高額介護サービス費|多くの家庭は月4万4,400円が上限・申請は最初の1回だけ

介護保険のサービスを毎日使うようになると、1割や2割の負担でも月の合計は大きくなります。上限があることを知らないまま、払いすぎていることがあります。
この記事では、高額介護サービス費のしくみを、上限額・対象になる費用・申請のしかたに分けてまとめます。数字は市の案内で確かめたものです。
介護のサービス料が毎月かさむと、この先も払い続けられるか心配です。上限があるのなら、いくらからなのかが分かりません。
上限を超えた分が戻ってくる制度
高額介護サービス費は、1か月に払った介護保険サービスの利用者負担が上限を超えたときに、超えた分が戻ってくる制度です。同じ世帯の人の分を合計して判定します。

上限は所得によって6つに分かれます。多くの家庭が当てはまるのは、市民税が課税されていて課税所得380万円未満の世帯の区分で、月4万4,400円です。
厚生労働省の案内では、課税所得380万円を年収約770万円としています。市民税が課税されていて、年収がおおむね770万円未満なら、この区分です。年収約770万円以上約1,160万円未満は9万3,000円、約1,160万円以上は14万100円です。
市民税が世帯全員非課税なら、上限は世帯で月2万4,600円まで下がります。住民税非課税世帯の基準は住民税非課税世帯にまとめています。
そのうえで、課税年金収入額と合計所得金額の合計が82万6,500円以下の人は、個人の上限が月1万5,000円になります。老齢福祉年金を受けている人と、生活保護を受けている人も個人で月1万5,000円です。
非課税世帯の判定額は見直されることがある
個人の上限が1万5,000円になる基準の額は、見直されることがあります。京田辺市の案内では、令和8年7月31日までは80万9,000円、令和8年8月1日からは82万6,500円です。
「80万円以下」という数字を載せている解説を見かけますが、これは古い基準です。判定の年に住んでいる市区町村の案内で確かめてください。
対象にならない費用がある
介護保険サービスの利用者負担でも、高額介護サービス費の対象にならないものがあります。ここを勘違いすると、戻る額が思ったより少なくなります。

合計に入れるのは、介護保険の給付として受けたサービスで自分が払った分です。訪問介護・通所介護・短期入所・施設サービスなどが含まれます。
対象にならないのは、福祉用具購入費・住宅改修費・施設サービスやショートステイの居住費と食費・日常生活費です。横須賀市の案内にもそう書かれています。
区分支給限度基準額を超えて使った分も対象外です。限度額を超えると全額が自己負担になりますが、その分は介護保険の給付ではないからです。
上限額の区分と限度額は別のものです。要介護度ごとの限度額は要介護認定にまとめています。
施設に入っている場合
施設サービスの利用者負担も対象になります。ただし、居住費(部屋代)と食費は対象外です。
居住費と食費については、別に負担限度額認定という制度があります。市民税非課税世帯などが対象で、申請すると自己負担の上限が下がります。
特別養護老人ホームなどの施設では、居住費と食費のほうが金額が大きくなることがあります。両方の制度を確かめてください。
いくら戻るかを計算してみる
上限を超えた分が戻るので、どれくらい超えているかで戻る額が決まります。1割負担で区分支給限度額いっぱいまで使った場合を例にしてみます。

1割負担で上限4万4,400円の区分なら、要介護5で限度額いっぱいまで使っても月3万6,217円なので、上限には届きません。この区分では戻らないことのほうが多くなります。
2割負担だと話が変わります。要介護5で限度額いっぱいなら月7万2,434円なので、4万4,400円を超えた2万8,034円が戻ります。
市民税世帯非課税の区分では、上限が2万4,600円まで下がります。1割負担でも、要介護4なら限度額の8割、要介護5なら7割ほど使えば上限を超えます。
ここでの自己負担は、居宅サービスの区分支給限度額を1割・2割で計算したものです。前提を変えれば額も変わります。
1割・2割・3割の決まり方
65歳以上の人の場合、どの割合になるかは、本人の所得と、同じ世帯の65歳以上の人の年金などで決まります。厚生労働省の「介護保険制度の概要」では、次のように示されています。
