老健(介護老人保健施設)の費用はいくら?|要介護度と部屋ごとの1か月の額、施設の型の違い、薬代と医療費控除

支出の見直し ・

老健(介護老人保健施設)の1か月の費用は、介護保険の施設サービス費の1割〜3割と、居住費、食費、日常生活費を足した額です。入所のときにまとめて払う一時金はありません。

1割負担の人が基本型の老健に30日入った例では、日常生活費を除いて、多床室で約8万5,400円〜9万2,600円、従来型個室で約12万1,600円〜12万8,700円です(要介護1〜5)。2割・3割の人と、所得が低く負担限度額認定を受けた人は、この額から変わります。

4つの費用がそれぞれ何で決まるかを、厚生労働省の告示と資料(令和8年6月と8月の改定を含む)、施設の運営の基準、国税庁の案内で確かめて並べました。施設ごとの違いの調べ方と、家計簿での分け方も載せます。

退院した親が老健に入るとしたら、毎月いくら用意すればよいのか見当がつきません。何か月いることになるのかも分かりません。

老健の1か月の費用は、4つの支払いの合計

介護サービス情報公表システムは、老健を使うときは施設サービス費のほかに居住費・食費・日常生活費などがかかると案内しています。4つの中身は次のとおりです。

  • 施設サービス費:介護、看護、リハビリ、医師の管理の費用。要介護度・部屋・施設の型で決まる額の1割〜3割を払う
  • 居住費:療養室の費用。個室は室料と光熱費、多床室は光熱費(室料を取る施設は室料も)
  • 食費:食材料費と調理費
  • 日常生活費:理美容代や洗濯代など。項目と額は施設ごとに決める

介護保険が使えるのは施設サービス費だけで、居住費と食費は施設との契約の額を払います。住民税非課税世帯で負担限度額認定を受けた人は、居住費と食費が1日の上限までで済みます。

入所一時金はなく、おむつ代も費用の項目に無い

老健の運営の基準 第11条は、施設が入所者から受け取れる費用を決めています。介護保険の自己負担のほかは、食費、居住費、入所者が選んだ特別な療養室と特別な食事の費用、理美容代、日常生活で通常必要なものの費用です。

入居一時金や保証金に当たる費用は、この中にありません。おむつ代も挙がっていないので、おむつは施設サービスの中で使うものです。

要介護度と部屋ごとの1か月の目安(例)

1割負担の人が基本型の老健に30日入った場合を、要介護度と部屋ごとに計算した例です。施設サービス費は処遇改善加算(Ⅰ)イの9.0%を足して1単位10円とし、居住費と食費は国の基準費用額で計算しています。

要介護度 多床室 従来型個室
要介護1 約85,400円 約121,600円
要介護2 約87,000円 約123,100円
要介護3 約89,200円 約125,300円
要介護4 約90,900円 約127,100円
要介護5 約92,600円 約128,700円

どの額も日常生活費を含みません。多床室と従来型個室では居住費が30日で3万8,730円違い、施設サービス費は多床室のほうが少し高いので、合計の差は約3万6,000円です。

要介護2の人の内訳を、図にしました。ユニット型個室なら同じ条件で約13万6,100円、在宅強化型の施設の多床室なら約9万400円です。

老健の1か月の費用の例の図。要介護2で1割負担の人が、基本型の老健に30日入った例。多床室は、施設サービス費の1割が約2万7,600円、居住費が1万3,110円、食費が4万6,350円で、合計約8万7,000円。従来型個室は、施設サービス費の1割が約2万5,000円、居住費が5万1,840円、食費が4万6,350円で、合計約12万3,100円。日常生活費は別に払う。金額は例

31日の月や、ほかの加算を取っている施設では、額は表より上がります。2割負担なら施設サービス費の自己負担が2倍になり、後で述べる月の上限が効いてきます。

施設サービス費は、要介護度・部屋・施設の型で決まる

施設サービス費は、1日あたりの単位数で決まっています。介護サービス情報公表システムの1割負担の1日の額(1単位10円)は、基本型の老健では次のとおりです。

  • 従来型個室(基本型):要介護1 717円、要介護2 763円、要介護3 828円、要介護4 883円、要介護5 932円
  • 多床室(基本型):要介護1 793円、要介護2 843円、要介護3 908円、要介護4 961円、要介護5 1,012円
  • ユニット型個室(基本型):要介護1 802円、要介護2 848円、要介護3 913円、要介護4 968円、要介護5 1,018円

