 厚生労働省・ハローワーク
- 確認日
- 確認先
- https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/kounenrei.pdf
- Q&A~高年齢雇用継続給付~(Q18 給付額に応じ年金の一部が支給停止される場合がある・Q19 課税の対象とならない)
- 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 第9条(定年(65歳未満のものに限る)の定めをしている事業主は、定年の引上げ・継続雇用制度の導入・定年の定めの廃止のいずれかを講じなければならない)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000068
- 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第8条(不合理な待遇の禁止)・第14条第2項(求めがあったときの通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由の説明)・第3項(求めたことを理由とする不利益な取扱いの禁止)・第23条〜第25条(第8条・第14条などの紛争は個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律のあっせん等の規定を適用せず、都道府県労働局長の助言・指導・勧告と紛争調整委員会の調停による)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000076
- 日本労働研究雑誌 No.777(2025年4月号)「なぜ定年後に労働条件が切り下げられるのか」(定年後に再雇用された自動車学校の教習指導員の事件=最判令和5年7月20日・第一審と第二審は6割に満たない部分の差額の支払いを命じたが、最高裁は基本給・賞与の目的・性質と労使交渉の経緯も勘案して判断すべきとして差し戻した/運送会社の運転手の事件=最判平成30年6月1日・皆勤手当など各種手当の不支給等は不合理と認められ、年収が定年前の8割程度であったことや賞与の不支給は不合理とは判断されていない)
- 窓口
- 独立行政法人 労働政策研究・研修機構
- 確認日
- 確認先
- https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/04/pdf/008-012.pdf
- 総合労働相談コーナーのご案内(各都道府県労働局・全国の労働基準監督署内などの378か所・予約不要)・個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん・利用は無料)
