有料老人ホームの費用はいくら?|前払金(入居一時金)と毎月の費用の内訳、介護付き・住宅型・健康型の違い

支出の見直し ・ ・ 最終更新

有料老人ホームの費用は、入居のときの前払金(入居一時金)と敷金、毎月の家賃・管理費・食費・光熱水費、介護保険の自己負担、そのほかの費用に分かれます。介護保険の自己負担は国の告示の単位数で決まり、そのほかの額は施設との契約で決まります。

この記事では、老人福祉法と施行規則、厚生労働省の標準指導指針と介護報酬の告示で、それぞれの費用の決まり方を分けて示します。前払金が返る条件、3つの類型の違い、軽減と医療費控除、家計簿での分け方も載せます。

パンフレットに入居金と月額が書いてありますが、ほかに何を払うのか分かりません。途中で出ることになったら入居金が戻るのかも心配です。

有料老人ホームの費用は、入居時・毎月・介護保険・そのほかに分かれる

厚生労働省の重要事項説明書の様式には、入居時点で必要な費用(前払金・敷金)と、月額費用(家賃・食費・管理費・介護費用・光熱水費など)の欄があります。介護保険の自己負担は、同じ様式の中で別の欄に書きます。

  • 入居時:前払金(入居一時金・入居金と呼ぶこともある)と敷金
  • 毎月の契約の費用:家賃・管理費・食費・光熱水費。介護付きでは、手厚い職員体制の上乗せの介護費用が付くこともある
  • 介護保険の自己負担:介護付きは特定施設入居者生活介護の1割〜3割、住宅型は使った在宅サービスの1割〜3割
  • そのほか:医療費・薬代、おむつなどの消耗品、理美容、個別に頼むサービスの料金

有料老人ホームの費用の分け方の図。入居時は前払金(家賃などの前払い)と敷金(家賃の6か月分まで)。毎月の契約の費用は家賃・管理費・食費・光熱水費。介護保険の自己負担は、介護付きは1日の単位数の1割〜3割、住宅型は使ったサービスの1割〜3割。そのほかに医療費・おむつ代・理美容・個別のサービスがかかる

月額の表示にどの費用が入っているかは、ホームごとに違います。パンフレットの月額だけで比べず、重要事項説明書の費用の欄を並べて見ます。

月額と前払金の目安の幅

毎月の費用の目安は、10万〜30万円、15万〜35万円、12万〜40万円といった幅です。前払金は、0円のホームから数千万円のホームまであります。

これらの幅は国の統計ではなく、集計した時期や件数も示されていない目安です。額が変わる理由には、土地の値段や居室の広さ、設備、介護や看護の職員の体制があります。

介護をした人に費用を尋ねた全国の調査では、在宅と施設に分けた月々の費用の平均が出ています。施設には特養なども含まれるので、調査の対象と数字は介護費用の平均はいくら?で確かめます。

受け取れる費用は、老人福祉法で決まっている

老人福祉法 第29条第8項では、設置者は家賃・敷金・介護などの対価のほかに、権利金などの金品を受け取ってはならないとしています。入居のときに払うお金も、家賃やサービス費用の前払いに当たるものです。

敷金は、施行規則と標準指導指針で、家賃の6か月分が上限です。指針では、退去のときは居室の原状回復の費用を除いて全額を返すこととしています。

介護付き・住宅型・健康型で、介護の費用の払い方が違う

厚生労働省の「有料老人ホームの類型」では、有料老人ホームを介護付き・住宅型・健康型に分けています。違いは、介護が必要になったときに誰が介護をし、その費用をどう払うかです。

  • 介護付き:ホームが特定施設入居者生活介護の指定を受け、ホームの職員(外部サービス利用型では委託先の事業所)が介護をする
  • 住宅型:入居者が自分で選んだ地域の訪問介護などを使い、居室で暮らし続ける
  • 健康型:食事などのサービスが付き、介護が必要になったら契約を解除して退去する