- 3割:本人の合計所得金額が220万円以上で、同じ世帯の65歳以上の人の「年金収入+その他の合計所得金額」が単身で340万円以上(夫婦の世帯なら463万円以上)
- 2割:3割に当たらず、本人の合計所得金額が160万円以上で、同じく単身で280万円以上(夫婦の世帯なら346万円以上)
- 1割:上のどちらにも当たらない人
自分の割合は、要介護・要支援の認定を受けた人に市区町村から届く介護保険負担割合証に書かれています。厚生労働省の資料では、有効期間は8月1日から翌年7月31日までで、割合は主に8月に切り替わります。
世帯の分を合算する
判定は世帯単位です。同じ世帯に介護サービスを使っている人が2人いれば、2人分の自己負担を合計して上限と比べます。
戻る額は、それぞれの自己負担額の割合で分けて支給されます。夫婦ともに介護サービスを使っている場合は、合算されることで上限を超えやすくなります。
個人の上限(1万5,000円)が設定されている区分では、世帯の上限と個人の上限の両方があります。京田辺市の案内では、その人の分は個人で1万5,000円、世帯の合計は2万4,600円が上限です。
申請は最初の1回だけ
上限を超えた月があると、市区町村から支給申請書が届きます。自分で気づいて申請しなくても、案内が来る形になっています。
申請に出すのは、支給申請書と、振込先の銀行名・支店名・口座番号・口座名義人が分かるものです。横須賀市の場合は介護保険課に提出します。
一度申請すれば、それ以降に高額介護サービス費が発生したときは、決定通知書が届いて指定した口座に自動的に振り込まれます。毎回申請する必要はありません。
横須賀市では、受理した翌月の最終木曜日(金融機関が休みの場合はその前日)が振込予定日です。決定通知書は振込予定日までに送られます。
時期や必要書類は市区町村で違います。印鑑が要るところと要らないところがあり、マイナンバーの提示を求めるところもあります。申請の前に、住んでいる市区町村の案内で確かめてください。
案内が届かないとき
上限を超えたはずなのに申請書が届かないときは、そのままにしないでください。まず明細を合計して、上限を超えている月があるかを確かめます。
心当たりがあるときは、市区町村の介護保険の窓口に確かめてください。さかのぼって申請できます。
申請の時効は2年です。介護保険法では、保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効により消えると定めています。数え始めはサービスを利用した月の翌月1日で、そこから2年を過ぎると請求できなくなります。
医療費と合わせる制度もある
同じ世帯で医療費と介護費の両方がかかっている場合は、高額医療・高額介護合算療養費制度があります。1年(8月から翌年7月)の自己負担を合計して、上限を超えた分が戻ります。
高額介護サービス費や高額療養費で戻った分を差し引いたあとの額で判定します。こちらは自分で申請する必要があります。
申請の窓口は、加入している医療保険です。国民健康保険と後期高齢者医療制度は市区町村、健康保険組合や協会けんぽはそれぞれの窓口になります。
迷いやすい場面
上限を超えているのに戻ってこない
対象にならない費用が含まれていないか確かめてください。福祉用具の購入費・住宅改修費・居住費・食費・日常生活費は、合計に入りません。
区分支給限度基準額を超えて使い、全額を自分で払った分も合計に入りません。明細書で、介護保険の給付対象の欄だけを合計してみてください。
世帯を分けると上限は下がるのか
上限は世帯単位で判定されるので、世帯を分ければ区分が変わることがあります。ただし、世帯分離は住民票の扱いを変えることなので、ほかの制度にも影響します。
国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料、介護保険料の段階も世帯の課税状況で決まります。介護費だけを見て判断しないでください。
1割負担なのに上限を超える
要介護度が高く、区分支給限度基準額いっぱいまでサービスを使っていれば、1割負担でも月の自己負担は要介護4で3万938円、要介護5で3万6,217円になります。ショートステイを組み合わせればさらに増えます。
上限4万4,400円の区分では、1割負担だとここまででは届きません。市民税世帯非課税の区分(2万4,600円)なら超えるので、まずは1か月分の明細を合計してみてください。
高額療養費とどう違うのか
