インフルエンザの予防接種の費用はいくら?|保険がきかず医療機関ごとに違う料金と、65歳以上の自己負担・子どもの助成の例

インフルエンザの予防接種は、病気の治療ではないため健康保険がきかず、原則として全額を自分で払います。料金は医療機関ごとに違い、決まった全国の額はありません。
ただし、65歳以上の人などは予防接種法の定期接種の対象で、市区町村が費用を公費で負担しているところがあります。子どもの接種に独自の助成をしている市区町村もあります。
この記事では、料金の目安、定期接種の自己負担、子どもの助成、健康保険組合の補助、家族の1シーズンの費用の例、家計簿での書き方を順に書きます。助成の額は市区町村ごとに違うので、市の名前を書いて分けています。
家族みんなでインフルエンザの予防接種を受けると、1シーズンでいくらになるのか分かりません。住んでいる市の助成が使えるのかどうかも迷います。
予防接種は、健康保険がきかず全額自己負担が原則
厚生労働省のインフルエンザワクチンのQ&Aでは、接種は病気の治療ではないため、健康保険が適用されないとしています。原則として全額が自己負担で、費用は医療機関によって異なります。
そのうえで、定期接種の対象の人は、市区町村が費用を公費で負担しているところがあります。定期接種の対象でない人にも、独自の助成をしている市区町村があります。
どちらも住んでいる市区町村で決まるので、額と期間は市区町村のサイトや保健所・保健センターで確かめます。子ども医療費助成の受給券は予防接種には使えないので、子どもの医療費助成の対象とは分けて考えます。
料金は医療機関ごとに違う
注射で受けるワクチン(HAワクチン)の料金は、医療機関が決めています。子ども向けの医療相談アプリの解説記事では、1回3,000円から5,000円ほどで受けられる医療機関が多いとしています。
健康保険組合の案内にも、概ね1回3,500円を標準とし、地域などによって金額が違うと書いたものがあります。同じ医療機関でも、年度によって料金が変わることがあります。
13歳未満は2回分の料金がかかる
厚生労働省のQ&Aでは、13歳未満の注射は2回です。13歳以上は、ワクチンの添付文書では1回または2回で、定期の予防接種は1回としています。
子どもは2回分の料金がかかり、2回目の料金を割り引く医療機関もあります。13歳以上で何回受けるかは、接種する医師と相談して決めます。
市区町村の助成も、この回数に合わせています。東京都中央区と千葉県成田市は、生後6か月から13歳未満(中央区は12歳まで)の注射は2回まで、13歳以上は1回を助成の対象にしています。
鼻にスプレーするワクチンは1回
2歳から18歳の子どもは、鼻の中に噴霧する経鼻弱毒生ワクチンも受けられます。同じ解説記事では、1回8,000円から9,000円前後で受けられることが多いとしています。
経鼻ワクチンは1シーズンに1回です。助成の額も注射と別に決める市区町村があり、中央区は経鼻ワクチンに4,000円を助成しています。
65歳以上の定期接種の自己負担は、市区町村ごとに違う
予防接種法の定期接種の対象は、65歳以上の人と、60歳から64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に重い障害がある人です。毎年度、秋から冬に1回受けられます。

自己負担の額と期間は、市区町村が決めます。令和8年度の3つの市の案内では、次のとおりです。
- 大阪市:1,500円。令和8年10月1日から令和9年1月31日まで
- 横浜市:2,300円。2026年9月下旬から12月31日まで
- 千葉県成田市:物価高騰への対応として、令和8年度に限り無料。令和8年10月1日から令和9年1月31日まで
大阪市と横浜市の案内では、市が決めた期間の外に受けた接種や、決められた回数を超える2回目の接種は、全額自己負担です。期間は市区町村ごとに違うので、住んでいる市区町村の案内で確かめます。
住民税が非課税の世帯などは、無料になる市がある
大阪市と横浜市は、生活保護を受けている人と、世帯全員が市民税非課税の人の自己負担を免除しています。免除を受けるには、接種の日に医療機関で、介護保険料の通知書などの確認できる書類を出します。
横浜市の案内では、払ったあとの払い戻しはできないとしています。書類が手元にないときは、接種の前に区役所の窓口か郵送で、確認書の発行を申し込みます。
子どもの接種は、市区町村の独自の助成がある
子どものインフルエンザの予防接種は、予防接種法の定期接種ではなく、任意の接種です。そのため全額自己負担が原則で、助成をするかどうかと額は市区町村が決めています。
令和8年度の2つの市区の例は、次のとおりです。
- 東京都中央区:生後6か月から高校3年生相当まで。注射は1回2,000円(12歳までは2回まで)、経鼻ワクチンは4,000円(1回)。令和9年1月31日まで
- 千葉県成田市:生後6か月から中学3年生までと妊娠している人。1回2,000円を上限(13歳未満は2回まで、経鼻ワクチンは1回)。令和8年10月1日から令和9年1月31日まで