特定施設入居者生活介護の指定を受けていないホームは、広告やパンフレットで「介護付き」「ケア付き」と表示できません。表示を見れば、介護保険の自己負担の払い方の見当がつきます。

介護付きの介護保険の自己負担は、1日の単位数で決まる

特定施設入居者生活介護費の1日の単位数は、令和6年厚生労働省告示第86号(令和6年4月から)で次のように決まっています。介護サービス情報公表システムの1割負担の1日の額(1単位10円)も、同じ数字の円です。

  • 要支援1:183単位(介護予防特定施設入居者生活介護)
  • 要支援2:313単位(同)
  • 要介護1:542単位
  • 要介護2:609単位
  • 要介護3:679単位
  • 要介護4:744単位
  • 要介護5:813単位

介護付きの自己負担は、訪問の回数で増えるのではなく、要介護度で決まる1日の額を日数分足したものです。要介護度が上がると、1日の単位数も上がります。

処遇改善加算は、令和8年6月から上がった

令和8年厚生労働省告示第87号は、特定施設入居者生活介護の基本の単位数を変えず、介護職員等処遇改善加算の率を改めました。施行は令和8年6月1日です。

令和8年6月1日からの特定施設入居者生活介護の処遇改善加算の率は、(Ⅰ)イ14.8%・(Ⅰ)ロ15.9%・(Ⅱ)イ14.2%・(Ⅱ)ロ15.3%・(Ⅲ)13.0%・(Ⅳ)10.8%です。改正前の率は、(Ⅰ)が12.8%、(Ⅱ)が12.2%でした。

このほか、入居継続支援加算・夜間看護体制加算・個別機能訓練加算・看取り介護加算など、ホームの体制やケアに応じた加算が足されます。どの加算を算定しているかは、ホームごとに違います。

要介護2・1割負担の人の1か月(例)

要介護2で1割負担の人が、介護付きのホームに30日いた場合の介護保険の自己負担を計算した例です。1日609単位の30日分に、処遇改善加算(Ⅰ)イの14.8%を足し、1単位10円としています。

介護付き有料老人ホームの介護保険の自己負担の例の図。要介護2・1割負担・30日の場合。基本は609単位を30日で18,270単位、処遇改善加算(Ⅰ)イの14.8%で約2,704単位、合計20,974単位。1単位10円で20万9,740円の1割が自己負担で、約2万1,000円。家賃・管理費・食費は別。金額は例

2割負担なら約4万2,000円、3割負担なら約6万3,000円です。家賃・管理費・食費などは、この額とは別に契約の額を払います。

ほかの加算を算定しているホームでは、この例より高くなります。1単位の単価は10円に地域区分ごとの割合を掛けた額(平成27年厚生労働省告示第93号)なので、単価が10円より高い地域でも上がります。

手厚い職員体制の上乗せ介護費

有料老人ホームの類型の表示では、介護付きの職員体制を「3:1以上」「2.5:1以上」「2:1以上」「1.5:1以上」で示します。3:1は特定施設入居者生活介護で満たさなければならない基準で、2.5:1以上は保険外に別の費用を受け取れる場合の基準です。

標準指導指針では、介護保険の外で受け取れる介護の費用は、老企第52号の通知の定めによるものに限られるとしています。上乗せの有無と額は、重要事項説明書の「人員配置が手厚い場合の介護サービス(上乗せサービス)」の欄に書かれます。

住宅型は、使った在宅サービスの分を払う

住宅型では、入居者が自分で選んだ訪問介護や通所介護などを、自宅で暮らすときと同じように使います。自己負担は使った分の1割〜3割で、要介護度ごとに1か月の区分支給限度基準額があります。

平成12年厚生省告示第33号では、1か月の区分支給限度基準額は次のとおりです。1単位10円なら、要介護2は19万7,050円分まで介護保険で使えます。

  • 要支援1:5,032単位
  • 要支援2:10,531単位
  • 要介護1:16,765単位
  • 要介護2:19,705単位
  • 要介護3:27,048単位
  • 要介護4:30,938単位
  • 要介護5:36,217単位

