妊婦のための支援給付とは|認定後に5万円、胎児の数の届出後に1人5万円(令和7年4月から)

妊婦のための支援給付は、妊娠した人に市区町村がお金を出す国の制度です。令和7年4月1日から、子ども・子育て支援法にもとづいて行われています。
この記事では、いくら出るのか、いつ・どこに申請するのか、期限は何年かを、こども家庭庁の案内と法律の条文で確かめます。流産・死産・人工妊娠中絶のとき、引っ越しや里帰り出産のとき、出産育児一時金との違いと、家計簿での書き方もまとめます。
妊婦のための支援給付は、いつ申請すればよいのかが分かりません。妊娠届を出せば振り込まれるのかにも迷います。
妊婦のための支援給付は、妊婦に出る国の給付
こども家庭庁によると、令和4年度の補正予算から続いていた「出産・子育て応援交付金事業」を、令和7年度から法律にもとづく制度にしたものです。財源には、子ども・子育て支援金が充てられます。
子ども・子育て支援法では、支給の対象を「妊婦であって、日本国内に住所を有するもの」としています。認定は、住所地の市町村が行います。
所得や国籍の条件は無い
法律の支給の要件は、妊婦であることと、国内に住所があることだけです。こども家庭庁の自治体職員向けQ&Aでも、法律に定められた以上の要件を市町村が課すことはできず、国籍に関する要件も無いとしています。
市民税を納め終えているかどうかも、条件になりません。同じQ&Aで、市民税の完納を条件にすることはできないと答えています。
前の「出産・子育て応援給付金」との違い
令和7年3月までの出産・子育て応援給付金は、妊娠届出時と出生届出時に計10万円相当を出す予算の事業でした。いまの制度は、2回目を出生の後ではなく、胎児の数の届出の後に出します。
こども家庭庁のQ&Aでは、給付は妊婦に対して行うものなので、胎児の心拍が確認されていれば人工妊娠中絶のときも支給するとしています。流産や死産も対象です。
額は、認定後に5万円、胎児の数の届出後に1人5万円
子ども・子育て支援法では、額を「胎児の数に一を加えた数に五万円を乗じて得た額」と決めています。これを2回に分けて払います。
- 1回目:妊婦給付認定の後に、5万円
- 2回目:胎児の数の届出の後に、胎児1人につき5万円

図は、胎児の数ごとの例です。1回目は胎児の数にかかわらず同じで、2回目が人数に応じて増えます。
受け取り方は、現金かクーポンなど
法律では、現金その他確実な支払の方法で払うと決めています。こども家庭庁の案内では、自治体の取り組みによっては、クーポン等での給付を選ぶこともできます。
板橋区と横浜市の案内では、振り込み先は妊婦本人の名義の口座です。この2市区では配偶者の名義の口座には振り込めないので、申請の前に本人の口座を用意しておきます。ほかの市区町村の扱いは、住んでいる市区町村の案内で確かめます。
税金はかからず、差し押さえもされない
子ども・子育て支援法では、この給付に租税を課すことはできず、受け取る権利は差し押さえることができないと決めています。確定申告で所得に足す必要はありません。
生活保護を受けている人も対象です。こども家庭庁のQ&Aでは、この給付金は生活保護の収入認定をしないとしています。
いつ・どこに申請するか
手続きは、住民票を置いている市区町村にします。回数は2回で、それぞれに始められる日と期限があります。

図は、手続きの順番です。1回目と2回目のあいだに、面談がもう1回入ることがあります。
1回目:胎児心拍を確認したあと、妊婦給付認定を申請する
こども家庭庁の案内では、医療機関で胎児心拍が確認できたことをもって「妊娠」とし、その後に申請できます。市販の検査薬で陽性と分かった段階では、申請の条件を満たしていません。
こども家庭庁のQ&Aでは、妊婦給付認定の申請は、通常は妊娠届の提出と同時に行うものとしています。ただし、妊娠届を出すだけでは足りず、給付を受ける資格があることと、その認定を求めることの申告が要ります。申告のしかたは、市区町村の案内で確かめます。
2回目:出産予定日の8週間前の日から、胎児の数を届け出る
2回目は、胎児の数を届け出て受け取ります。届け出られるのは、出産予定日の8週間前の日からです。
