生活保護はいくらもらえる?|最低生活費の計算(生活扶助の1類・2類・級地・加算・住宅扶助)と、年金や給料がある場合の例【令和8年10月】

生活保護でもらえる額(保護費)は、国の基準で計算した「最低生活費」から、世帯の収入を引いた差額です。収入がまったく無ければ最低生活費がそのまま、年金や給料があれば足りない分だけが支給されます。
最低生活費は、年齢・世帯の人数・住んでいる地域・家賃で変わります。この記事では、厚生労働省の「生活扶助基準額の算出方法(令和8年10月)」の表を使って計算のしかたを順に並べ、東京都青梅市の一人暮らしで、年金がある場合と働いている場合を例として計算します。
生活保護を考え始めましたが、自分の場合に月いくら受け取れるのかが分かりません。年金や少しの給料があると、どれくらい減るのかも気になります。
保護費は「最低生活費 − 収入」

厚生労働省の案内では、最低生活費と収入を比べて、収入が最低生活費に満たないときに、その差額が保護費として支給されます。収入として数えるのは、働いて得た収入、年金などの社会保障の給付、親族からの援助などです。
生活保護法の第8条は、厚生労働大臣の定める基準で測った需要のうち、本人のお金や物で満たせない不足分を補うと定めています。基準は、年齢・世帯の構成・住んでいる地域などの事情を考えて決めるものとされています。
受けられるかどうかは、この計算の前に、世帯の資産・働く能力・年金などほかの制度を活用しているかで見られます(生活保護法の第4条)。条件のくわしい話と申請の流れは、生活保護の条件にまとめています。
厚生労働省の算出方法では、最低生活費は次の6つを足した額です。出産や葬祭があるときは、その経費の一定額がさらに加わります。
- A 生活扶助:食費・光熱水費など、毎日の暮らしの費用
- B 加算:障害者、ひとり親、子どもを育てている世帯などに足す額
- C 住宅扶助:家賃・地代。基準額の範囲内で実費
- D 教育扶助:小・中学生の学用品など(高校生は高等学校等就学費)
- E 介護扶助・F 医療扶助:介護や診療にかかった費用
このうち医療扶助と介護扶助は、費用が医療機関や介護事業者に直接支払われ、本人の負担はありません。手元に振り込まれる保護費は、おもに生活扶助・加算・住宅扶助・教育扶助の分です。
保護費は毎月支給され、受けている間は収入の状況を毎月申告します。振り込まれる日は、福祉事務所の案内で確かめます。保護を受けている世帯の人は、国民健康保険法の第6条で国民健康保険の被保険者から外れ、医療は医療扶助で受けます。
生活扶助の計算:第1類・第2類・級地・特例加算
生活扶助は、個人ごとの費用(第1類)と、世帯で共通の費用(第2類)を合わせて出します。厚生労働省の算出方法(令和8年10月)の計算の順は次のとおりです。
- 世帯の人それぞれの第1類(年齢と級地で決まる額)を足す
- 合計に、世帯の人数に応じた逓減率を掛ける
- 人数に応じた第2類を足す
- 特例加算(1人当たり月額2,500円)と、生活扶助本体における経過的加算を足す
経過的加算は、級地・世帯の人数・年齢の組み合わせで額が決まります。たとえば一人暮らしでは、1級地-1の41〜59歳が20円、65〜69歳が130円、75歳以上が1,720円で、ほかの級地と年齢は0円です。
級地:住んでいる市区町村で6つに分かれる
級地は、地域ごとの物価や暮らしの違いを基準に反映させるための区分です。1級地-1から3級地-2までの6つがあり、同じ年齢でも、住んでいる市区町村の級地で第1類の額が変わります。
厚生労働省の「級地区分」の表では、東京都の区の存する地域、横浜市、名古屋市、大阪市などが1級地-1、札幌市、千葉市、青梅市などが1級地-2です。自分の市区町村がどこに入るかは、この表か福祉事務所で確かめます。
第1類:年齢と級地で決まる額
第1類は、食費や被服費など、一人ひとりにかかる費用の基準です。算出方法(令和8年10月)の表から、1級地-1・1級地-2・3級地-2の額を抜き出すと次のとおりです。
- 0〜5歳:44,580円・43,240円・37,000円
- 6〜11歳:46,460円・45,060円・38,560円
- 12〜17歳:49,270円・47,790円・40,900円
- 18〜64歳:46,930円・45,520円・38,950円
- 65〜74歳:46,460円・45,060円・38,560円
- 75歳以上:39,890円・38,690円・33,110円
2級地-1・2級地-2・3級地-1の額は、この間に入ります。たとえば18〜64歳なら、2級地-1が43,640円、2級地-2が41,760円、3級地-1が41,290円です。
逓減率と第2類:世帯の人数で決まる