中央区の例では、接種費用が5,000円の医療機関で注射を受けると、2,000円を引いた3,000円を窓口で払います。区が指定した実施医療機関以外で受けた接種や、予診だけで終わったときは、助成の対象になりません。
市外の医療機関で受けると、あとで申請する形になる
成田市では、市内の実施医療機関なら窓口で2,000円が差し引かれます。市外の医療機関で受けたときは、全額を払ったあとで、領収書と明細書の原本を付けて市に申請します。
成田市の案内では、申請の受理から概ね2か月程度で指定の口座に振り込まれ、申請の期限は令和9年3月31日です。住んでいる市区町村が市外での接種を助成するかと、その手続きは、接種の前に市区町村のサイトで確かめます。
健康保険組合の補助があることもある
勤め先の健康保険組合が、インフルエンザの予防接種に補助を出していることがあります。補助の有無と額は、健康保険組合ごとに違います。
たとえば、きつこう会健康保険組合の案内では、被保険者と被扶養者に1人1回3,000円(費用が3,000円未満ならその額)を補助しています。2回受けても1回分で、市町村の公費負担がある場合は除かれます。
この健康保険組合の補助は、接種のあとで申請して受け取る形で、領収書の原本が要ります。医療機関の名前・接種の日・受けた人・予防接種の種類・金額が書かれた領収書をもらい、家族全員が受け終えてからまとめて申請します。
市区町村の助成と重なるときの扱いは、それぞれの案内で確かめます。成田市の子どもと妊婦の助成では、健康保険組合から補助を受けたときは、払った料金から補助の額を引いた額を費用として扱うとしています。
家族の1シーズンの費用の例

図は、大人2人と13歳未満の子ども2人の家族が、1シーズンに注射で受けたときの例です。料金は1回3,500円と置き、2回目の割引や健康保険組合の補助は入れていません。
助成がない場合は、大人2人で7,000円、子ども2人が2回ずつで1万4,000円、合わせて2万1,000円です。子どもに1回2,000円の助成がある市区町村なら、子どもの分は1回1,500円になり、合計は1万3,000円になります。
実際の額は、受ける医療機関の料金と、住んでいる市区町村の助成で変わります。予約のときに料金を聞き、この例の3,500円を置き換えて計算し直します。
家計簿で、予防接種の費用を書く手順
予防接種の費用は、毎年同じ時期にかかるお金です。紙でも表計算でも、次の順で書けます。
ステップ1家族ごとに、受ける人と回数を書き出す5分
家族の名前と年齢を並べ、今シーズンに受ける人と回数を書きます。13歳未満の子どもの注射は2回で、65歳以上の家族は定期接種の対象かを書き添えます。
ステップ2住んでいる市区町村の助成を確かめる10分
市区町村のサイトで「インフルエンザ 予防接種」の頁を開き、対象の年齢・助成の額・期間・実施医療機関を書き写します。65歳以上の家族は、定期接種の自己負担の額と、免除の条件も書きます。
勤め先の健康保険組合のサイトに、補助の案内があるかも見ておきます。申請の期限と、要る書類をメモします。
ステップ3払った日に、1人ずつ1行で書く1分
接種を受けた日に、誰が・どこで・いくら払ったかを1行ずつ書きます。家計調査では予防接種代は「保健医療サービス」に入るので、家計簿でも医療の項目にまとめると、ほかの医療費と一緒に見られます。
領収書は、健康保険組合の補助や市区町村への申請に使うので、捨てずに取っておきます。医療の項目の作り方は、医療費の平均と家計簿のつけ方にあります。
ステップ4補助や助成が振り込まれたら、入った日に書く1分
あとから補助や助成が振り込まれたら、入った日に、どの接種の分かを添えて書きます。払った月と入った月がずれるので、払った行の横に「申請済み」と書いておくと、入金を待っている分が分かります。
来年の同じ時期に、今年の合計を見れば、予算の目安になります。年に1回の支払いの拾い方は、特別費は明細から拾うと同じです。
住んでいる市区町村の名前と「インフルエンザ 予防接種」で、市区町村のサイトの頁を開いてみてください。対象の年齢と助成の額を、家族の表に書き写せます。
迷いやすい場面
市の期間より前に受けた
市区町村の助成や定期接種には、期間があります。期間の外に受けた接種は、助成の対象にならず全額自己負担になります。
受ける前に、市区町村の期間と、その医療機関がいつから接種を始めるかを確かめます。医療機関によって、ワクチンを用意できる時期が違います。
65歳の誕生日の前に受けた
定期接種の対象かどうかは、接種の日の年齢で決まります。横浜市と成田市の案内でも、対象は接種の日に65歳以上の人です。
誕生日の前に受けると、その接種は定期接種ではなく任意の接種の扱いになります。誕生日と市区町村の期間を並べて、受ける日を決めます。
別の市区町村の医療機関で受けたい
助成の対象は、住んでいる市区町村の実施医療機関に限ることがあります。中央区は実施医療機関以外での接種を対象外にしています。成田市は、65歳以上の定期接種なら千葉県内の協力医療機関で市の予診票を使って受けられます。