限度額を超えた分の利用料は、介護保険が使えず全額を払います。訪問介護の1回の単位数と料金は、訪問介護の料金で扱っています。

健康型は、介護が必要になると退去する

有料老人ホームの類型では、健康型は食事などのサービスが付いた居住施設で、介護が必要になった場合は契約を解除して退去しなければならないとしています。前払金を払っていれば、退去の時期によって返る額が変わります。

令和8年の法改正で、要介護の人のホームは登録制になる

社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号・令和8年6月25日公布)で、政令で定める要介護状態区分などの人を入居させて介護等をするホームは、都道府県の登録を受ける形になります。施行は、公布の日から2年を超えない範囲で政令で定める日です。

改正の後も、前払金の算定の基礎を示すこと、保全措置、返還の契約の決まりは、第29条の8と第29条の25に移って残ります。登録の基準などの細かい所は、今後の政令と省令で決まります。

入居のときの前払金は、家賃などの前払い

有料老人ホームの類型・表示事項では、利用料の払い方を次の4つで示します。前払金は、以前は「一時金」と呼ばれ、当面は広告などで「一時金」と書くことも認められています。

  • 全額前払い方式:終身にわたる家賃やサービス費用の全部を、前払金として一括で払う
  • 一部前払い・一部月払い方式:一部を前払金で払い、残りを月払いする
  • 月払い方式:前払金を払わず、家賃やサービス費用を月払いする
  • 選択方式:上の3つのどれかを入居者が選べる

前払金の額の決め方

標準指導指針では、終身にわたる契約の前払金は、1か月分の家賃やサービス費用に想定居住期間の月数を掛け、想定居住期間を超えて住む場合に備える額を足して出すことを基本としています。前払金の償却の年数は、この想定居住期間です。

厚生労働省の消費者向けガイドブックでは、想定居住期間を、入居者のおおむね50%がそこに住み続けると見込まれる期間と説明しています。期間を超えて住み続けても、家賃などを追加で払うことはないとしています。

重要事項説明書の様式には、想定居住期間(償却年月数)、償却の開始日、超えて住む場合に備えて受け取る額(初期償却額)と初期償却率を書く欄があります。前払金のうち最初に償却される額と、償却が終わる月は、この欄で分かります。

介護の費用を前払金に含めるホームもあります。指針では、介護保険の利用者負担分を前払金で受け取ることは、負担が分かりにくくなるので不適当としています。

前払金には、保全措置が義務になっている

老人福祉法 第29条第9項では、前払金を受け取る設置者は、算定の基礎を書面で示し、返す義務に備えて保全措置を講じなければなりません。保全措置は、銀行の債務の保証などの厚生労働大臣が定める措置です(施行規則 第20条の10)。

重要事項説明書の様式では、保全先を、連帯保証をする銀行など・信託会社など・保証保険の保険会社・有料老人ホームの業界団体などから選んで書きます。指針では、平成18年3月31日までに届け出たホームも、令和3年4月1日以降の新しい入居者は保全措置の対象としています。

入居後3か月以内の解約・死亡は、日割りの額を引いて返る

老人福祉法 第29条第10項と施行規則 第21条により、入居後3か月以内に契約を解除したときや、入居者が亡くなって契約が終わったときは、前払金から日割りの額を引いた残りを返す契約にします。引く額は、家賃等の月額を30で割り、入居の日から契約が終わった日までの日数を掛けた額です。

施行規則では、この期間を「三月」としています。標準指導指針では、解約の予告期間を設けてこの期間を事実上短くし、入居者の利益を不当に害してはならないとしています。

消費者向けガイドブックでは、3か月を1日でも過ぎると、想定居住期間を超えた期間に備えた家賃等は返らない場合があるとしています。想定居住期間を過ぎてからの退去では、返る額はありません。

3か月を過ぎた後に返る額(例)