その日より前に生まれたときは、こども家庭庁のQ&Aでは、生まれた日から届け出られます。案内の時期は市区町村で違います。板橋区は妊娠8か月アンケートに合わせて案内し、横浜市の案内(質問と回答)には、出産後の「こんにちは赤ちゃん訪問」で案内のチラシを渡す場合が書かれています。
振り込みまでの期間は、市区町村で違う
板橋区の案内では、申請を受け付けてから約2〜3か月を目安に振り込みます。横浜市の案内では、書類に不備が無ければ3か月程度です。
どちらも、書類に不備があると遅れます。自分の市区町村の目安は、申請のときの案内で確かめます。
期限は、どちらも2年
子ども・子育て支援法では、給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効になります。数え始めは、1回目が胎児心拍の確認日、2回目が出産予定日の8週間前の日です。
こども家庭庁のQ&Aでは、1回目の期限の数え始めを、妊娠届を出した日や母子健康手帳をもらった日に読み替えることはできないとしています。心拍を確認した受診日をメモしておきます。
給付は、妊婦等包括相談支援事業の面談とセット
子ども・子育て支援法は、市町村に、この給付と妊婦等包括相談支援事業を組み合わせて支援するよう求めています。妊婦等包括相談支援事業は、児童福祉法で、面談などで妊婦の状況をつかみ、情報の提供や相談を行う事業と決められています。
こども家庭庁のQ&Aでは、面談は妊娠の届出のとき、出産の前、出産の後の適当な時期に行うとしています。配偶者のほか、婚姻関係にないパートナーや、祖父母が育てる場合の祖父母も相談の対象です。
こども家庭庁の案内では、出産前だけでなく出産後も、相談を通じて使える制度やサービスを紹介するとしています。給付の申請は、そうした相談の入り口にもなっています。
流産・死産・人工妊娠中絶のとき
こども家庭庁の案内では、流産・死産等の場合も支給の対象です。胎児心拍が確認されていれば、1回目も2回目も受け取れます。
2回目は、流産等が確認された日から届け出る
流産・死産等のときは、そのことが医療機関等で確認された日以降に、胎児の数を届け出ます。横浜市の案内では、このときの2回目の期限は、流産・死産・人工妊娠中絶をした日から2年以内です。
妊娠届を出す前だったときは、こども家庭庁のQ&Aでは、医師の診断書等を見せて認定と給付を受けられます。国の診断書の様式のほか、市区町村が独自の様式を使うこともあるので、医療機関で書いてもらう前に、市区町村の窓口に確かめます。
心拍の確認の前の、12週未満の流産は対象にならない
こども家庭庁のQ&Aでは、医療機関で心拍が確認されないまま妊娠12週未満で流産したときは、妊娠の事実が確認できないため支給できないとしています。妊娠12週以降の死産は、対象になるとしています。
経口の中絶薬を飲んだ時点で心拍が確認されていなければ、その後に心拍が確認されても対象外です。こども家庭庁のQ&Aに、そう書かれています。
手続きと一緒に、相談もできる
こども家庭庁の案内では、市区町村の相談窓口で、給付の申請のときに気持ちの相談もできます。板橋区と横浜市の案内では、流産・死産等のときは、電話で問い合わせると申請の案内を受けられます。
妊娠85日以降の流産・死産・人工妊娠中絶は、健康保険の出産育児一時金の対象にもなります。条件は出産育児一時金の記事にまとめています。
引っ越し・里帰り出産のとき
認定をするのは、申請したときの住所地の市区町村です。同じ妊娠で別の市区町村から受け取った額は差し引かれるので、2か所から重ねて受け取ることはできません。
妊娠中に引っ越した
板橋区の案内では、認定や届出の受け付けの時点で板橋区に住民登録があれば、その後に転出しても板橋区から振り込みます。受け付けの前に転出したときは、転出先の市区町村に問い合わせます。
1回目を前の市区町村で受け取っていて、2回目だけを新しい市区町村で受け取るときは、改めて妊婦給付認定の申請が要ります。転入の手続きのときに、支援給付の担当に伝えておきます。
里帰り出産をする
こども家庭庁のQ&Aでは、胎児の数の届出は住民票のある市区町村にするもので、里帰り先の市区町村では手続きできません。里帰りの前に、郵送や電子申請で届け出られるかを確かめておきます。
横浜市の案内では、住民登録を残したまま海外で妊娠して帰国した場合も、1回目の対象になります。海外で妊娠・出産をしても、その間に日本に住民票があれば申請できると、こども家庭庁のQ&Aは答えています。