里帰りなどで別の市区町村で受けるときは、接種の前に住んでいる市区町村に相談します。成田市の案内では、65歳以上の定期接種を千葉県外で受けるとき、事前の相談なしに全額を払って受けると、払い戻しは受けられないとしています。
セルフメディケーション税制を使いたい
インフルエンザの予防接種は、セルフメディケーション税制の「一定の取組」に当たります。国税庁の案内では、申告する本人がその年に取組を行っている必要があります。
取組をしたことを示す書類として、予防接種の領収書を取っておきます。対象の市販薬と申告の仕方はセルフメディケーション税制とはにまとめています。
よくある質問
Qインフルエンザの予防接種は、1回いくらですか
医療機関ごとに違い、全国で決まった額はありません。子ども向けの医療相談アプリの解説記事では、注射は1回3,000円から5,000円ほどの医療機関が多いとしています。
Q予防接種に健康保険は使えますか
使えません。厚生労働省のQ&Aでは、接種は病気の治療ではないため健康保険が適用されず、原則として全額自己負担としています。
Q65歳以上はいくらですか
定期接種の自己負担は市区町村ごとに違います。令和8年度は、大阪市が1,500円、横浜市が2,300円、成田市が令和8年度に限り無料です。
Q子どもの予防接種に助成はありますか
助成するかどうかと額は、市区町村が決めています。東京都中央区は高校3年生相当まで注射1回2,000円、千葉県成田市は中学3年生まで1回2,000円を上限に助成しています。
Q子どもは何回受けますか
厚生労働省のQ&Aでは、13歳未満の注射は2回です。13歳以上は1回または2回で、鼻に噴霧する経鼻ワクチンは1回です。
Q会社の健康保険から補助は出ますか
補助を出している健康保険組合があります。有無と額は組合ごとに違うので、勤め先の健康保険組合の案内で確かめます。
まとめ
- インフルエンザの予防接種は健康保険がきかず、原則として全額自己負担。料金は医療機関ごとに違う
- 65歳以上などの定期接種は、市区町村が決めた自己負担で受けられる(令和8年度は大阪市1,500円・横浜市2,300円・成田市は令和8年度のみ無料)
- 住民税が非課税の世帯や生活保護を受けている人の自己負担を免除する市がある
- 子どもの接種は任意の接種で、市区町村の独自の助成がある(中央区・成田市は注射1回2,000円)
- 健康保険組合が補助を出していることがあり、領収書の原本を付けてあとから申請する例がある
- 家計簿では、1人1行で医療の項目に書き、補助や助成が入った日も書き足す
家族ごとの回数と、市の助成の額を1枚の表にできました。領収書も医療の封筒にまとめたので、健康保険組合への申請にそのまま使えます。
この記事で参照した公的情報
- インフルエンザワクチン(季節性)Q&A(Q12=接種は治療ではないため健康保険が適用されず原則全額自己負担・費用は医療機関によって異なる・定期接種の対象者等は市区町村が公費負担しているところがある・対象でない人にも独自の助成をする市区町村がある/Q13=定期接種の対象は65歳以上と60〜64歳で一定の障害のある人/Q14=実施期間や費用は自治体によって異なる)
- インフルエンザワクチン接種について(令和8年度・65歳以上と60〜64歳で一定の障がいのある人・1回・令和8年10月1日から令和9年1月31日まで・接種費用1,500円・生活保護受給者と世帯全員が市民税非課税の人などは免除・対象外の年齢や回数・期間外は全額自己負担)
- 高齢者インフルエンザ定期予防接種(令和8年度・自己負担額2,300円・世帯全員が市民税非課税・生活保護・中国残留邦人等の支援給付は書類の提出で無料・支払い後の払い戻しはできない・2回目は全額自己負担・2026年9月下旬から12月31日まで)
- インフルエンザと新型コロナウイルスの予防接種費用の助成について(令和8年度のみ高齢者のインフルエンザの自己負担額を無料・子どもと妊婦は1回2,000円を上限に助成・生後6か月から13歳未満は2回まで・市外の医療機関は全額を払った後に申請し申請受理から概ね2か月程度で振込・申請期限 令和9年3月31日)
- 小児インフルエンザ任意予防接種費用一部助成事業(令和8年度・生後6か月から高校3年生相当・HAワクチン1回2,000円(12歳までは2回まで)・経鼻ワクチン4,000円(1回)・令和9年1月31日まで・実施医療機関以外は対象外・予診のみの助成はない)
- インフルエンザ予防接種費用の一部補助(被保険者と被扶養者・1人につき3,000円(費用が3,000円未満ならその額)・2回接種しても1回分・領収書の原本を貼って申請・市町村の公費負担がある場合は除く)
- 窓口
- きつこう会健康保険組合
- 確認日
- 確認先
- https://www.khskenpo.or.jp/health_promotion/prevention_flu.html
- No.1129 セルフメディケーション税制(「一定の取組」に予防接種(定期予防接種・インフルエンザワクチンの予防接種)が当たる・申告する本人が取組を行っている必要がある)
- 家計調査 収支項目分類及びその内容例示(2025年1月改定)(保健医療サービスの例示に予防接種代)