国民年金の追納|10年以内なら納められる・3年度目から加算がつく

学生のときに学生納付特例を使った人や、収入が少ない時期に免除を受けた人は、あとからその分を納められます。これを追納といいます。
この記事では、追納するといくら年金が増えるのか、いつまでにできるのか、いくら払うのかをまとめます。数字は日本年金機構の案内で確かめたものです。
学生納付特例を使った期間の保険料を、あとから納めるべきか迷います。いくら払って、年金がいくら増えるのかが分かりません。
追納とは何か
追納は、免除・納付猶予・学生納付特例を受けた人のための制度です。あとからその保険料を納めて、老齢基礎年金の額を満額に近づけられます。

1年分を追納すると、全額免除の期間であれば老後の年金が年間で約1万円増えます。納付猶予や学生納付特例の期間であれば年間で約2万円増えます。
差がつくのは、免除の期間には国庫負担分が反映されるからです。納付猶予と学生納付特例の期間は、受給資格期間には数えられますが、追納しないと年金額には反映されません。
追納した保険料は、その年の社会保険料控除の対象になります。所得税と住民税が下がる分もあわせて考えてください。
一部免除(4分の3免除・半額免除・4分の1免除)には条件があります。納めるべき一部保険料が納付されていなければ、その期間は追納できません。
期限は10年
追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られます。10年を過ぎた分は納められません。

納める額は、いつ追納するかで変わります。免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
つまり、早く追納するほど安く済みます。2年度目までなら、当時の保険料額のままです。
日本年金機構は、令和8年度中に追納する場合の保険料額を公表しています。全額免除・納付猶予・学生納付特例の期間について、令和7年度分は月1万7,510円、令和6年度分は月1万6,980円で、どちらも加算額はありません。
平成28年度分は月1万6,850円、平成29年度分は月1万7,070円です。古い年度の分にも加算額が乗っているため、当時の保険料額どおりではありません。
古い期間から順に納める
免除・納付猶予・学生納付特例の期間のうち、原則として古い期間の保険料から納めます。10年の期限が先に来るのが古い期間だからです。
免除の期間と納付猶予・学生納付特例の期間の両方がある人は、納める順序について年金事務所に相談してください。増える額が期間の種類で違うからです。
いくら払っていくら増えるか
実際の額を出してみます。学生納付特例を2年間(24か月)使った人が、令和8年度中に令和6年度分と令和7年度分を追納する場合の計算です。

令和7年度分の12か月は月1万7,510円なので21万120円、令和6年度分の12か月は月1万6,980円なので20万3,760円です。合わせて41万3,880円になります。
増える年金は、学生納付特例の期間なら1年分で年約2万円です。2年分なら年約4万円になります。
追納した年に所得税と住民税が下がります。所得税率10%・住民税率10%の人なら、41万3,880円の20%にあたる8万2,776円が軽くなる計算です。税率は人によって違います。
増える年金は受け取り始めてから毎年続きます。年約4万円なら、10年受け取れば約40万円です。
申込みの手順
申込みは年金事務所です。街角の年金相談センターでは手続きできません。
ステップ1追納できる期間を確かめる15分
ねんきんネットか年金事務所で、免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間と、10年の期限を確かめます。期限が近い期間から優先します。
ステップ2追納申込書を出す30分
「国民年金保険料 追納申込書」を年金事務所に提出します。窓口でも郵送でもかまいません。
マイナンバーで申請する場合は、窓口ならマイナンバーカードを提示します。持っていない場合は、マイナンバーが確認できる書類と身元確認書類の2つを提示します。郵送なら、それぞれのコピーを添えます。
ねんきんネットの画面上で追納申込書を作ることもできます。ただし電子申請ではないので、印刷して年金事務所に提出する必要があります。
ステップ3納付書で納める10分
申込書を出すと、日本年金機構から納付書が届きます。金融機関・郵便局・コンビニエンスストア・電子納付(Pay-easy)・スマートフォンアプリで納められます。
口座振替とクレジットカードでは納付できません。ねんきんネットを使った「納付書によらない納付」も使えません。
ステップ4控除証明書を年末調整か確定申告に出す10分