前払金720万円のホームに入った場合の例です。家賃の月7万円に想定居住期間84か月(7年)を掛けた588万円と、7年を超えて住む場合に備える額132万円を足しています。

前払金720万円の返還の例の図。入居から45日で解約した場合は、家賃の月額7万円÷30×45日の10万5,000円を引いて709万5,000円が返る。入居から3年で解約した場合は、超えて住む場合に備える額132万円と、住んだ36か月分の家賃252万円を引いて336万円が返る。金額は例

入居から45日で解約すると、3か月の期間の中なので、日割りの10万5,000円を引いた709万5,000円が返ります。食費や管理費などの月払いの分は、住んだ日の分を別に払います。

3年で解約すると、備える額と36か月分の家賃を引いた336万円が返ります。3か月を過ぎた後の返し方は契約で決まり、この例は想定居住期間の残りの月数分の家賃を返す形で計算しています。

前払いと月払いは、住む期間で総額が変わる

消費者向けガイドブックでは、短い期間で契約が終わると月払い方式のほうが累積の支払額が低く、長く住むと前払い方式のほうが低くなると説明しています。どちらが低いかは、住む期間と、前払金の返り方で決まります。

同じホームでも、前払金の額と毎月の額はプランごとに違います。何年住むと総額が入れ替わるかは、重要事項説明書の前払金と月額の欄を並べて計算します。

契約の前に払う内金と、入居前の解約

標準指導指針では、前払金の内金は前払金の20%以内とし、残りは引き渡しの日の前の合理的な日以降に受け取ることとしています。入居できる日より前に契約を解除した場合は、受け取ったお金の全額を返すこととしています。

毎月の費用の中身

有料老人ホームの業界団体(公益社団法人)の入居者向けの案内では、毎月の費用として、家賃・管理費・食費・介護費のほかに、光熱水費・通信費・個別のサービス費用・医療費などを挙げています。どれが月額に入り、どれが別払いかは、ホームごとに違います。

  • 家賃:居室と共用の場所を使う費用。立地や広さで額が違う
  • 管理費:事務の人件費、共用の場所の維持費、生活支援のサービスの人件費など
  • 食費:食材費と、厨房の人件費・維持費など
  • 光熱水費:居室の電気・ガス・水道。定額か、使った量で払うかはホームによる
  • 介護費用:ホームが介護保険の外で受け取る介護の費用(上乗せの介護費用など)

同じ案内では、食費は朝・昼・夕ごとに額を決めて食べた分を払う形のほか、食べなくても毎月一定の額を払う形のホームもあるとしています。入院や外泊で食べない日の扱いは、管理規程や重要事項説明書で確かめます。

個別に払う費用

同じ案内では、月々の費用に入らないものとして、おむつなどの消耗品、決まった回数を超える入浴の介助、協力医療機関以外への通院の付き添い、買い物の代行、行事の参加費などを挙げています。何が月額に入り、何回から別料金かは、重要事項説明書に付くサービスの一覧表で分かります。

医療機関にかかったときの医療費と薬代は、医療保険の自己負担として別に払います。訪問診療や訪問歯科を受けたときも、同じ扱いです。

使える軽減と、使えない軽減

介護保険の自己負担には、月の上限があります。一方で、家賃や食費を下げる介護保険の制度は、有料老人ホームには使えません。

介護保険の自己負担には、月の上限がある(高額介護サービス費)

介護付きの特定施設入居者生活介護の自己負担も、住宅型で使う在宅サービスの自己負担も、1か月の上限を超えた分は高額介護サービス費で戻ります。介護サービス情報公表システムでは、住民税非課税世帯の上限は2万4,600円(世帯)です。

課税世帯の上限は、同じ世帯の65歳以上の人の課税所得が380万円未満なら4万4,400円(世帯)です。家賃・管理費・食費は、この計算に入りません。

戻してもらうには、市区町村に申請します。手続きの流れは高額介護サービス費にあり、医療保険の自己負担と合わせた1年分の上限は高額介護合算療養費で見られます。

食費と居住費の軽減(負担限度額認定)は使えない

介護保険法 第51条の3で、食費と居住費を軽くする特定入所者介護サービス費の対象は、特養・老健・介護医療院・ショートステイなどのサービスです。有料老人ホームの家賃と食費は、この軽減の対象に入っていません。