同じ要介護度なら、施設サービス費は従来型個室より多床室のほうが高く決まっています。多床室を選んで安くなるのは居住費の部分で、施設サービス費は1日あたり76〜80円上がります。

基本型と在宅強化型で、1日の額が違う

老健は、在宅復帰の実績やリハビリの体制などの要件によって、基本型や在宅強化型などの型に分かれます。介護報酬の算定構造(R8.6.1)でも、同じ部屋の種類の中で【基本型】と【在宅強化型】の単位数が分かれています。

在宅強化型の1割負担の1日の額は、次のとおりです。同じ部屋と要介護度の基本型より、1日71〜113円高くなります。

  • 従来型個室(在宅強化型):要介護1 788円、要介護3 928円、要介護5 1,040円
  • 多床室(在宅強化型):要介護1 871円、要介護3 1,014円、要介護5 1,125円
  • ユニット型個室(在宅強化型):要介護1 876円、要介護3 1,018円、要介護5 1,130円

加算型・超強化型と呼ばれる施設は、基本型・在宅強化型の単位数に、在宅復帰・在宅療養支援機能加算((Ⅰ)・(Ⅱ)とも1日51単位)が足される施設です。入る施設がどの型かは、入所前に受け取る重要事項の書類か、介護サービス情報公表システムの施設の頁で分かります。

1割・2割・3割は、負担割合証で決まる

自分の負担割合は、市区町村が交付する介護保険負担割合証に書かれています。介護保険法施行令 第22条の2では、本人の合計所得金額が160万円以上で2割になり、同じ世帯の65歳以上の人の年金収入などの合計が一定の額に満たないときは1割のままです。

3割になる線と判定のしかたは、介護保険の負担割合は1割・2割・3割のどれ?で扱っています。負担割合で変わるのは施設サービス費の自己負担だけで、居住費・食費・日常生活費は同じ額です。

処遇改善加算などの加算が足される

施設サービス費には、職員の配置やリハビリなどの体制に応じて加算が付きます。介護職員等処遇改善加算は、ほかの単位数の合計に率を掛けて足す加算で、令和8年6月から老健の率は(Ⅰ)イで9.0%です。

介護報酬の算定構造(R8.6.1)では、老健のほかの加算には次のようなものがあります。1単位10円の地域で1割負担なら、加算1単位につき1円が自己負担に加わります。

  • 初期加算:入所から30日以内に、1日30単位(Ⅱ)。急性期の病院から退院して入るなど条件に合えば60単位(Ⅰ)
  • 短期集中リハビリテーション実施加算:入所から3か月以内に、1日258単位(Ⅰ)・200単位(Ⅱ)
  • 夜勤職員配置加算:1日24単位
  • サービス提供体制強化加算:(Ⅰ)22単位・(Ⅱ)18単位・(Ⅲ)6単位(1日)

入所して間もない時期は、初期加算や短期集中リハビリテーションの加算が付くことがあり、同じ施設でも入所の月の請求が高く出ることがあります。どの加算を算定しているかは、施設ごとに違います。

1単位の単価は、施設のある地域で変わる

1単位の値段は、地域区分ごとに10円に一定の割合を掛けて決まります(平成27年厚生労働省告示第93号)。表の額は1単位10円なので、単価が10円より高い地域の老健では、施設サービス費がその分だけ上がります。

統計で見た、1人当たりの費用額

厚生労働省の介護給付費等実態統計(令和7年4月審査分)では、介護保健施設サービスの受給者1人当たり費用額は34万1,000円です。保険給付額・公費負担額・利用者負担額を合わせた1か月の額で、1割負担なら自己負担はその1割ほどです。

同じ統計で、老健の受給者の要介護度は、要介護4が28.5%、要介護3が24.1%、要介護2が19.3%、要介護5が15.3%、要介護1が12.8%でした。要介護1・2の人も、受給者の3割ほどを占めています。

