退職祝いの相場はいくら?|上司・同僚・部下・家族ごとの額と、連名の1人あたり・のし・渡す時期・家計簿での書き方

退職祝いの額には、法律や公的な決まりはありません。ギフトの会社などの案内で示されている目安は、職場の人へ個人で贈るなら3,000円〜1万円、両親や兄弟姉妹へは1万〜3万円です。
この記事では、6つの案内に書かれた幅を、相手と贈り方ごとに並べます。連名の合計と1人あたり、退職の理由ごとの額、のしと渡す時期、税金、職場で集めたお金の家計簿での書き方もまとめます。
上司の定年退職のお祝いを職場で集めるとき、1人いくらにすればよいのか分かりません。集めたお金を家計簿にどう書くかも迷います。
退職祝いの相場は、相手と贈り方で決まる
退職祝いの額は、相手との関係と、個人で贈るか何人かでまとめて贈るかで分かれます。案内では、家族へは高めに、職場の人へは相手が気を使わない額にとどめる形が示されています。

図は、6つの案内に書かれた幅をまとめたものです。上司・先輩への額は案内によって分かれるので、次の節で並べます。
職場の人へ、個人で贈るとき
職場の人へ1人で贈るときの幅は、次のとおりです。
- 上司・先輩へ:5,000円〜1万円とする案内が2つ、3,000円〜1万円とする案内が2つ、3,000〜5,000円とする案内が2つ。個人的に世話になった相手には1万円前後、またはそれ以上とする案内もある
- 同僚へ:3,000〜5,000円とする案内が5つ、3,000円ほどとする案内が1つ
- 部下・後輩へ:3,000〜5,000円とする案内が5つ、3,000円ほどとする案内が1つ
相手の年代で分ける案内もあり、20代〜30代へは3,000〜5,000円、40代以上へは5,000円〜1万円としています。部下や後輩へは、気を使わせない額で、少なすぎない額にする形が示されています。
職場で連名にするとき
部署や課でまとめて贈るときは、合計の額で目安が示されています。上司・先輩へは合計1万〜3万円とする案内が3つ、3万円ほどとする案内が1つあります。
同僚へは合計5,000円〜1万円、または5,000円〜2万円、部下・後輩へは合計5,000円〜1万円の幅です。1人あたりの額では、上司へは1,000〜3,000円、同僚や部下へは1,000〜2,000円とする案内と、500〜1,000円ほどとする案内があります。
額の大きい品物は連名にすると、個人からの負担ではなく職場からの感謝として受け取ってもらいやすい、とする案内があります。部署全体で贈る慣習があるなら、個人で別に贈る前に周りに確かめる形も示されています。昇進祝いの額は昇進祝いの相場はいくら?にあります。
家族へ贈るとき
両親への退職祝いは、1万〜3万円とする案内が3つあります。父や母が定年を迎えるときは、兄弟姉妹で出し合って額を上げる形も紹介されています。
兄弟姉妹へも1万〜3万円で、両親へ贈るときより少し控えめになるとする案内が2つあります。配偶者の親へは、両親と同じ1万〜3万円とする案内が1つあります。
取引先・友人・恩師へ贈るとき
取引先の人へは、3,000円〜1万円とする案内が2つあります。安すぎても失礼になるとして、関係を見て額を決める形が示されています。
友人・知人へは3,000〜5,000円とする案内が2つ、3,000円〜1万円とする案内が1つです。恩師へは3,000円〜1万円とし、クラス全員で贈るなら1人100〜200円を目安とする案内が1つあります。
退職の理由で変わる額
退職の理由でも、額の目安は分かれます。案内に書かれている幅は、次のとおりです。
- 定年退職:5,000円〜1万円とする案内が2つ。身内や特に世話になった相手には1万〜3万円まで上げる形が示されている。個人で3,000円〜1万円とする案内もある
- 転職:3,000〜5,000円とする案内が2つ
- 結婚・出産による退職:5,000円〜1万円、3,000〜5,000円、3,000円〜1万円の案内がある。結婚祝いを兼ねるときや連名では1万円を超えることもあるとされる
- 社内の部署の異動:1,000〜3,000円とする案内が1つ
定年で退職する人は60代以上になるので、額が低すぎると失礼に受け取られることがあるとする案内もあります。定年と還暦が同じ年になるときの額の目安は還暦祝いの相場はいくら?にまとめています。
現金・商品券か、品物か
職場の上司や先輩など目上の人へ、現金や商品券を贈るのは避けるとする案内が3つあります。「生活の足しに」という意味に受け取られることがあるためです。
現金や金券を贈るなら家族の間や、旅行券のように使いみちが決まっているものにする形が示されています。親しい相手への旅行券は3万〜10万円とする案内が3つあり、兄弟姉妹や職場の何人かで出し合う形が紹介されています。