所得が低くて食費と居住費の上限を使いたいときは、特養などの介護保険施設が対象です。認定の段階と預貯金の要件は介護保険の負担限度額認定とはに、特養の費用と入所の条件は特養の費用はいくら?にまとめています。

生活保護を受けている

生活保護を受けている人が有料老人ホームに入るときは、家賃が住宅扶助の範囲に収まるかなどを、担当の福祉事務所に相談します。保護を受ける条件と保護費の決まり方は、生活保護の条件にまとめています。

医療費控除と、親の費用を払う子の控除

国税庁のタックスアンサー No.1127 では、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)の自己負担は、医療費控除の対象外に挙げられています。特養(自己負担の2分の1)や老健(全額)と違い、介護付きの介護保険の自己負担は控除に入りません(No.1125)。

住宅型で訪問看護や訪問リハビリテーションなどの医療系のサービスを使ったときは、その自己負担が対象です。一緒に使った訪問介護(生活援助中心型を除く)なども対象になり、領収証に対象の金額が書かれることになっています。

おむつ代は、医師などが出す「おむつ使用証明書」があるときに限って対象です。要介護認定を受けている人は、市町村が主治医意見書の内容を確かめた書類などで代えられます(No.1127)。

医療機関に払った医療費・薬代は、ほかの医療費と同じく対象です。確定申告での書き方は、医療費控除のやり方にまとめています。

親の費用を払う子の控除

親を扶養していれば、老人ホームに入っていても扶養控除の対象になることがあります。老人ホームに入所している親は同居老親等に当たらないとされているので、控除の額は親を扶養に入れる条件で確かめます。

65歳以上で、障害の程度が障害者に準ずると市町村長などの認定を受けた人は、障害者控除の対象です(No.1160)。所得税の控除の額と、市区町村での認定の受け方は障害者控除とはで確かめられます。

家計簿での分け方

有料老人ホームの請求書には、契約の費用と介護保険の自己負担が並びます。「住まい」と「介護」に分けて書いておくと、高額介護サービス費や医療費控除を確かめるときに、どの行を見ればよいかがすぐ分かります。

紙のノートでも表計算でも、手順は変わりません。親の口座からではなく子が払う月があるなら、立て替えの書き方を使い、払った人を行ごとに残します。

ステップ1前払金は、払った月に1行で書き、償却の条件を添える10分

前払金は、払った月に1行で書き、横に想定居住期間と初期償却額を控えます。途中で出ることになったときに、返る額の見当をつけるのに使えます。

ステップ2毎月の請求を、「住まい」と「介護」に分ける10分

家賃・管理費・食費・光熱水費は「住まい」、介護保険の自己負担と上乗せの介護費用は「介護」の項目にします。おむつ代や理美容など、個別に払った分は、明細の名前のまま別の行にします。

ステップ3高額介護サービス費の振込を、収入の行に書く5分

高額介護サービス費の振込は、請求書の行を直さずに、戻ってきたお金として収入の側に1行足します。何月の分が戻ったのかを添えておくと、上限を超えた月が分かります。

ステップ4医療費控除に使える領収証を分けておく5分

医療機関の医療費・薬代、住宅型で使った医療系のサービスの領収証を、ほかの請求書と分けてとっておきます。介護付きの介護保険の自己負担は対象外なので、ここには入れません。

迷いやすい場面

前払金0円のプランと、前払いのプランで迷う

前払金0円のプランは月払い方式で、前払いのプランより毎月の額が高く設定されることがあります。住む期間が短ければ月払い、長ければ前払いのほうが、累積の支払額が低くなります。

