賃貸の火災保険は自分で選べる?相場と、指定の保険を断るときの確かめ方、家財と借家人賠償の額の決め方

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賃貸の火災保険は、管理会社や不動産会社が案内する保険に入る義務はなく、自分で選んだ保険に入れます。ただし、契約書で指定の保険への加入や、借家人賠償の額が条件になっている物件もあるので、先に管理会社に確かめます。

自分で選んだときの保険料は、家財300万円で見積もった民間の試算(2022年3月)で、1年あたり4,770円〜7,600円でした。管理会社を通した2年契約では、1万円台後半〜2万円台の案内を受けることもあるとされます。

指定の保険でないと入居できない物件や、すでに指定の保険に入った人の切り替え方は、後半にまとめました。家財と借家人賠償の額は、契約書の指定と、自分の持ち物を買い直す額から決めます。

管理会社が案内する火災保険のほかに、自分で選んだ保険にしてよいのかが分かりません。断ると入居に響かないかも心配です。

自分で選べるかは、契約書の書き方で決まる

部屋を借りる人に、火災保険に入る法律上の義務はありません。ただ、賃貸の契約書の特約に火災保険への加入を書くのが一般的とされ、加入が入居の条件になっています。

加入が条件でも、どの保険に入るかまで決まっているとは限りません。次の表は、契約書の保険の項目の書き方ごとに、自分で選べるかと、することを並べたものです。

契約書の書き方 自分で選べるか すること
火災保険に加入する 基本は選べる 加入の証明を出す
借家人賠償の額の指定あり 額を満たせば選べる 指定の額以上で入る
指定の保険に加入する 断れないことがある 契約の前に相談する
建物全体で一括して加入 選べないことがある 物件選びで確かめる

建物の入居者の保険を、管理会社や大家がまとめて管理している物件では、指定の保険への加入を前提に契約が組まれていることがあります。指定の保険を断ると、入居の審査に通らないこともあるとされます。

断れない物件だと分かったら、指定の保険の補償と保険料を確かめて入るか、物件を選び直すかを決めます。部屋を探す段階で、保険の条件を不動産会社に聞いておくと、契約のときに迷わずにすみます。

管理会社に確かめること

自分で選ぶときは、契約の前に、管理会社か不動産会社に次のことを確かめます。補償の額や出す書類が決まっていれば、その条件に合う保険を選びます。

  • 指定の保険でなくてもよいか
  • 借家人賠償と個人賠償の額に指定があるか
  • 保険期間は1年でよいか、2年が要るか
  • 保険証券や加入の証明書のどれを、いつまでに出すか
  • 保険の始まる日を、入居日や更新日に合わせるか

不動産会社が保険を勧める理由は、契約の条件を満たすためだけとは限りません。紹介して加入すると手数料が払われるので、勧められた保険の補償と保険料が自分に合うかを見比べます。

賃貸の火災保険の相場

賃貸向けの火災保険の保険料は、家財の保険金額、借家人賠償と個人賠償の額、地震保険や水災の補償を付けるか、保険期間と払い方で変わります。全国で決まった額はないので、試算や目安で幅をつかみます。

家財300万円の試算では、年4,770円〜7,600円

民間の不動産の情報サイトが2022年3月に、賃貸向けの3つの保険と1つの共済を、家財300万円で見積もった試算があります。1年あたりの保険料は4,770円〜7,600円で、借家人賠償は1,000万円か2,000万円、個人賠償は1,000万円〜3億円でした。

4つは借家人賠償と個人賠償の額がそろっていないので、保険料だけで比べず、同じ額にそろえて見積もりを並べます。2022年の試算なので、今の保険料は見積もりで確かめます。

管理会社の案内の額と、家財を小さくした場合

2026年6月時点の目安では、管理会社を通した2年契約で1万円台後半〜2万円台の案内を受けることもあるとされます。インターネットで申し込む保険には、家財の額を小さくすると年3,000円台から入れるものもあります。家財を小さくしたぶん、持ち物の損害で出る保険金も小さくなります。

一人暮らしの火災保険の相場を、およそ8,000〜9,000円とする目安もあります。1年分か2年分かが示されていない目安なので、自分の見積もりと比べるときは期間をそろえます。

持ち家も含めて、保険料が建物の構造や地域で決まるしくみは火災保険の相場の記事にまとめています。賃貸の家財の保険は建物を対象にしないので、建物の構造の区分よりも、家財と賠償の額の選び方で保険料が変わります。