出産育児一時金・妊婦健診の助成との違い
妊娠から出産までには、窓口と目的の違う制度が重なります。どこに申請するかで分けると、次のとおりです。
- 妊婦のための支援給付:住民票のある市区町村。妊娠そのものに対する給付で、合計10万円(胎児1人のとき)
- 妊婦健診の助成:市区町村。妊娠届のときに受診券をもらう。額は出産費用の平均の記事に、券を使っても自己負担が出る場面は妊婦健診の費用はいくら?にまとめています
- 出産育児一時金:入っている健康保険。1児につき50万円で、出産費用の支払いにあてる(出産育児一時金の記事)
- 出産手当金:勤め先の健康保険。産休中の給与の代わり(産休の手当の記事)
出産育児一時金が出産の費用にあてるものなのに対して、この給付は妊娠したことに対して出ます。出産費用そのものがいくらかかるかは、出産費用の平均の記事で都道府県ごとに見られます。
出産の費用のしくみは、健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)で見直されることになっています。妊婦のための支援給付とは別の制度で、見直しの中身は出産費用の平均の記事にまとめています。
生まれたあとは、児童手当の申請が別に要ります。額と申請の期限は児童手当の記事にまとめています。
家計簿での書き方
2回の給付は、入る月が離れています。紙でも表計算でも、次の手順で書けます。
ステップ11回目と2回目の期限を書き出す5分
心拍を確認した受診日と、出産予定日の8週間前の日を書きます。それぞれに2年を足した日が、1回目と2回目の期限です。
出産予定日の8週間前の日は、母子健康手帳の予定日から56日を引いて出します。家計簿の月の欄に「2回目の届出」と書いておくと、届け忘れに気づけます。
ステップ2振り込まれた日に、給付の行に書く3分
振り込みがあった日に、収入の欄へ「妊婦のための支援給付」と書きます。給与とは別の行にしておくと、税金がかからない収入だと後で分かります。
クーポンやギフトで受け取ったときは、口座のお金は動きません。家計簿には入れず、使える額と期限をメモに残し、使った買い物も支出に書かないでおくと、合計が実際のお金と合います。
ステップ3妊娠・出産の特別費の表に入れる10分
受け取る見込みの10万円を、妊娠・出産の特別費の表の収入の側に書きます。支出の側には、健診の自己負担やマタニティ用品を書きます。
出産費用を含めた表の作り方は、出産費用を準備する手順と同じです。給付が入るまでは、手元のお金で立て替える月が出ることに気をつけます。
1回目が入った月に、2回目の届出の日も書き足しておくと安心です。案内が出産後の訪問で届く市区町村もあるので、自分の市区町村の時期も書いておきます。
迷いやすい場面
妊娠届を出したのに、振り込まれない
妊娠届と妊婦給付認定の申請は、別の手続きです。給付を受ける資格の認定を求める申告をしていないと、給付は始まりません。
申請を済ませている場合は、振り込みの目安の期間を過ぎていないかを見ます。横浜市は、振り込み日を書いた「妊婦給付認定通知書兼支払通知書」を送っています。
2回目の届出を忘れていた
2回目の期限は、出産予定日の8週間前の日から2年です。出産から時間がたっていても、期限の中なら届け出られます。
どこに届け出ればよいか分からないときは、住民票のある市区町村の支援給付の担当に聞きます。そのあいだに引っ越したときは、前の市区町村と新しい市区町村のどちらに届けるかも確かめます。
双子だと分かった
1回目の5万円は、胎児の数にかかわらず同じです。2回目で胎児の数を届け出ると、2人なら10万円になります。
こども家庭庁のQ&Aでも、双子を妊娠している場合は計15万円としています。2回目の届出の前に、受け取る額を家計簿の表で直しておきます。
よくある質問
Q妊婦のための支援給付は、いくらもらえますか
胎児が1人なら、妊婦給付認定の後の5万円と、胎児の数の届出の後の5万円で、合計10万円です。双子なら15万円、三つ子なら20万円です。
市区町村によっては、独自に上乗せをしていることがあります。国の制度の額は、子ども・子育て支援法で決まっています。
Qいつから申請できますか