品物の目安を分けて書いている案内もあり、花は3,000〜5,000円、お菓子は2,000〜3,000円、お酒は1人で贈るなら5,000円前後です。商品券を贈るときは3,000円〜1万円とされています。
退職祝いにはお返しが要らないとされるので、高すぎる品は相手に気を使わせるとする案内が2つあります。額を上げたいときは、連名にする形が示されています。
避ける品物
退職祝いで避けるとされる品物は、次のとおりです。どれも、読み方や使い方からの連想による慣わしです。
- ハンカチ:5つの案内が挙げている。理由は、「手巾(てぎれ)」が手切れを思わせることのほか、白いハンカチだけを贈ると弔事を思わせるとする案内もある
- くし・日本茶・靴やスリッパ:くしは苦と死を、日本茶は弔事を、履物は踏みつけることを思わせるとして、4つの案内が挙げている
- 下着・刃物:下着は暮らしに困っている人へ贈るもの、刃物は縁を切ることを思わせるとして、2つの案内が挙げている
- 目上の人への筆記具:もっと勤勉に、という意味に受け取られることがあるとして、3つの案内が挙げている
- 4と9のつく数や額:死と苦に通じるとして、1つの案内が挙げている
のし紙と表書き
品物にかけるのし紙は、紅白の蝶結びの水引を使う形を、5つの案内が示しています。蝶結びは何度あってもよいお祝いに使う結び方です。
結婚による退職では、一度きりのお祝いに使う結び切りにするとする案内が2つあります。定年退職を結び切りにする考え方もあるとする案内が1つあります。
表書きは、退職の理由で選びます。案内で挙げられている書き方は、次のとおりです。
- 御礼:どの理由の退職にも使えるとして、4つの案内が挙げている
- 御祝:結婚や出産、定年などのお祝いの退職に
- 御退職御祝・祝定年御退職・定年御祝:定年退職に
- おはなむけ・御餞別:転職や独立など、新しい所へ移る人に
- 連名:3人までは目上の人から順に並べ、4人以上は代表者の名前に「他一同」を添えるか、部署の名前を書く
渡す時期
退職祝いは、退職が正式に決まってから、送別会か最終出勤日の前後に渡す形が案内されています。送別会の席で渡すとする案内が3つあります。
最終出勤日は荷物が多く慌ただしいので、当日は避けるとする案内が2つあります。退職日の1〜2週間前、または辞令が出てから1〜2週間ほどで渡すとしています。
一方で、最終出勤日の当日に渡すとする案内も2つあり、書き方が分かれています。職場の慣わしがあれば、それに合わせます。
早すぎると、早く辞めてほしいと受け取られることがあるとする案内が3つあります。退職の後に渡すときは、1か月以内をめどに郵送などで贈るとする案内が1つあります。
退職祝いに税金はかかるか
個人から受け取る退職祝いは、国税庁の No.4405 の「祝物」に当たります。社会通念上相当と認められる額なら、贈与税はかかりません。
相続税法基本通達 21の3-10 も、個人から受ける祝物などの金品は、法律上は贈与に当たっても、社交上の必要によるもので社会通念上相当なら課税しないとしています。どこまでが相当かの金額の線は、No.4405 にも通達にも示されていません。
暦年課税の贈与税は、かからないお祝いなどを除いて、1月1日から12月31日までにもらった額を合計し、110万円の基礎控除を引いて計算します(No.4402)。合計が110万円以下なら、贈与税はかからず申告も要りません。贈与税のしくみは贈与税はいくらから?にまとめています。
家計簿での書き方
退職祝いは、贈る側と受け取る側で、家計簿の書き方が分かれます。どちらも、誰にいくら贈ったか、誰からいくらもらったかを残しておくと、次のお祝いやお礼のときの目安になります。
贈った退職祝いは、交際費に入れる
贈った退職祝いは、現金でも品物でも交際費に書きます。総務省の家計調査は、交際費を「贈答用金品及び接待用支出並びに職場、地域などにおける諸会費及び負担費」としていて、贈与金の例示に「せん別」と「祝儀」があります。
送別会の会費は、家計調査では飲むことが目的の会なら交際費ではなく外食に入ります(飲酒代の説明に「飲酒を目的とした諸会費も含む」)。お祝い・香典だけを「慶弔費」の行に分ける方法は家計簿の交際費はどこまで入れる?にまとめています。
職場で集めたお金は、自分の分だけを交際費に
職場で退職祝いを集める役になったときは、ほかの人から預かったお金は自分の支出でも収入でもありません。家計簿に入れるのは、自分が出した1人分だけです。
預かったお金は、品物を買うまで財布や口座の中で自分のお金と混ざります。「預かり中」の一覧に誰からいくら預かったかを書き、品物を買った額と合わせて消すと、残高がずれません。