賃貸の火災保険の3つの補償

賃貸の建物の火災保険には、持ち主の大家が入ります。借りる人が入る賃貸向けの保険は、家財、借家人賠償、個人賠償の3つの補償を組み合わせたものです。

家財の補償:自分の持ち物

家具や家電、服など、自分の持ち物の損害を補償します。火事のほか、落雷、風災、盗難などを補償の範囲に入れている保険があり、範囲は保険ごとに違います。

地震や噴火、津波による損害は火災保険では補償されず、地震保険を付けて備えます。1個または1組の値段が高い貴金属や美術品は、契約のときに申し出ないと補償の対象にならない保険があります。

借家人賠償:大家への賠償

借りている部屋を火事や水漏れで傷めたときの、大家への賠償に備える補償です。民法 第621条は、借りた人が受け取ったあとに部屋に生じた損傷を、契約が終わるときに元に戻す義務を定めています。

この義務から、通常の使い方による傷みと経年変化、借りた人の責めによらない損傷は除かれます。失火ノ責任ニ関スル法律は、重大な過失が無ければ火事に民法 第709条を当てはめないとする法律で、第621条の義務については書いていません。

借家人賠償で保険金が出るのは、火災、破裂・爆発、水漏れの事故に限る保険があります。床の傷や壁紙のはがれのような破損・汚損は、借家人賠償では補償されないことがあります。

個人賠償:ほかの人への賠償

洗濯機の水漏れで下の階の部屋を濡らしたときや、自転車でほかの人にけがをさせたときの賠償に備えます。保険によっては、一緒に住む家族も補償の対象になります。

自動車保険やクレジットカードに、同じ補償が付いていることがあります。2つ入っていても損害の額を超えて受け取れるわけではないので、重なっていれば外せるかを確かめます。

自転車の事故の補償と、都道府県の条例で加入が義務かどうかは自転車保険は義務?にまとめています。個人賠償を外すときは、家族全員が別の保険で補償されているかも見ます。

家財と借家人賠償の額の決め方

家財は、買い直す額を積み上げる

家財の保険金額は、今の持ち物を買い直すのにかかる額で決めます。実際の額より多くしても保険料が上がるだけで、保険金は買い直す額までしか出ません。

次の表は、一人暮らしで、家電と家具をひととおりそろえた部屋の例です。持ち物のまとまりごとに、買い直す額を置いて足しています。

持ち物のまとまり 買い直す額(例)
冷蔵庫・洗濯機などの大きな家電 35万円
パソコンと小さな家電 20万円
家具・寝具・カーテン 25万円
服・靴・かばん 30万円
食器・日用品・本 15万円
合計 125万円

額は例で、持ち物の多さで変わります。合計を出したら、保険で選べる家財の額のうち、合計に近い額を選びます。

家財の額の目安は、社会人の一人暮らしで100万〜300万円、二人暮らしで300万〜500万円とされます。一人暮らしでだいたい200万円とする目安もあり、幅があります。

保険会社が年齢と家族の人数から出す目安の表は、標準の額です。見積もりで家財が400万円や500万円になることもあるので、自分の積み上げと離れていたら、額を変えて見積もり直します。

借家人賠償は、契約書の額以上にする

借家人賠償の額は、まず契約書や管理会社が指定する額に合わせます。指定より低い額の保険では、加入の条件を満たさず、受け付けてもらえないことがあります。

指定が無いときは、試算の例にあった1,000万円か2,000万円が1つの目安です。一人暮らしの部屋では1,000万〜2,000万円が目安とされ、保険料を下げるために削る所ではないともされます。

地震保険を付けるとき

家財の地震保険は、火災保険に付けて入ります。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で決め、家財は1,000万円が限度です(地震保険に関する法律と施行令)。

家財の保険金額が125万円の例なら、地震保険は37万5,000円〜62万5,000円の範囲です。料率はどの保険会社でも同じで、都道府県ごとの表は火災保険の相場の記事にあります。

指定の保険を断って、自分で入る手順

自分で選ぶと決めたら、補償が途切れないように、次の順で進めます。切り替えの日に、保険の無い期間をつくらないようにします。

  • 契約書の条件を確かめる:指定の保険か、補償の額の指定か、出す書類と期限
  • 家財の額を決める:持ち物を買い直す額を積み上げる
  • 同じ条件で見積もりを並べる:家財・借家人賠償・個人賠償の額をそろえる
  • 新しい保険を契約する:始まる日を入居日か更新日に合わせる
  • 加入の証明を出す:保険証券か加入の証明書を、管理会社か不動産会社へ
  • 満期の月を家計簿に書く:自動で続く形か、更新の手続きが要るかも確かめる

