年金生活者支援給付金はいくら?|月5,620円を基準に、納めた月数で決まる

年金だけで暮らしていると、少しの上乗せでも月の見通しが変わります。年金生活者支援給付金は、その上乗せを年金に足して払うしくみです。
この記事では、3つの種類の違いと、いくらになるのかの計算のしかたを書きます。日本年金機構の案内で確かめた内容だけを並べます。
年金だけでは毎月が足りるか心配です。上乗せがあるのなら、自分が対象なのかが分かりません。
3つの種類があり、要件がそれぞれ違う
年金生活者支援給付金は1つの制度ではなく、受けている年金で3つに分かれます。要件も額も別々です。
老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金を受けている方が対象です。65歳以上であることと、世帯全員の市町村民税が非課税であることが要件に入ります。
障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金を受けている方が対象です。前年の所得額が基準以下であることが要件です。
遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金を受けている方が対象です。こちらも前年の所得額の基準があります。
判定に使う所得には決まりがあります。障害年金・遺族年金等の非課税収入は、判定に用いる所得に含まれません。
老齢は、納めた月数で額が決まる

図は、老齢年金生活者支援給付金の計算です。定額ではなく、保険料を納めた月数で変わります。
2つの部分を足します。保険料納付済期間に基づく額と、保険料免除期間に基づく額です。
納付済の部分は5,620円が基準です。月額5,620円×保険料納付済期間÷480月で計算します。
免除の部分は11,768円が基準です。月額11,768円×保険料免除期間÷480月で、これは老齢基礎年金の満額(月額)の6分の1にあたります。
免除の種類で額が変わります。昭和31年4月2日以後生まれの方は、全額免除・4分の3免除・半額免除の期間が11,768円、4分の1免除の期間は5,884円です。
機構が示している例があります。納付済月数が240か月、全額免除月数が60か月の場合、5,620円×240÷480月=2,810円と、11,768円×60÷480月=1,471円で、合計4,281円(月額)です。
免除期間のほうが、納付済期間より単価が高く決められています。免除の種類は国民年金の保険料が払えないときにまとめました。
追納すると納付済期間が増えます。しくみは国民年金の追納にあります。
所得の基準は809,000円が分かれ目