追納した保険料は社会保険料控除の対象です。日本年金機構から「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が届くので、年末調整か確定申告で出します。
会社員なら、年末調整の「給与所得者の保険料控除申告書」の社会保険料控除の欄に書きます。国税庁の記載の案内では、国民年金保険料など自分で直接支払った社会保険料を書き、給与から差し引かれた社会保険料は書きません。
欄には、社会保険の種類(国民年金保険料)、保険料支払先の名称、あなたが本年中に支払った保険料の金額を書きます。金額はその年の1月から12月に実際に納めた額で、追納した分は納めた年の額に入ります。
国民年金保険料を書くときは、控除証明書か領収証書を申告書に添えるか、出すときに見せる決まりです。日本年金機構の案内では、令和7年分の場合、1月から9月に納めた人の証明書は10月下旬から11月上旬に、10月から12月にだけ納めた人の証明書は翌年2月に郵送されました。
年末調整に証明書が間に合わないときや、出し忘れたときは、確定申告で社会保険料控除を受けられます。申告書全体の書き方は年末調整の書き方にまとめています。
ねんきん定期便かねんきんネットで、「学生納付特例」または「免除」と書かれた期間を探してみてください。その期間の年度が、10年の期限の起点になります。
迷いやすい場面
追納しないとどうなるか
学生納付特例と納付猶予の期間は、受給資格期間(10年)には数えられますが、年金額には反映されません。その分だけ将来の年金が少ないままになります。
全額免除の期間は、追納しなくても国庫負担分が年金額に反映されます。追納するかどうかで増える額が違うのはこのためです。
期限が過ぎてしまった
10年を過ぎた期間は追納できません。学生納付特例や納付猶予の期間は、受給資格期間には数えられたまま、年金額には反映されない期間として残ります。
年金額を増やす道として、60歳以降に国民年金へ任意加入する方法があります。日本年金機構の案内では、次の4つをすべて満たす人が任意加入できます。
- 日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の人
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない人
- 20歳以上60歳未満の保険料の納付月数が480月(40年)未満の人
- 厚生年金保険や共済組合等に加入していない人
60歳以降も会社で厚生年金に入って働いている間は、4つ目に当たらないので任意加入できません。年金の受給資格期間(10年)を満たしていない人は、65歳以上70歳未満でも任意加入できます。
加入は申し出た月からで、さかのぼることはできません。60歳の誕生日の前日から手続きができ、保険料は口座振替が原則です。窓口は市区役所・町村役場の国民年金の担当窓口か、年金事務所です。
任意加入で納めた月は、追納できなかった月の代わりに納付月数を増やします。何か月足りないかは、ねんきん定期便かねんきんネットで納付月数を見ると分かります。
学生納付特例の期間と、障害基礎年金
追納していない学生納付特例の期間が、障害のときの年金でどう扱われるかも確かめておきます。日本年金機構の案内では、学生納付特例の承認を受けている期間は、障害基礎年金や遺族基礎年金の要件を見るときに、保険料納付済期間と同様に対象期間になるとされています。
その要件は、次のどちらかに当てはまることです。
- 事故が発生した月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間(免除期間を含む)が3分の2以上ある
- 事故が発生した月の前々月までの1年間に、保険料の未納がない
ただし、学生納付特例の申請が遅れると、申請日前に生じた事故や病気による障害について受け取れない場合があるとされています。額や請求の流れは障害年金はいくら?にまとめています。
年金を受け取り始めたあとでも追納できるか
できません。日本年金機構の注意事項に「老齢基礎年金を受け取ることができる方は、追納できません」と書かれています。
繰上げ受給を請求した場合も追納ができなくなります。繰上げを考えている人は、先に追納を済ませてください。中身は年金の繰上げ受給にまとめています。
未納の期間も追納できるか
免除・納付猶予・学生納付特例を受けていない未納の期間は、追納の対象ではありません。未納の保険料は、納期限から2年を過ぎると納められなくなります。
いま保険料を納めるのが難しいなら、未納のままにせず免除や納付猶予を申請してください。申請しておけば、あとから追納できる期間になります。中身は国民年金の免除にまとめています。