居住費と食費は、基準費用額が目安(令和8年8月から)

居住費と食費は、施設と入所者の契約で決まります。介護サービス情報公表システムの利用料の頁で、老健と介護医療院の基準費用額(1日)は次のとおりです。

費用と部屋 1日の基準費用額
食費 1,545円
居住費(ユニット型個室) 2,066円
居住費(従来型個室・ユニット型個室的多床室) 1,728円
居住費(室料を取らない多床室) 437円
居住費(室料を取る多床室) 697円

食費の基準費用額は、令和8年8月に1日1,445円から100円上がりました。7月までの額で書かれた料金表では、食費が30日で3,000円少なく出ています。多床室で室料を取るかどうかは、療養室の広さなど国の条件に当たる施設かで決まるので、施設の料金表で確かめます。

老健の多床室の居住費は、特養の多床室(915円)より低く決まっています。一方で、従来型個室は特養の1,231円より高い1,728円です。

日常生活費と、特別な療養室の費用

運営の基準 第11条では、日常生活費などは、あらかじめ内容と費用を書いた文書を受け取って説明を受け、同意したうえで払う決まりです。特別な療養室と特別な食事の費用は、同意も文書で取ることになっています。

介護サービス情報公表システムの使い方の頁には、2つの老健を並べた例が載っています。日常生活品費が1日180円の施設と、取らない施設があり、2人部屋などの特別な療養室の費用を1日2,000円とする施設もあります。

洗濯代、理美容代、電話代、教養娯楽費などは、施設ごとに額も取り方も違います。入所の前に、施設の料金表で日常生活費の項目と額を確かめます。

薬代と医療は、施設サービス費の中が基本

老健には医師がいて、入所中の診療は施設の医師が行います。運営の基準 第15条で検査・投薬・処置は病状に照らして行うとされ、第16条第2項では、施設の医師は不必要に往診を求めたり、入所者を病院に通院させたりしてはならないとされています。

この条文に費用の決まりはありませんが、ふだんの診療や薬は施設サービス費の中で受けるのが基本です。施設に相談せずに外の病院にかかると、その分を自分で払うことになる場合があります。持病の薬が多い人や高い薬を使っている人は、入所の前に施設に伝え、薬の扱いを確かめておきます。

施設で必要な医療を出すのが難しいときは、施設の医師が協力医療機関などへの入院や、ほかの医師の診療を手配します(第16条第1項)。入院が決まったときの退所や費用の扱いは、施設に確かめます。

入所の期間と、施設ごとの違いの調べ方

老健の目的は、入所した人が自宅での暮らしに戻れるようにすることです。運営の基準 第8条第4項・第5項で、施設は入所者が自宅で暮らせるかを定期的に検討して記録し、検討は医師・薬剤師・看護と介護の職員・支援相談員・ケアマネジャーなどで話し合って行います。

法令に入所期間の上限の日数は書かれていません。介護サービス情報公表システムの使い方の頁の例では、平均的な入所日数が79.3日の施設と288日の施設があり、同じ老健でも何か月いるかは施設と本人の状態で違います。

費用の総額は、1か月の額に入る月数を掛けた額です。公表システムで、気になる施設の平均的な入所日数、食費と居住費の額、加算の有無を見ておくと、総額の見当がつきます。

所得が低い人は、食費と居住費に上限がある

世帯全員が住民税非課税で、預貯金などが一定の額以下の人は、市区町村で負担限度額認定を受けると、食費と居住費が1日の上限までになります。基準費用額との差額は、特定入所者介護サービス費として介護保険が施設に払います。

厚生労働省の資料で、令和8年8月からの段階ごとの負担限度額(1日)のうち、食費と従来型個室は次のとおりです。ユニット型個室的多床室も、従来型個室と同じ額です。

段階 食費 従来型個室
第1段階 300円 550円
第2段階 390円 550円
第3段階① 680円 1,370円
第3段階② 1,420円 1,470円

ユニット型個室は、第1・第2段階が880円、第3段階①・②が1,370円と1,470円です。室料を取らない多床室は、第1段階が0円で、第2段階から第3段階②までは430円です。