前払いのプランを選ぶときは、初期償却率と想定居住期間を見ます。3か月を過ぎてから出ることになったとき、いくら返るかが決まる欄です。

特養と迷っている

特養は入居一時金がかからず、所得が低い人は食費と居住費の上限(負担限度額認定)を使えます。入所できるのは、原則として要介護3以上の人です。

特養の介護費・食費・居住費の自己負担は、その2分の1が医療費控除の対象です。有料老人ホームの介護付きの自己負担は対象外なので、同じ額を払っても控除の対象の額が違います。

費用が払えなくなりそう

消費者向けガイドブックでは、事業者から契約を終える申し出の理由の例に、家賃・食費などの滞納を挙げています。どんな条件で事業者から解約されるかは、契約の前に確かめておく項目です。

標準指導指針では、入居契約書に身元引受人の権利・義務や、契約解除の要件を明示することになっています。払えなくなりそうなときは、ホームと、本人の介護保険の市区町村の窓口に早めに相談します。

要介護度が上がった

介護付きでは、要介護度が上がると1日の単位数が上がり、介護保険の自己負担が増えます。上乗せの介護費用が要介護度で変わるかは、契約で決まります。

住宅型では、使うサービスが増えると自己負担が増え、区分支給限度基準額を超えた分は全額が自己負担です。住宅型のまま住み続けられるか、介護付きに移るかも、費用の見通しに関わります。

月の途中で入居・退去した

介護付きの介護保険の自己負担は、1日の単位数に日数を掛けて計算します。家賃・管理費・食費が日割りになるかは、契約で決まります。

よくある質問

Q有料老人ホームの費用は、月いくらかかりますか

家賃・管理費・食費などはホームとの契約で決まり、国が決めた額はありません。月10万〜30万円、15万〜35万円などの幅が目安とされます。介護付きの介護保険の自己負担は、要介護2・1割負担で30日なら約2万1,000円です(処遇改善加算(Ⅰ)イ・1単位10円の例)。

Q入居一時金は、退去したら戻りますか

入居後3か月以内の解約や死亡による終了なら、日割りの家賃等を引いた残りが返ります。3か月を過ぎた後は契約の算定方法によるため、重要事項説明書の返還金の欄で確かめます。

Q介護付きと住宅型では、介護の費用はどう違いますか

介護付きは、要介護度で決まる1日の単位数の1割〜3割を払います。住宅型は、自分で選んで使った在宅サービスの1割〜3割を払い、区分支給限度基準額を超えた分は全額が自己負担です。

Q有料老人ホームでも、高額介護サービス費は使えますか

使えます。介護保険の自己負担が1か月の上限を超えた分が戻り、家賃や食費は計算に入りません。

Q有料老人ホームの費用は、医療費控除の対象になりますか

介護付きの介護保険の自己負担は対象外です。医療機関に払った医療費や、住宅型で使った医療系のサービスの自己負担は対象です。

まとめ

  • 費用は、前払金と敷金、毎月の契約の費用、介護保険の自己負担、そのほかに分かれる
  • 介護付きの自己負担は1日の単位数で決まり、要介護3は679単位(令和6年4月から)
  • 特定施設入居者生活介護の処遇改善加算の率は、令和8年6月から(Ⅰ)イ14.8%
  • 住宅型は使った在宅サービスの分を払い、区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担
  • 前払金には保全措置があり、入居後3か月以内の解約・死亡は日割りの額を引いて返る
  • 高額介護サービス費は使えるが、食費と居住費の軽減(負担限度額認定)は使えない
  • 介護付きの介護保険の自己負担は、医療費控除の対象外

前払金・毎月の契約の費用・介護保険を分けて見ると、どこが契約で決まり、どこが国の単位数で決まるのかが分かります。家計簿の行も同じ分け方にしておくと、上限や控除の確かめに使えます。