高額療養費は医療費、高額介護サービス費は介護費が対象です。それぞれ別の上限があり、別々に計算されます。
両方にかかっている場合は、年間で合算する高額医療・高額介護合算療養費制度があります。どちらも申請の窓口が違うので、確かめてから動いてください。
住んでいる市区町村で額が違うのか
上限額の区分と金額は全国共通です。所得による6つの区分も同じです。
違うのは申請の手続きです。必要書類・振込の時期・案内の送り方は市区町村ごとに違うので、住んでいる市区町村の案内で確かめてください。
よくある質問
Q高額介護サービス費の上限はいくらですか
多くの家庭が当てはまる区分(市民税課税で課税所得380万円未満)は、月4万4,400円です。市民税世帯非課税なら世帯で2万4,600円、課税年金収入額と合計所得金額の合計が82万6,500円以下の人は個人で1万5,000円になります。
Q申請はどうすればいいですか
上限を超えた月があると市区町村から支給申請書が届きます。申請書と振込先が分かるものを窓口に出してください。2回目からは申請し直さなくても、指定した口座に振り込まれます。
Qいつ振り込まれますか
市区町村によって違います。横須賀市では、申請を受理した翌月の最終木曜日が振込予定日です。
Q福祉用具の購入費は対象ですか
対象外です。住宅改修費・施設やショートステイの居住費と食費・日常生活費も対象になりません。
Qデイサービスの食事代は対象ですか
対象外です。食費は介護保険の給付ではないので、高額介護サービス費の合計には入りません。
Q申請の期限はありますか
あります。サービスを利用した月の翌月1日から2年です。介護保険法で、保険給付を受ける権利は2年で時効になると定められていて、過ぎると請求できなくなります。
Q高額療養費と一緒に使えますか
それぞれ別に計算されます。年間で合わせたい場合は、高額医療・高額介護合算療養費制度があります。こちらは自分で申請します。
医療費のほうにも、1か月の上限を決めるしくみがあります。額は高額療養費制度はいくらからにまとめました。
まとめ
高額介護サービス費は、1か月の介護保険サービスの利用者負担が上限を超えたときに、超えた分が戻る制度です。判定は世帯単位です。
上限は所得によって6段階です。多くの家庭が当てはまるのは月4万4,400円の区分で、市民税世帯非課税なら世帯で2万4,600円になります。
福祉用具購入費・住宅改修費・居住費・食費・日常生活費は対象外です。区分支給限度基準額を超えた分も入りません。
申請は最初の1回だけで、以降は自動で振り込まれます。時効は2年なので、案内が届いていない心当たりがあれば市区町村の窓口に確かめてください。
この記事で参照した公的情報
- 高額介護(介護予防)サービス費(負担上限額の6区分・対象にならない費用・申請書の送付・一度申請すれば以降は自動振込・振込予定日は受理した翌月の最終木曜日)
- 高額介護サービス費(利用者負担が高額になったとき)(第2段階の判定額は令和8年7月31日まで80.9万円・令和8年8月1日から82.65万円)
- 窓口
- 京田辺市
- 確認日
- 確認先
- https://www.city.kyotanabe.lg.jp/0000011647.html
- 高額介護サービス費(第4段階=市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満は44,400円・課税所得による判定は同一世帯内の65歳以上の方の課税所得)
- 窓口
- 厚生労働省(介護サービス情報公表システム)
- 確認日
- 確認先
- https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
- 介護保険法 第200条(時効:保険給付を受ける権利は2年)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 介護保険制度の概要(令和7年7月)(介護保険制度における利用者負担=2割・3割になる合計所得金額と年金収入+その他合計所得金額の基準)
- 窓口
- 厚生労働省老健局
- 確認日
- 確認先
- https://www.mhlw.go.jp/content/001512842.pdf
- 一定以上所得者の負担割合の見直しについて(負担割合証は認定者全員に交付・有効期間は8月1日から翌年7月31日まで)