多床室では、居住費はほとんど下がらない

室料を取らない多床室の基準費用額は437円で、第2段階から第3段階②の負担限度額430円との差は1日7円です。多床室の人が負担限度額認定で下がる額は、居住費の7円を除けば食費の分です。

第3段階②の人の多床室では、食費の差125円と居住費の差7円で、下がるのは1日132円、30日で3,960円です。第2段階の人なら、食費だけで1日1,155円下がります。

どの段階になるかは、住民税の課税の状況(世帯と配偶者)、年金収入と合計所得金額の合計、預貯金の額の3つで決まります。たとえば第2段階は、年金収入と合計所得金額の合計が82万6,500円以下で、預貯金が単身650万円以下・夫婦1,650万円以下の人です。

申請の書類と毎年の更新、預貯金に入るものは、介護保険の負担限度額認定にまとめています。申請は、老健のある市区町村ではなく、本人が介護保険に入っている市区町村の窓口に出します。

第2段階の人の1か月(例)

第2段階で要介護2・1割負担の人が、基本型の老健に30日入った例です。施設サービス費は最初の表と同じ計算で、食費と居住費は負担限度額で計算し、施設サービス費には次の節の月の上限を当てています。

第2段階・要介護2・1割負担の人が基本型の老健に30日入った場合の1か月の例の図。多床室は、施設サービス費の1割約2万7,600円のうち個人の上限1万5,000円を超えた約1万2,600円が戻り、食費1万1,700円、居住費1万2,900円で、戻った後の合計は3万9,600円。従来型個室は、施設サービス費の1割約2万5,000円のうち約1万円が戻り、食費1万1,700円、居住費1万6,500円で、戻った後の合計は4万3,200円。日常生活費は別。金額は例

施設にいったん払うのは、多床室で約5万2,200円、従来型個室で約5万3,200円です。施設サービス費のうち上限を超えた分は、高額介護サービス費として後から戻ります。

施設サービス費には、月の上限がある(高額介護サービス費)

施設サービス費の自己負担には、所得の区分ごとに1か月の上限があり、上限を超えて払った分は高額介護サービス費で払い戻されます。居住費・食費・日常生活費は、この計算に入りません。

介護サービス情報公表システムで、1か月の上限は次のとおりです。

  • 生活保護を受けている人など:個人で1万5,000円
  • 世帯全員が住民税非課税で、本人の公的年金等の収入とその他の合計所得金額の合計が82万6,500円以下:世帯で2万4,600円、個人で1万5,000円
  • 上のほかで、世帯全員が住民税非課税:世帯で2万4,600円
  • 住民税が課税の世帯で、課税所得が380万円未満:世帯で4万4,400円
  • 課税所得が380万円以上690万円未満:世帯で9万3,000円
  • 課税所得が690万円以上:世帯で14万100円

課税所得で分かれる区分は、同じ世帯にいる65歳以上の人の課税所得で決まります。払い戻しは市区町村に申請して受け取り、申請書の出し方は高額介護サービス費にまとめています。

2割負担の人は、上限で戻る額が大きい

要介護4・2割負担の人が基本型の老健の多床室に30日入ると、処遇改善加算(Ⅰ)イを足した施設サービス費の自己負担は約6万2,800円です。課税所得380万円未満の世帯の上限は4万4,400円なので、約1万8,400円が戻ります。

見積もりや請求書には、上限を当てる前の額が書かれます。2割・3割負担の人は、請求書の額と戻った後の額を分けて見ておきます。

同じ医療保険の世帯で、医療と介護の両方に自己負担があるときは、1年分(8月〜翌年7月)を合わせた限度額もあります。限度額を超えた分は医療保険者への申請で戻り、限度額の表は高額介護合算療養費にまとめています。

医療費控除は、自己負担の全額が対象

国税庁のタックスアンサー No.1125 では、老健に払った介護費・食費・居住費の自己負担額が、そのまま医療費控除の対象です。特養は同じ費用の2分の1なので、老健は控除の対象になる額が大きくなります。