2人以上で暮らすと、第1類の合計に逓減率を掛けます。逓減率は、1人1.0000、2人0.8700、3人0.7500、4人0.6600、5人0.5900、6人0.5800です。
第2類は、光熱水費や家具など世帯で共通の費用の基準です。令和8年10月の表では、6つの級地とも同じ額で、1人27,790円、2人38,060円、3人44,730円、4人48,900円、5人49,180円です。
冬には、地区ごとに冬季加算が別に計上されます。厚生労働省の案内では10月から4月までのうち地域に応じて5か月から7か月で、算出方法の資料には札幌市の4人世帯の例として月額22,270円(10月〜翌4月)が示されています。
加算・住宅扶助・教育扶助
世帯の事情によって、生活扶助に加算が足されます。算出方法(令和8年10月)の表で、1級地・2級地・3級地の順に額を並べると次のとおりです。
- 障害者加算(身体障害者障害程度等級表の1・2級に当たる人など):27,460円・25,540円・23,620円
- 障害者加算(3級に当たる人など):18,300円・17,020円・15,750円
- 母子世帯等(児童1人):18,800円・17,400円・16,100円
- 母子世帯等(児童2人):23,600円・21,800円・20,200円
- 児童を養育する場合:児童1人につき10,190円
児童は、18歳になる日以後の最初の3月31日までの子です。障害者加算と母子加算は、原則として両方は受けられません。妊産婦がいる場合などの加算や、一定の要件を満たす母子世帯などの経過的加算もあります。
住宅扶助:家賃は上限の範囲内で実費
住宅扶助は、実際に払っている家賃や地代を、基準額の範囲内で支給するものです。算出方法の資料では、東京都の単身の住宅扶助の基準額が例として示され、1級地53,700円、2級地45,000円、3級地40,900円です。
基準額は都道府県や市によって違い、世帯の人数でも変わります。横須賀市の案内では、住宅扶助の限度額は世帯人数と床面積によって異なるとされています。家賃のかからない持ち家なら、家賃の分の住宅扶助はありません。
教育扶助:小・中学生の学用品など
小・中学生がいる世帯には、教育扶助の基準額が足されます。算出方法の資料では月額で小学生3,400円、中学生5,300円で、高校生は高等学校等就学費として7,300円です。
このほか、教材費・クラブ活動費・入学金(高校生の場合)などは、必要に応じて実費が計上されます。子どもの学校のお金で使える別の制度は、就学援助とはにまとめています。
例:青梅市で一人暮らしをする72歳の人(年金がある場合)

ここからは、算出方法(令和8年10月)の表に当てはめた例です。前提は、東京都青梅市(1級地-2)のアパートで一人暮らしをしている72歳の人で、家賃は4万5千円、年金は月にならして5万5千円とします。障害者加算などの加算は無い前提です。
- 第1類(70〜74歳・1級地-2):45,060円
- 逓減率(1人):1.0000
- 第2類(1人):27,790円
- 特例加算:2,500円
- 経過的加算(単身・70〜74歳・1級地-2):0円
- 生活扶助の合計:75,350円
家賃4万5千円は、東京都の1級地の単身の基準額53,700円の範囲内なので、住宅扶助は家賃と同じ45,000円です。最低生活費は75,350円と45,000円を足した120,350円になります。
年金の5万5千円を引くと、保護費は65,350円です。手元に入るお金は、年金と保護費を合わせて最低生活費と同じ120,350円になります。
この額には冬季加算を入れていません。通院や介護の費用は医療扶助・介護扶助から直接支払われるので、この計算とは別です。
例:同じ青梅市で働いている45歳の人(給料がある場合)
働いて得た給料は、全額がそのまま引かれるわけではありません。厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領について」では、勤労に伴う必要経費として、別表「基礎控除額表」の額を収入から差し引きます。
基礎控除額表(月額)では、1人目の控除は収入の額に応じて決まります。収入15,000円までは全額が控除され、たとえば99,000円〜102,999円なら23,600円、147,000円〜150,999円なら28,400円です。2人目以降の働く人には、別の列の額が使われます。
前提は、青梅市で一人暮らしの45歳、家賃は4万5千円、給料は月10万円とします。給料から引かれる社会保険料・税や通勤の費用は、計算を分かりやすくするために、無い前提にしています。
- 生活扶助:第1類45,520円+第2類27,790円+特例加算2,500円=75,810円
- 住宅扶助:45,000円
- 最低生活費:120,810円
- 収入として数える額:給料100,000円−基礎控除23,600円=76,400円