図は、それぞれの所得の基準です。老齢と、障害・遺族で基準の立て方が違います。
老齢は年金収入とその他の所得の合計で見ます。昭和31年4月2日以後生まれの方は、809,000円以下なら老齢年金生活者支援給付金の対象です。
少し超えても受けられる区分があります。809,000円を超え909,000円以下の方には、補足的老齢年金生活者支援給付金があります。
生まれた日で基準が違います。昭和31年4月1日以前生まれの方は、806,700円以下と、806,700円を超え906,700円以下です。
補足的のほうは調整されます。5,620円×保険料納付済期間÷480月×調整支給率で計算し、調整支給率は(909,000円−前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷100,000円です。
障害と遺族は別の基準です。前年の所得額が「4,794,000円+扶養親族の数×38万円」以下であることが要件です。
扶養親族の種類で控除額が変わります。同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族は63万円です。
世帯の非課税も要件です。老齢では、請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税となっていることが求められます。
非課税になる基準は住民税非課税世帯とはにまとめました。年金収入での目安もそちらにあります。
障害と遺族は、定額で決まる
障害と遺族は、老齢のような月数の計算がありません。額が決まっています。
障害は等級で分かれます。障害等級が1級の方は月額7,025円、2級の方は月額5,620円です。
遺族は5,620円です。ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受け取っている場合は、5,620円を子の人数で割った金額をそれぞれに支払います。
機構が示している例があります。3人の子が遺族基礎年金を受け取っている場合は、5,620円÷3=1,873円(月額)です。
端数の処理も決まっています。計算結果に50銭未満の端数が生じたときは切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは1円に切り上げます。
請求しないと始まらない
要件を満たしていても、自動では始まりません。請求の手続きが要ります。
老齢では請求できる時期が決まっています。請求書は、65歳になる誕生日の前日以降に提出します。
新しく年金を請求する方は一緒に手続きします。障害基礎年金または遺族基礎年金を新規に請求する方は、年金の請求と合わせて手続きする形です。
すでに基礎年金を受けていて新たに対象になる方には、日本年金機構が毎年9月の第1営業日から順次、請求書(はがき型)を送っています。届いた書類はそのままにせず出します。
はがき型の請求書は、郵送のほか電子申請でも出せます。分からないときは、ねんきんダイヤルか最寄りの年金事務所に確かめます。市区町村の窓口で尋ねることもできます。
年金の請求そのものの流れは年金はいつから?にまとめました。請求しないと始まらないのは年金も同じです。
家計簿での扱い方
給付金は年金と同じ周期で振り込まれます。月ごとの家計簿に落とすときに、ひと手間が要ります。
ステップ1振り込まれる周期を確かめる10分
機構の案内では、給付金は偶数月の15日に、年金と同じ受取口座へ、年金とは別途支払われるとされています。15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日です。
2か月に1回の収入をどう書くかは年金生活の家計簿のつけ方にまとめました。区切りの決め方もそちらにあります。
ステップ2月額に直して1か月の収入に入れる10分
計算式で出る額は月額です。2か月分がまとめて入るので、家計簿では月ごとに分けて書くと見通しが立ちます。
決めた書き方は変えません。途中で変えると、前の月と比べられなくなります。
ステップ3所得の基準に近いかを確かめておく15分
所得が809,000円の前後にあると、翌年に対象から外れることがあります。年金以外の収入がある方は、合計額を毎年確かめます。
年間の収入をまとめる形は年間収支表の作り方にあります。基準に近い年は、補足的のほうに変わることもあります。
ステップ4非課税かどうかを毎年見る10分
老齢は世帯全員の市町村民税が非課税であることが要件です。世帯の誰かに課税が出ると、対象から外れます。
通知書の読み方は住民税決定通知書の見方にまとめました。毎年6月に届きます。
ねんきん定期便か年金証書を出して、保険料納付済期間の月数を確かめてください。その月数が、老齢の給付額を決めます。
窓口と制度は、公的機関のページで確かめる
額の計算も所得の基準も、日本年金機構のページで確かめられます。この記事のリンクから直接たどれます。
- 条件・金額・申請の方法は、各制度の公式サイトとお住まいの自治体の窓口で確かめてください
制度の条件や金額は、年度ごとに変わることがあります。最後は公的機関のページと窓口で確かめてください。
迷いやすい場面
年金以外に働いた収入がある
老齢の判定は、年金収入とその他の所得の合計で見ます。働いた分が加わって809,000円を超えると、補足的のほうに変わることがあります。
909,000円を超えると対象外です。働き方を決めるときは、この線も見ておきます。
世帯に課税されている人がいる
老齢では、請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税であることが要件です。同居している家族に課税があると対象になりません。
障害と遺族には世帯の非課税の要件がありません。前年の所得額の基準だけで判定されます。
免除期間が長い
免除期間は単価が高く設定されています。全額免除・4分の3免除・半額免除の期間は11,768円で計算されます。
ただし年金そのものは減っています。追納できる期間なら、国民年金の追納で増やす道もあります。
障害基礎年金と老齢基礎年金の両方に当たる
受けている年金の種類で、どの給付金になるかが決まります。年金の選び方によって給付金も変わるため、年金事務所で確かめます。障害年金を受けている間は国民年金保険料が法定免除になります。
よくある質問
Q年金生活者支援給付金はいくらもらえますか
老齢は納めた月数で変わり、満額に近い方で月5,620円前後です。障害基礎年金の1級の人は7,025円、2級の人と遺族基礎年金の人は5,620円です。
Q対象になるのはどんな人ですか
老齢は3つの要件をすべて満たす方です。65歳以上で老齢基礎年金を受けていること、世帯全員の市町村民税が非課税であること、前年の年金収入とその他の所得の合計が809,000円以下であることです。
Q申請は必要ですか
必要です。請求書は65歳になる誕生日の前日以降に提出します。新しく障害基礎年金や遺族基礎年金を請求する方は、年金の請求と合わせて手続きします。
Qいつ振り込まれますか
偶数月の15日に、年金と同じ受取口座へ年金とは別途支払われます。各支払月には、原則その前月までの2か月分が支払われます。
Q809,000円を少し超えたらもらえませんか
補足的老齢年金生活者支援給付金があります。809,000円を超え909,000円以下の方が対象で、調整支給率を掛けた額になります。
Q免除期間があると額は減りますか
免除期間には月額11,768円という単価が使われます。老齢基礎年金の満額(月額)の6分の1にあたり、納付済期間の5,620円より大きい額です。
まとめ
- 3つの種類がある(老齢・障害・遺族)。要件も額も別々
- 老齢は「5,620円×納付済月数÷480月」+「11,768円×免除月数÷480月」で決まる
- 老齢の要件は、65歳以上・世帯全員が市町村民税非課税・前年の年金収入とその他の所得が809,000円以下
- 809,000円を超え909,000円以下なら、補足的老齢年金生活者支援給付金がある
- 月額は、障害基礎年金の1級の人が7,025円、2級の人と遺族基礎年金の人が5,620円(遺族で子が2人以上なら、人数で割った額)
- 請求しないと始まらない。老齢は65歳の誕生日の前日以降に提出する
納付済月数が分かれば、老齢の給付額は計算できます。今日はねんきん定期便を出すところから始められます。
この記事で参照した公的情報
- 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要(支給要件3つ・809,000円と909,000円の基準・給付額の計算式・5,620円と11,768円・調整支給率・給付額の例)
- 障害年金生活者支援給付金の概要(障害基礎年金を受けていること・前年の所得額4,794,000円+扶養親族の数×38万円以下・1級7,025円・2級5,620円)
- 遺族年金生活者支援給付金の概要(遺族基礎年金を受けていること・前年の所得額の基準・5,620円・2人以上の子が受け取る場合は人数で割る)
- 年金生活者支援給付金の振り込みはいつですか(原則年6回・偶数月の15日に年金と同じ受取口座へ年金とは別途支払・15日が土日祝なら直前の営業日・前月までの2か月分)
- 年金生活者支援給付金(制度の位置づけ・老齢・障害・遺族の3区分)
- 年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ(毎年9月の第1営業日から順次送付・電子申請または郵送で提出)
- 障害基礎年金または遺族基礎年金を新規に請求する方(年金の請求とあわせて給付金の請求を行う)