図は、自分を含めて14人が1,500円ずつ出し、花束と記念の品を買った場合の例です。預かり中の一覧は、品物の代金を払った日に消し、自分の1,500円だけが交際費に残ります。
先に自分が品物の代金を払って、後から集めるときは、立て替えとして置きます。置き方は家計簿の立替金はどう書く?と同じです。
もらった退職祝いは、退職金や給料と別の行に書く
受け取った退職祝いの現金は、家計調査では「受贈金」に当たり、例示に「祝金」と「せん別」があります。家計調査は、受贈金を毎月の給与とは別の「特別収入」に分けています。
退職の年は、最後の給料、退職金、お祝いが近い時期に入ります。お祝いを「もらったお金」などの別の行に書いておくと、退職金や最後の給料とお祝いが混ざらず、退職後の暮らしの見通しを、お祝いを除いた額で立てられます。
迷いやすい場面
職場の連名とは別に、個人でも贈りたい
特に世話になった上司には、連名とは別に個人で贈ることもあるとされています。案内では、職場の人の前ではなく、食事に行ったときなど別の場で渡す形が示されています。
個人で贈る額は、上司・先輩への幅(3,000円〜1万円)の中で決めます。部署全体で贈る慣習がある職場では、先に周りに確かめておくと差が目立ちません。
親の定年退職を、兄弟姉妹で祝う
両親への額は1万〜3万円の案内が並び、兄弟姉妹で出し合って旅行券などにする形が紹介されています。出し合うときは、誰がいくら出したかと、誰が代金を払ったかを分けて書くと、あとで精算しやすくなります。家計簿の書き方は、還暦祝いの相場の記事にも例があります。
よくある質問
Q上司への退職祝いはいくらですか
個人で贈るなら、3,000円〜1万円の間で案内が分かれています。連名なら合計1万〜3万円とする案内が3つあります。
Q同僚への退職祝いはいくらですか
個人で贈るなら3,000〜5,000円とする案内が5つあります。連名なら合計5,000円〜1万円、または5,000円〜2万円です。
Q職場で集めるとき、1人いくら出しますか
上司へは1人1,000〜3,000円、同僚や部下へは1,000〜2,000円とする案内と、1人500〜1,000円ほどとする案内があります。合計が連名の幅に入るように決めます。
Q親の定年退職祝いはいくらですか
両親へは1万〜3万円とする案内が3つあります。兄弟姉妹で出し合って額を上げる形や、3万〜10万円の旅行券を贈る形も紹介されています。
Q退職祝いを現金で渡してもよいですか
上司など目上の人へは、現金や商品券を避けるとする案内が3つあります。家族の間や、旅行券のように使いみちの決まったものにする形が示されています。
Q退職祝いにお返しは要りますか
退職祝いにはお返しが要らないとされています。そのため、高すぎる額は相手に気を使わせるとする案内があります。
Qもらった退職祝いに贈与税はかかりますか
個人からの社会通念上相当なお祝いなら、国税庁の No.4405 により贈与税はかかりません。かからないお祝いを除いて、1年間にもらった額の合計が110万円以下なら申告も要りません(No.4402)。
まとめ
- 退職祝いの額に公的な決まりはなく、目安はギフトの会社などの案内で示されている幅
- 職場の人へ個人で贈るなら3,000円〜1万円、連名は上司へ合計1万〜3万円、両親や兄弟姉妹へは1万〜3万円
- 目上の人へは現金や商品券を避け、のし紙は紅白の蝶結び。表書きは「御礼」ならどの理由にも使える
- 渡すのは正式に決まってから、送別会か最終出勤日の前後
- 個人からの社会通念上相当なお祝いに贈与税はかからない
- 家計簿では、贈った分は交際費、職場で預かったお金は自分の支出に入れず、もらった分は退職金や給料と別の行に書く
この記事で参照した公的情報
- タックスアンサー No.4405 贈与税がかからない場合(個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの・令和8年4月1日現在法令等)
- 相続税法基本通達 21の3-10 社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い(個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものは贈与税を課税しない・令8課資2-8改正)
- タックスアンサー No.4402 贈与税がかかる場合(暦年課税の基礎控除110万円・1年間の合計が110万円以下なら申告は不要・令和8年4月1日現在法令等)
- 家計調査 収支項目分類及びその内容例示(2025年1月改定)(交際費=贈答用金品及び接待用支出並びに職場、地域などにおける諸会費及び負担費・贈与金の例示にせん別と祝儀/特別収入の受贈金の例示に祝金とせん別/飲酒代=飲酒を目的とした諸会費も含む)