自分で入った保険は、賃貸の契約の更新と一緒には手続きされません。更新の案内を見落とすと保険の無い期間ができるので、自動で続く形を選ぶか、満期の月を書いておきます。

すでに指定の保険に入っている人

入居のときに指定の保険に入った人も、契約書が指定の保険を条件にしていなければ、更新のときに切り替えられることがあります。新しい保険を先に契約し、始まる日を確かめてから古い保険を解約します。

1年分や2年分をまとめて払った保険は、途中で解約すると、残りの期間に応じて保険料の一部が戻ることがあります。戻る額は、今入っている保険の窓口に確かめます。

少額短期保険の商品を選ぶとき

賃貸向けの保険には、少額短期保険業者が扱うものもあります。金融庁の案内では、物の損害を補う少額短期保険は保険期間が2年まで、保険金額は1,000万円までです(保険業法施行令 第1条の5・第1条の6)。

保険会社と違い、少額短期保険業者には、破綻したときの公的なセーフティネットがありません(保証金を供託する制度はあります)。相談は、日本少額短期保険協会や消費生活センターでも受け付けています。

断りにくいときの相談先

指定の保険でなければ契約できないと言われ、理由に納得できないときは、契約の前に条件を書面で確かめます。保険の勧め方や契約で困ったときは、消費者ホットライン188で、近くの消費生活センターを案内してもらえます。

引っ越すときの火災保険

賃貸から賃貸へ移るときは、今の保険の窓口に連絡して住所を変える手続きをすれば、保険を続けられることがあります。同居する人が増えて家財が増えたときなどは、保険料が計算し直されます。

次の部屋が指定の保険を条件にしているときや、持ち家に移るときは、今の保険を解約して入り直します。退去のときにかかるお金は賃貸の退去費用の記事にまとめています。

家計簿での書き方

賃貸の火災保険の保険料は、家計簿では住まいの費用の中に書きます。入居のときに払った分は、敷金や礼金とは別の行にしておくと、次の更新で保険を比べるときに額が分かります。

2年分をまとめて払ったら、払った月の支出に入れたうえで、24か月で割った額を毎月取り分けます。例えば2年で13,400円なら、1か月あたり約558円です。

初期費用の内訳は賃貸の初期費用の記事にまとめています。更新の月に重なるお金は更新料の相場にあります。

地震保険を付けた人は、地震保険の部分の保険料が地震保険料控除の対象になります。控除の額と書き方は地震保険料控除はいくら?にまとめています。

よくある質問

Q管理会社に勧められた火災保険を断れますか

契約書が指定の保険を条件にしていなければ、自分で選んだ保険にできます。断るときは、借家人賠償の額など契約書の条件を満たす保険に入り、加入の証明を出します。

Q賃貸の火災保険の相場はいくらですか

家財300万円で見積もった2022年3月の民間の試算では、1年あたり4,770円〜7,600円でした。家財の額や賠償の額で変わるので、同じ条件で見積もって比べます。

Q火災保険に入らずに賃貸に住めますか

法律上の加入の義務はありませんが、契約書で加入を入居の条件にしていることがあります。条件にしていなくても、自分の不注意で借りた部屋を傷めたときの大家への賠償や、水漏れで下の階を濡らしたときの賠償は、自分で負うことがあります。

Q一人暮らしの家財はいくらにすればいいですか

持ち物を買い直す額を積み上げて決めます。目安は100万〜300万円やだいたい200万円などで、幅があります。

Q個人賠償が自動車保険と重なっていたら、どうしますか

重なっていても損害の額を超えては受け取れないので、外せるかを確かめます。外す前に、補償される人の範囲に家族が入っているかも見ます。

まとめ

  • 管理会社や不動産会社が案内する火災保険に入る義務はなく、契約書が指定していなければ自分で選べる
  • 指定の保険や借家人賠償の額を条件にしている物件もあるので、契約の前に確かめる
  • 家財300万円で見積もった2022年3月の試算では、1年あたり4,770円〜7,600円
  • 賃貸向けの保険は、家財・借家人賠償・個人賠償の3つの補償でできている
  • 家財は持ち物を買い直す額を積み上げ、借家人賠償は契約書の額以上にする
  • 切り替えるときは新しい保険を先に契約し、保険の無い期間をつくらない
  • 家計簿では住まいの費用に書き、2年分は24か月で割って取り分ける