- 保護費:120,810円−76,400円=44,410円
手元に入るお金は、給料10万円と保護費44,410円で144,410円です。働いていない場合の120,810円より、基礎控除の23,600円の分だけ多く残ります。
この例の前提では、給料がおよそ14万9千円を超えると、控除の後の収入が最低生活費を上回り、保護費は0円になります。社会保険料や通勤費がかかる人は、その分も収入から差し引かれるので、この線は人によって変わります。
厚生労働省が示している、世帯の形ごとの例
厚生労働省の「生活保護制度に関するQ&A」には、生活扶助基準額の例(令和8年10月1日現在)が載っています。東京都区部等と地方郡部等の額は次のとおりで、児童養育加算などを含み、家賃の住宅扶助は入っていません。
- 3人世帯(33歳・29歳・4歳):168,020円・150,370円
- 高齢者単身世帯(68歳):77,980円・69,950円
- 高齢者夫婦世帯(68歳・65歳):125,460円・111,720円
- 母子世帯(30歳・4歳・2歳):200,050円・179,300円
Q&Aには、それぞれの額の内訳は示されていません。自分の世帯の額は、上の表で計算した目安を持って、福祉事務所で確かめます。
自分の最低生活費の目安を、家計簿で出す
福祉事務所に相談する前に、自分の世帯の目安を出しておくと、示された額と見比べられます。紙でも表計算でも、同じ手順で出せます。
ステップ1住んでいる市区町村の級地を確かめる5分
厚生労働省の「級地区分」の表で、市区町村の名前を探します。見つかった級地を、家計簿の余白に「1級地-2」のように書いておきます。
ステップ2世帯の全員の第1類を書き写す10分
世帯の人を1行ずつ書き、年齢と級地に当たる第1類の額を写します。2人以上なら合計に逓減率を掛け、人数に当たる第2類と、1人2,500円の特例加算を足します。
ステップ3家賃と、住宅扶助の上限を並べる10分
毎月の家賃を書き、住んでいる地域と世帯の人数の上限を福祉事務所で確かめます。上限を超える家賃なら、上限までが住宅扶助です。
ステップ4収入を種類ごとに書き、差を出す15分
年金・給料・手当・仕送りを1行ずつ書き、給料は支給額と、引かれた社会保険料・税を両方写します。最低生活費の目安から収入を引いた差が、保護費の目安です。
勤労控除や加算の当てはめは、最後は福祉事務所が決めます。家計簿の目安は、相談の場で「どこが違うのか」を聞くための材料にします。
計算した目安を持って相談する先は、住んでいる地域を受け持つ福祉事務所の生活保護の担当です。申請の流れと必要なものは、生活保護の条件にまとめています。
迷いやすい場面
家賃が住宅扶助の上限を超えている
上限を超えた分は住宅扶助から出ないので、生活扶助から払うことになります。上限を超える家賃のままだと、ケースワーカーから上限の範囲の物件への転居を求められることがあります。
引っ越しの費用などの扱いは、個別に福祉事務所が判断します。住み替えを考えるときは、契約の前にケースワーカーに相談します。
障害年金や児童扶養手当を受け取っている
年金や手当も収入として数えられ、最低生活費から差し引かれます。障害のある人には障害者加算が足されるので、最低生活費そのものも上がります。
障害年金の額の決まりは障害年金はいくらに、児童扶養手当は児童扶養手当はいくらにまとめています。受け取った額は、通知書の額のまま家計簿の収入の行に書いておくと、福祉事務所に伝えるときに迷いません。
夫婦や家族で暮らしている
2人以上では、第1類の合計に逓減率を掛けるので、1人あたりの額は一人暮らしより下がります。第2類は人数ごとに1つの額で、特例加算は人数分です。
親と同居していて親だけが困っている場合などの世帯の分け方は、福祉事務所が判断します。くわしくは生活保護の条件の「迷いやすい場面」に書いています。
年金だけで暮らしていて、毎月足りない
年金が最低生活費に届かない分は、保護費で補われます。この記事の青梅市の例では、年金5万5千円に保護費65,350円が足されます。
年金や手当など、ほかの制度で受け取れるものは、生活保護法の第4条で保護より先に使うことが求められます。生活保護の前に確かめる給付は、年金生活者支援給付金はいくらと年金だけで暮らせないときにまとめています。
よくある質問
Q一人暮らしだと、月いくらもらえますか
年齢・級地・家賃で変わります。この記事の例(青梅市・72歳・家賃4万5千円)では、最低生活費は120,350円で、収入が無ければその額が保護費になります。年金が5万5千円あれば、保護費は65,350円です。
Q東京23区と地方では、どれくらい違いますか
第1類は級地で変わり、18〜64歳なら1級地-1が46,930円、3級地-2が38,950円です。第2類は令和8年10月の表では級地による違いがありません。家賃の上限(住宅扶助)も地域で違います。