この記事で参照した公的情報

  1. 老人福祉法 第29条(有料老人ホームの定義と届出・第8項 家賃・敷金・介護等の対価のほかに権利金その他の金品を受領してはならない・第9項 前払金の算定の基礎を書面で明示し保全措置を講じる・第10項 入居後の一定の期間内の契約の解除・死亡による終了で前払金から省令の方法で算定した額を控除した額を返還する契約)と、社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号・令和8年6月25日公布)の改正後の第29条の8・第29条の16・第29条の25(登録有料老人ホーム・前払金の措置)と附則第1条第3号(公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日に施行)
    窓口
    e-Gov 法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000133
  2. 老人福祉法施行規則 第20条の9(前払金の対象の費用・敷金は家賃の6月分が上限)・第20条の10(銀行の債務の保証その他の厚生労働大臣が定める保全措置)・第21条(入居後三月が経過するまでの契約の解除・死亡による終了は、家賃等の月額を三十で除した額に日数を乗じた額を控除)
    窓口
    e-Gov 法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/338M50000100028
  3. 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について(老発第0718003号・最終改正 令和6年12月6日)(11 利用料等=敷金は6か月分を超えない・退去時に原状回復費用を除き全額返還・前払金の算定根拠の式・想定居住期間・介護保険の利用者負担分を前払金で受け取るのは不適当・老企第52号の上乗せの介護費用・平成18年厚生労働省告示第266号の保全措置・予告期間で返還の期間を短縮しない/12 契約内容等=前払金の内金は20%以内・入居開始可能日前の解除は全額返還・身元引受人の権利義務と契約解除の要件を明示)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/001347957.pdf
  4. 有料老人ホームの類型・表示事項(介護付・住宅型・健康型の説明・特定施設入居者生活介護の指定を受けていないホームは「介護付き」「ケア付き」と表示できない・利用料の支払い方式(全額前払い・一部前払い一部月払い・月払い・選択方式)・「一時金」の表現は当面使用可・介護にかかわる職員体制(1.5:1・2:1・2.5:1・3:1以上))
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/001347959.pdf
  5. 重要事項説明書(標準指導指針の別紙様式)(入居時点で必要な費用=前払金・敷金・月額費用の合計=家賃・特定施設入居者生活介護の費用・介護保険外の食費・管理費・介護費用・光熱水費・その他・上乗せサービス・想定居住期間(償却年月数)・初期償却額と初期償却率・入居後3月以内と3月を超えた契約終了の返還金の算定方法・前払金の保全先)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/001347958.pdf
  6. 高齢者向け住まいを選ぶ前に 消費者向けガイドブック(前払い方式と月払い方式・想定居住期間はおおむね50%の人が住み続けると予想される期間・想定居住期間を超えても追加の家賃等はない・入居から3か月以内の契約終了は居住費用を除いた全額を返還・3か月を過ぎると想定居住期間を超えた期間に備えた家賃等は返還されない場合がある・短い期間なら月払い方式、長い期間なら前払い方式の累積の支払額が低い・事業者からの解約の理由に家賃や食費等の滞納)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/001209213.pdf
  7. 有料老人ホームでの生活に必要な費用(家賃・管理費・食費・介護費・その他の費用・家賃と介護費の前払い・食費は食事ごとに喫食分を払うホームと毎月一定額を払うホーム・光熱水費・通信費・生活支援サービス・おむつ等の消耗品・入浴介助・通院介助・医療費・サービスの一覧表)
    窓口
    公益社団法人 全国有料老人ホーム協会
    確認日
    確認先
    https://user.yurokyo.or.jp/home/view/334
  8. どんなサービスがあるの? 特定施設入居者生活介護(指定を受けた有料老人ホームなどが提供・外部サービス利用型・入居費用や日常生活費(おむつ代など)は別途負担・利用者負担(1割・1日)要支援1 183円・要支援2 313円・要介護1 542円〜要介護5 813円)
    窓口
    厚生労働省(介護サービス情報公表システム)
    確認日
    確認先
    https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group17.html
  9. 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和6年厚生労働省告示第86号)(特定施設入居者生活介護費(1日)要介護1 542単位・要介護2 609単位・要介護3 679単位・要介護4 744単位・要介護5 813単位・介護予防特定施設入居者生活介護費 要支援1 183単位・要支援2 313単位)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001227814.pdf
  10. 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第87号・令和8年3月13日)(特定施設入居者生活介護費のイ〜ルは(略)=改正なし・介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イ1000分の148・(Ⅰ)ロ159・(Ⅱ)イ142・(Ⅱ)ロ153・(Ⅲ)130・(Ⅳ)108(改正前は(Ⅰ)128・(Ⅱ)122・(Ⅲ)110・(Ⅳ)88)・附則で令和8年6月1日施行)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675895.pdf