日常生活費と、特別なサービスの費用は対象外です。個室などの特別室の使用料は、診療や治療を受けるためにやむを得ず払うものに限って対象になります。

高額介護サービス費が戻ったときは、戻った額を医療費から引いて計算します。老健の領収証には、介護費・食費・居住費の額を区分ごとに書くことになっています。

例の多床室・要介護2(1か月約8万7,000円)で3か月入ったなら、約26万1,000円が医療費控除の対象です。1年の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人はその5%)を超えた部分が控除の対象で、手順は医療費控除のやり方に載せています。

親の老健の費用を子が払い、親と生計を一にしているときは、子の医療費控除に入れられます(No.1120)。申告の窓口は税務署です。

特養や介護医療院と比べるとき

老健は要介護1から入れますが、特養は原則として要介護3以上です。要支援1・2の人は、老健に入所できません。

65歳以上の人のほか、40〜64歳で特定疾病により要介護認定を受けた人も入所の対象です。老健は在宅復帰を目指す施設なので、長く暮らす場所を探すなら、特養などへの申し込みも並べて考えます。

費用の組み立ては、特養も介護医療院も老健と同じ4つです。違いは、施設サービス費の単位数、多床室と個室の居住費の基準費用額、医療費控除の扱い(特養は2分の1)です。

特養の要介護度・部屋ごとの額は特養の費用はいくら?に、施設の種類ごとの並べた額は介護施設の費用の一覧にあります。有料老人ホームは前払金や家賃を契約で決めるので、有料老人ホームの費用はいくら?で別に確かめます。

家計簿での分け方

老健から毎月届く請求書には、介護保険の自己負担と、居住費・食費・日常生活費の実費が分かれて載っています。行を分けて書いておくと、高額介護サービス費と医療費控除の確かめにそのまま使えます。

紙の家計簿でも表計算でも、やり方は変わりません。子が親の代わりに払う月は、立て替えの書き方のように、誰のお金から払ったかを行ごとに残します。

ステップ1請求書を、施設サービス費と実費に分けて書く10分

施設サービス費の行と、居住費・食費・日常生活費の行を分けて書きます。入所した月は、初期加算などで施設サービス費が高く出るので、加算の名前も横に添えておきます。

ステップ2入院や外泊の日を、日数と一緒に控える5分

居住費と食費は1日の額に日数を掛けた額なので、入院や外泊があった月は日数が変わります。施設にいなかった日と、その月の請求の日数を並べておくと、額の違いの元が分かります。

ステップ3戻ったお金と、医療費控除の対象額を足す10分

高額介護サービス費の振り込みがあったら、払った行はそのまま残し、入ったお金として別の行を作ります。1年分の介護費・食費・居住費から戻った額を引いた額が、老健の分の医療費です。

迷いやすい場面

外泊した日の費用

介護報酬の算定構造(R8.6.1)では、入所者が自宅に外泊した日は、1月に6日を限度として、所定の単位数に代えて1日362単位を算定します。外泊中の居住費と食費の扱いは施設ごとに決めるので、重要事項の書類で確かめます。

ショートステイで老健を使う

老健のショートステイ(短期入所療養介護)は、入所とは別の単位数で、1日ごとに払います。食費と滞在費の基準費用額は、老健の入所と同じ額です。要介護度ごとの1日の額と、4泊5日などの計算はショートステイの料金はいくら?にまとめています。

生活保護を受けている

生活保護を受けている人は、負担限度額認定の第1段階です。室料を取らない多床室なら居住費は0円で、食費は1日300円です。

生活保護を受けている人を受け入れるかどうかや、日常生活費の扱いは、施設と担当の福祉事務所で確かめます。保護を受ける条件は生活保護の条件にまとめています。

年金だけで払えるか分からない

年金は2か月分ずつ振り込まれるので、振込額を2で割って、表の1か月の額と並べます。足りない分を預貯金と家族のどちらから出すかを、入所の前に決めておきます。

本人の世帯が住民税非課税なら、負担限度額認定と高額介護サービス費の段階に当たるかを、本人の介護保険の市区町村の窓口で確かめます。どちらも申請が要り、出さなければ下がりません。