Q働くと、保護費は減りますか
減りますが、給料の全額ではありません。基礎控除額表の額が収入から差し引かれ、たとえば月10万円の給料なら23,600円が控除されます。控除の後の収入が最低生活費を超えると、保護費は0円になります。
Q特例加算とは何ですか
生活扶助に、1人当たりの額で足される加算です。厚生労働省の算出方法(令和8年10月)では、1人当たり月額2,500円です。
Q医療費や介護の費用は、保護費から払うのですか
払いません。医療扶助と介護扶助は、費用が医療機関や介護事業者に直接支払われ、本人の負担はありません。
Q貯金はいくらまで持てますか
預貯金は資産として生活に充てるのが原則です。保護を始める月の扱いは、生活保護の条件の「手元のお金はどこまで残せるか」にまとめています。
まとめ
- 保護費は、最低生活費から、年金・給料・手当などの収入を引いた差額
- 生活扶助は、第1類(年齢と級地)の合計×逓減率+第2類(人数)+特例加算(令和8年10月から1人当たり月額2,500円)など
- 加算(障害者・母子世帯等・児童の養育)と、家賃を上限の範囲内で出す住宅扶助が足される
- 給料には基礎控除額表の勤労控除があり、全額が差し引かれるわけではない
- 青梅市・72歳・一人暮らし・家賃4万5千円の例では、最低生活費は120,350円(例)
- 最後の額は福祉事務所が決める。目安は家計簿で級地・第1類・家賃・収入を並べて出せる
級地と年齢の欄を書き写して足し算をすれば、自分の最低生活費の目安が出ます。その紙を持って福祉事務所に行けば、示された額との違いをその場で聞けます。
この記事で参照した公的情報
- 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和8年10月)(最低生活費=A+B+C+D+E+F・第1類の年齢別・級地別の基準額・逓減率・第2類の人員別の基準額・特例加算1人当たり月額2,500円・生活扶助本体における経過的加算の別表・障害者加算・母子加算・児童を養育する場合の加算10,190円・住宅扶助は東京都の単身の例で1級地53,700円・2級地45,000円・3級地40,900円・教育扶助の基準額・冬季加算は別途で札幌市の4人世帯の例は月額22,270円)
- 窓口
- 厚生労働省
- 確認日
- 確認先
- https://www.mhlw.go.jp/content/001152601.pdf
- 生活保護制度(支給される保護費=最低生活費から収入を差し引いた差額・収入は就労収入・年金など社会保障給付・親族による援助等・扶助の種類と内容・冬季加算は10月から4月までのうち地域に応じて5か月から7か月・保護費は毎月支給・収入の状況は毎月申告・相談申請窓口は福祉事務所)
- 生活保護制度に関するQ&A(Q5 生活扶助基準額の例(令和8年10月1日現在)=3人世帯 東京都区部等168,020円・地方郡部等150,370円、高齢者単身世帯 77,980円・69,950円、高齢者夫婦世帯 125,460円・111,720円、母子世帯 200,050円・179,300円・児童養育加算等を含む/Q9 働いている場合)
- 窓口
- 厚生労働省
- 確認日
- 確認先
- https://www.mhlw.go.jp/content/001106332.pdf
- 級地区分(平成30年10月1日現在)(東京都青梅市は1級地-2)
- 窓口
- 厚生労働省
- 確認日
- 確認先
- https://www.mhlw.go.jp/content/kyuchi.3010.pdf
- 生活保護法による保護の実施要領について(昭和36年4月1日発社第123号・第8の3(4)勤労に伴う必要経費は別表「基礎控除額表」の額・別表 基礎控除額表(月額)=1人目は収入15,000円までは全額、99,000円〜102,999円は23,600円、147,000円〜150,999円は28,400円)
- 生活保護(住宅扶助費限度額は世帯人数・床面積により異なる)
- 生活保護法(第4条 保護の補足性・第8条 基準及び程度の原則=厚生労働大臣の定める基準により測定した需要のうち、金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う・第58条 差押禁止)
- 窓口
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144
- 国民健康保険法 第6条第9号(生活保護法による保護を受けている世帯に属する者は、国民健康保険の被保険者としない)
- 窓口
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192