  11. 令和8年度介護報酬改定について(介護職員等処遇改善加算の加算率=特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護 14.8%・15.9%・14.2%・15.3%・13.0%・10.8%)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf
  12. 介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)(特定施設入居者生活介護費 542〜813単位・入居継続支援加算・夜間看護体制加算・個別機能訓練加算・看取り介護加算などの加算)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/001675193.pdf
  13. 厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年厚生労働省告示第93号)(一単位の単価は10円に、地域区分とサービスの種類ごとの割合を乗じた額)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080834.pdf
  14. 居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額(平成12年厚生省告示第33号)(要支援1 5,032単位・要支援2 10,531単位・要介護1 16,765単位・要介護2 19,705単位・要介護3 27,048単位・要介護4 30,938単位・要介護5 36,217単位)
    窓口
    厚生労働省(法令等データベース)
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0267&dataType=0&pageNo=1
  15. サービスにかかる利用料(高額介護サービス費の上限=生活保護を受給している方等 15,000円(個人)・市町村民税世帯非課税 24,600円(世帯)・課税所得380万円未満 44,400円(世帯)・380万円〜690万円未満 93,000円・690万円以上 140,100円・課税所得は同一世帯の65歳以上の方で判定・市区町村への申請が必要)
    窓口
    厚生労働省(介護サービス情報公表システム)
    確認日
    確認先
    https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
  16. 介護保険法 第51条の3(特定入所者介護サービス費の対象=指定介護福祉施設サービス・介護保健施設サービス・介護医療院サービス・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・短期入所生活介護・短期入所療養介護)
    窓口
    e-Gov 法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
  17. 介護保険法施行規則 第17条の9(特養に入所する要介護者は要介護3〜5)・第17条の10(要介護1・2でやむを得ない事由があると認められる者)
    窓口
    e-Gov 法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036
  18. No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価(特定施設入居者生活介護【有料老人ホーム等】・介護予防特定施設入居者生活介護は医療費控除の対象外・訪問看護などの医療系サービスは対象・訪問介護(生活援助中心型を除く)などは医療系サービスと併せて利用する場合のみ対象・おむつ代はおむつ使用証明書がある場合に限り対象・主治医意見書の内容を確認した書類で代えられる)
    窓口
    国税庁
    確認日
    確認先
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1127.htm
  19. No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価(指定介護老人福祉施設は自己負担額の2分の1・介護老人保健施設と介護医療院は自己負担額)
    窓口
    国税庁
    確認日
    確認先
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1125.htm
  20. No.1160 障害者控除(精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、障害の程度が障害者に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人)
    窓口
    国税庁
    確認日
    確認先
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm

この記事を書いているのは

Mirai Kanaiは、家計を見えるようにすることを目的とした個人向けの家計簿サービスです。運営するMove for People株式会社は、家計が見えていないことが、使える制度を逃したり、対処が遅れたりする原因になっていると考えています。

Mirai Kanaiには、使える可能性のある制度をまとめた「支援を探す」の画面もあります。

App Store からダウンロードGoogle Play で手に入れよう

Mirai Kanaiを見てみる

この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。特定の金融商品の推奨や、個別の投資判断に関する助言を行うものではありません。公的制度の要件・金額は変更される場合があり、自治体によって異なります。実際のご利用にあたっては、必ず公式の窓口でご確認ください。