世帯を分けると安くなるのか

負担限度額認定の段階と高額介護サービス費の上限は、住民票の世帯の課税状況で決まります。世帯を分けると判定が変わることがありますが、配偶者は世帯を分けても判定に入ります。

世帯を分けると、国民健康保険料や介護保険料など、ほかの負担の計算も変わることがあります。判定のしかたは介護保険の負担限度額認定にまとめていて、家ごとの影響は市区町村の窓口で確かめます。

退所した後の費用が心配

退所の後に自宅に戻るなら、訪問介護やデイサービスなどの自己負担に変わります。自宅に戻るのが難しいときは、入所中から支援相談員やケアマネジャーに相談し、特養などの申し込みや次の住まいの費用を並べて見ておきます。

要介護認定の区分は、入れる施設と施設サービス費の両方に関わります。認定の流れは要介護認定とはで確かめられます。

よくある質問

Q老健の費用は、月いくらかかりますか

1割負担の人が基本型の老健に30日入った例で、日常生活費を除いて、多床室なら約8万5,400円〜9万2,600円、従来型個室なら約12万1,600円〜12万8,700円です(要介護1〜5)。処遇改善加算(Ⅰ)イを足し、食費と居住費は基準費用額で計算しています。

Q入所するときに一時金はかかりますか

かかりません。運営の基準 第11条で老健が受け取れる費用は、介護保険の自己負担、食費、居住費、特別な療養室や食事の費用、理美容代、日常生活費で、入居一時金に当たる費用はありません。

Q老健と特養では、どちらの費用が安いですか

部屋の種類で違います。多床室は、老健の居住費の基準費用額(437円)が特養(915円)より低い一方、施設サービス費は老健のほうが高く決まっています。従来型個室は、居住費も老健のほうが高い額です。

Q入所中の薬代は払いますか

ふだんの診療と薬は、施設サービス費の中で施設の医師が行うのが基本です。施設に相談せずに外の病院にかかった分は、自分で払うことになる場合があるので、持病の薬は入所の前に施設に伝えます。

Q老健の費用は、医療費控除の対象になりますか

介護費・食費・居住費の自己負担の全額が対象です(国税庁 No.1125)。日常生活費と特別なサービスの費用は対象になりません。

まとめ

  • 老健の1か月の費用は、施設サービス費の1割〜3割・居住費・食費・日常生活費の合計で、入所一時金はない
  • 1割・基本型・30日の例で、多床室は約8万5,400円〜9万2,600円、従来型個室は約12万1,600円〜12万8,700円(日常生活費を除く)
  • 施設サービス費は要介護度・部屋・施設の型で決まり、在宅強化型は基本型より高い
  • 令和8年8月からの食費の基準費用額は1日1,545円で、居住費は多床室437円・従来型個室1,728円
  • 負担限度額認定で食費と居住費が下がるが、多床室の居住費は第2段階から1日7円しか下がらない
  • 施設サービス費の自己負担には高額介護サービス費の月の上限がある
  • 医療費控除は、介護費・食費・居住費の自己負担の全額が対象