まとめて払うと家計が苦しい
追納は全部まとめて納める必要はありません。一部だけ納めることもできます。
社会保険料控除は納めた年に効くので、年をまたいで分けると控除も分かれます。所得が多い年に多めに納めると、税の軽減が大きくなります。
申込みが期限ぎりぎりになった
日本年金機構も早めの提出をすすめています。「追納申込書を追納期限の直前に提出すると、期限までに追納できなくなる場合がありますので、お早めにご提出ください」と案内しています。
申込みから納付書が届くまでに時間がかかるためです。期限の年度に入ったら、早めに出してください。
よくある質問
Q追納するといくら年金が増えますか
1年分の追納で、全額免除の期間なら年約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年約2万円増えます。増えた額は、受け取り始めてから毎年続きます。
Qいつまで追納できますか
追納が承認された月の前10年以内の免除等期間までです。10年を過ぎた分は納められません。
Q10年を過ぎてしまったら、もう増やせませんか
追納はできませんが、60歳以上65歳未満で条件を満たせば、国民年金に任意加入して納付月数を増やせます。厚生年金に入って働いている間や、繰上げ受給をしたあとは任意加入できません。
Qいくら払いますか
当時の保険料額です。ただし、承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、加算額が上乗せされます。令和8年度中なら、令和7年度分は月1万7,510円です。
Qどこで手続きしますか
年金事務所です。街角の年金相談センターでは手続きできません。窓口でも郵送でもかまいません。
Qクレジットカードで払えますか
払えません。納付書で、金融機関・郵便局・コンビニエンスストア・電子納付(Pay-easy)・スマートフォンアプリのいずれかで納めます。口座振替も使えません。
Q税金は安くなりますか
追納した保険料は社会保険料控除の対象です。納めた年の所得税と住民税が下がります。控除証明書を年末調整か確定申告で出してください。
Q一部だけ追納できますか
できます。免除や猶予された保険料の全部または一部を納められます。ただし、原則として古い期間から順に納めます。
まとめ
国民年金の追納は、免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間の保険料をあとから納める制度です。追納が承認された月の前10年以内が対象になります。
1年分の追納で、老後の年金が増えます。全額免除の期間なら年約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年約2万円です。
承認を受けた期間の翌年度から3年度目以降は加算額が上乗せされます。早く納めるほど安く済みます。
10年を過ぎた期間は追納できません。60歳以上65歳未満で条件を満たせば、国民年金に任意加入して納付月数を増やす道があります。
追納した保険料は社会保険料控除の対象なので、納めた年の税も下がります。ねんきん定期便で自分の免除・猶予の期間を確かめて、期限の近い年度から年間収支表に入れてください。
この記事で参照した公的情報
- 国民年金保険料の追納制度(10年以内・3年度目以降は加算額・1年分で年約1万円/約2万円増える・令和8年度中に追納する場合の保険料額・申込みと納付の方法・注意事項)
- 国民年金保険料の追納制度(申請先・申請書および必要書類・納付方法)
- 任意加入制度(60歳以上65歳未満の4つの条件・申出のあった月からの加入・口座振替が原則・申込みの窓口・受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満)
- 国民年金保険料の学生納付特例制度(老齢基礎年金との関係・障害基礎年金等との関係)
- 給与所得者の保険料控除申告書の記載例(年末調整のしかた 令和7年分)(社会保険料控除=国民年金保険料などあなたが直接支払った社会保険料を記載・給与から差し引かれた社会保険料は記載しない・国民年金保険料を記載する場合は証明書類の添付等が必要)
- No.1130 社会保険料控除(その年に実際に支払った金額の全額・国民年金保険料は証明書類を保険料控除申告書か確定申告書に添付または提示)
- 控除証明書の送付時期はいつですか(令和7年1月1日〜9月30日に納付した方は書面で令和7年10月24日から11月上旬・10月1日〜12月31日に納付した方は令和8年2月9日)
- 控除証明書とは何ですか(社会保険料控除の申告には控除証明書や領収証書の添付等が義務づけられている)