この記事で参照した公的情報

  1. 引っ越しを予定しています。賃貸の火災保険は大家の指定でなく、自分で探すことはできますか?(借り主に法律上の加入義務はない・賃貸契約の特約事項に火災保険の加入に関する条文を記載するのが一般的・大家指定の火災保険に加入しなければいけない義務はない・マンション一棟で一括管理している物件では指定の保険以外を選べず、拒否すると入居審査に落とされるケースもある)
    窓口
    FINANCIAL FIELD(民間のお金の情報サイト)
    確認日
    確認先
    https://financial-field.com/insurance/entry-240824
  2. 賃貸の火災保険は、自分で加入する方が安くなる!?(2022年3月の試算・家財の保険金額300万円・賃貸向けの保険3つと共済1つの1年あたりの保険料4,770円〜7,600円・借家人賠償1,000万円か2,000万円・個人賠償1,000万円〜3億円・借家人賠償の補償は火災、破裂・爆発、漏水事故に限られ破損・汚損は含まれない)
    窓口
    ダイヤモンド不動産研究所(民間の不動産の情報サイト)
    確認日
    確認先
    https://diamond-fudosan.jp/articles/-/1110802
  3. 賃貸火災保険は自分で選べる?相場・補償額・おすすめの選び方(2026年6月29日時点の各社の公式情報・管理会社経由の2年契約は1万円台後半から2万円台の案内・ネット申込型で家財を小さくすると年3,000円台から・家財の目安は社会人の一人暮らし100万〜300万円、二人暮らし300万〜500万円・借家人賠償の目安は単身1,000万〜2,000万円)
    窓口
    Money Lifehack(民間のお金の情報サイト)
    確認日
    確認先
    https://money-lifehack.com/article/13189
  4. 一人暮らしの賃貸物件の火災保険の相場は8000円程度?補償対象はどこまで?(一人暮らしの相場はおよそ8,000円から9,000円・家財の補償額はだいたい200万円・不動産会社が紹介して加入すると手数料が支払われる・自分で加入すると更新の案内を見逃して無保険になるおそれ)
    窓口
    CHINTAI情報局(民間の賃貸の情報サイト)
    確認日
    確認先
    https://www.chintai.net/news/112296/
  5. 少額短期保険業制度について(令和8年8月6日更新・保険期間は損害保険2年・保険金額は損害保険1,000万円・公的セーフティネットなし(保証金の供託制度あり)・相談は日本少額短期保険協会、国民生活センターや消費生活センター)
    窓口
    金融庁
    確認日
    確認先
    https://www.fsa.go.jp/ordinary/syougaku/index.html
  6. 保険業法施行令 第1条の5(少額短期保険業に係る保険の保険期間は1年、法第3条第5項第1号に掲げる保険は2年)・第1条の6第6号(法第3条第5項第1号に掲げる保険の保険金額は1,000万円)。2026年6月1日施行の版が最新で、未施行の版は無い(2026-10-13 に e-Gov の版一覧で確認)
    窓口
    e-Gov法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/407CO0000000425
  7. 民法 第621条(賃借人の原状回復義務=賃借物を受け取った後に生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに経年変化を除く)を、賃貸借が終了したときに原状に復する義務・賃借人の責めに帰することができない事由によるものは除く)。2029年6月23日施行の版まで同じ文
    窓口
    e-Gov法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  8. 失火ノ責任ニ関スル法律(明治32年法律第40号・民法第709条の規定は失火の場合には適用しない・失火者に重大な過失があるときは除く)
    窓口
    e-Gov法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/132AC1000000040
  9. 地震保険に関する法律 第2条第2項第4号(附帯される損害保険契約の保険金額の100分の30以上100分の50以下)・地震保険に関する法律施行令 第2条(生活用動産1,000万円)
    窓口
    e-Gov法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000073
  10. 消費者ホットライン(188・郵便番号などを入力すると近くの市区町村や都道府県の消費生活センターなどの消費生活相談窓口を案内・相談は無料で通話料はかかる)
    窓口
    消費者庁
    確認日
    確認先
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/

この記事を書いているのは

Mirai Kanaiは、家計を見えるようにすることを目的とした個人向けの家計簿サービスです。運営するMove for People株式会社は、家計が見えていないことが、使える制度を逃したり、対処が遅れたりする原因になっていると考えています。

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この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。特定の金融商品の推奨や、個別の投資判断に関する助言を行うものではありません。公的制度の要件・金額は変更される場合があり、自治体によって異なります。実際のご利用にあたっては、必ず公式の窓口でご確認ください。