4つの費用を分けて見ると、どこが段階や上限で下がるのかが分かります。施設の型と加算を料金表で確かめておくと、毎月の額の見込みが立てやすくなります。

この記事で参照した公的情報

  1. どんなサービスがあるの? 介護老人保健施設(老健)(在宅復帰を目指す人の入所・要支援1・2の人は利用できない・施設サービス費のほか居住費・食費・日常生活費などがかかる・利用者負担(1割・1日)介護保健施設サービス費Ⅰ 基本型(i) 要介護1 717円〜要介護5 932円・在宅強化型(ii) 788円〜1,040円・基本型(iii) 793円〜1,012円・在宅強化型(iv) 871円〜1,125円・ユニット型 基本型 802円〜1,018円・在宅強化型 876円〜1,130円・居住費は室料+光熱費相当・多床室は(室料+)光熱費相当)
    窓口
    厚生労働省(介護サービス情報公表システム)
    確認日
    確認先
    https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group15.html
  2. 介護サービス情報公表システムの使い方 18. 介護老人保健施設(老健)(3か月間の退所者数と退所後の行き先・平均的な入所日数(例では79.3日と288日)・療養室・食費や居住費・特別な療養室の費用・日常生活費・短期集中リハビリテーションなど加算の有無が公表されている・契約前に文書で確認)
    窓口
    厚生労働省(介護サービス情報公表システム)
    確認日
    確認先
    https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/care_services_guide/care_services_guide_service18.html
  3. サービスにかかる利用料(介護老人保健施設・介護医療院・短期入所療養介護の基準費用額と負担限度額(日額)=食費1,545円・ユニット型個室2,066円・ユニット型個室的多床室と従来型個室1,728円・多床室は室料を徴収する場合697円・徴収しない場合437円、第1段階〜第3段階②の負担限度額・高額介護サービス費の上限(1万5,000円〜14万100円・第4段階の課税所得は同じ世帯の65歳以上の人で判定・申請が必要))
    窓口
    厚生労働省(介護サービス情報公表システム)
    確認日
    確認先
    https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
  4. 令和8年度介護報酬改定について(介護職員等処遇改善加算の加算率(令和8年6月から)=介護老人保健施設(Ⅰ)イ9.0%・(Ⅰ)ロ9.7%・(Ⅱ)イ8.6%・(Ⅱ)ロ9.3%・(Ⅲ)6.9%・(Ⅳ)5.9%・基準費用額(食費)を令和8年8月から1日1,445円→1,545円・補足給付の仕組み(令和8年8月~)=老健・医療院等の多床室(室料を徴収しない場合)437円で第2段階〜第3段階②の負担限度額430円・利用者負担段階と預貯金額)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf
  5. 介護報酬の算定構造(R8.6.1)(介護保健施設サービス費(ⅰ)<従来型個室>【基本型】・(ⅱ)<従来型個室>【在宅強化型】・(ⅲ)<多床室>【基本型】・(ⅳ)<多床室>【在宅強化型】の単位数・ユニット型介護保健施設サービス費・外泊時費用は1月に6日を限度として1日362単位・初期加算・短期集中リハビリテーション実施加算・在宅復帰・在宅療養支援機能加算・夜勤職員配置加算・サービス提供体制強化加算)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/content/001675193.pdf
  6. 厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年厚生労働省告示第93号)(一単位の単価は10円に、地域区分とサービスの種類ごとの割合を乗じた額)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080834.pdf
  7. 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準 第5条(重要事項を記した文書の交付と説明・同意)・第8条(入所者が居宅で日常生活を営むことができるかを定期的に検討し記録)・第11条(利用料等の受領=食費・居住費・特別な療養室・特別な食事・理美容代・日常生活で通常必要となるもの・文書で説明し同意を得る)・第15条(診療の方針)・第16条(不必要に往診を求め、又は通院させてはならない)
    窓口
    e-Gov 法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100040
  8. 介護保険法施行令 第22条の2(2割負担になる合計所得金額の線は160万円・同じ世帯の第1号被保険者の年金収入とその他の合計所得金額が一定に満たない場合は適用しない)
    窓口
    e-Gov 法令検索(デジタル庁)
    確認日
    確認先
    https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412
  9. 令和6年度 介護給付費等実態統計の概況 施設サービスの状況(令和7年4月審査分・介護保健施設サービスの要介護状態区分別受給者数の割合=要介護1 12.8%・要介護2 19.3%・要介護3 24.1%・要介護4 28.5%・要介護5 15.3%・受給者1人当たり費用額 総数341.0千円・費用額は保険給付額・公費負担額・利用者負担額の合計)
    窓口
    厚生労働省
    確認日
    確認先
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/24/dl/06.pdf
  10. No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価(介護老人保健施設は介護費・食費・居住費の自己負担額が対象・日常生活費と特別なサービス費用は対象外・個室等の特別室の使用料は診療または治療を受けるためにやむを得ず支払うものに限り対象・高額介護サービス費の払戻しは医療費から差し引く・領収証に区分ごとの金額を記載・指定介護老人福祉施設は2分の1)
    窓口
    国税庁
    確認日
    確認先
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1125.htm
  11. No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費・10万円(総所得金額等が200万円未満の人は5%)を超える部分・最高200万円)
    窓口
    国税庁
    確認日
    確認先
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

この記事を書いているのは

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