1回目は、医療機関で胎児心拍が確認された後から申請できます。こども家庭庁のQ&Aでは、通常は妊娠届と同時に申請するものとしていますが、案内の時期は市区町村で違います。
2回目の届出を始められるのは、出産予定日の8週間前の日です。それより前に生まれたときは、生まれた日から届け出られます。
Q所得制限はありますか
ありません。法律の要件は、妊婦であることと、日本国内に住所があることだけです。
市町村が法律に無い要件を足すことはできないと、こども家庭庁のQ&Aは答えています。国籍に関する要件もありません。
Q税金はかかりますか
かかりません。子ども・子育て支援法で、この給付に租税を課すことはできないと決めています。
確定申告や年末調整で、収入に足す必要はありません。受け取る権利は、差し押さえもされません。
Q人工妊娠中絶をした場合も、対象になりますか
胎児心拍が確認された後なら、対象になります。1回目も2回目も受け取れます。
心拍が確認される前の人工妊娠中絶と、心拍が確認されないまま妊娠12週未満で流産したときは、対象外です。手続きは、住民票のある市区町村の窓口に問い合わせます。
Q夫の名義の口座で受け取れますか
板橋区と横浜市の案内では、妊婦本人の名義の口座に振り込むとしています。横浜市の案内では、申請した人と違う名義の口座には振り込めません。
名字が変わってキャッシュカードの名前と違うときは、横浜市は、アプリなどで口座の名義が分かる画面を添えるよう案内しています。通帳やキャッシュカードが無いときも同じです。
Q申請の期限を過ぎたら、どうなりますか
期限は、法律の時効の2年です。過ぎると、その回の給付は受け取れません。
1回目は心拍の確認日から、2回目は出産予定日の8週間前の日から数えます。家計簿や手帳に、2つの期限を書いておきます。
まとめ
- 妊婦のための支援給付は、令和7年4月1日から子ども・子育て支援法にもとづいて市区町村が出す給付
- 妊婦給付認定の後に5万円、胎児の数の届出の後に胎児1人につき5万円。胎児が1人なら合計10万円
- 所得や国籍の条件は無く、税金もかからない
- 1回目は胎児心拍の確認後、2回目は出産予定日の8週間前の日から。期限はどちらも2年
- 心拍が確認されていれば、その後に流産・死産・人工妊娠中絶となっても2回とも受け取れる
- 申請先は住民票のある市区町村で、里帰り先では手続きできない
- 家計簿では、2つの期限を書き出し、振り込まれた日に給与と別の行で書く
心拍を確認した日と、出産予定日の8週間前の日を書けば、2つの申請の時期と期限が決まります。届け忘れを防げるので、10万円を特別費の表に入れて出産の準備を組めます。
この記事で参照した公的情報
- 妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(妊婦等包括相談支援事業・妊婦のための支援給付/出産・子育て応援交付金事業を令和7年度から法律にもとづく制度に・財源は子ども・子育て支援金)
- 窓口
- こども家庭庁
- 確認日
- 確認先
- https://www.cfa.go.jp/policies/shussan-kosodate
- 妊婦のための支援給付のご案内(妊婦給付認定後に5万円・こどもの人数の届出後にこどもの人数×5万円・胎児心拍の確認をもって「妊娠」・申請先は住民票のある市区町村・クーポン等の選択・流産死産等も対象)
- 給付金と相談窓口のご案内(流産・死産等をされた方も対象・その事実が医療機関等で確認された日以降に届け出る・給付金申請時などに相談)
- 妊婦のための支援給付・妊婦等包括相談支援事業 自治体職員向けQ&A(令和7年10月10日更新版・令和8年5月20日差替え/人工妊娠中絶は胎児心拍の確認後なら対象・妊娠届の前の流産等は診断書等・心拍確認前は対象外・生活保護の収入認定はされない・非課税と差押禁止・法律以上の要件は課せない・国籍の要件は無い・里帰り先では届出できない・時効の起算日・予定日の8週間前より前に出産したときは出産日から届出)
- 子ども・子育て支援法 第10条の2〜第10条の15(妊婦のための支援給付・支給要件・妊婦給付認定・額は胎児の数に1を加えた数×5万円・支払の時期と方法・非課税・差押禁止)・第73条(時効2年)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/424AC0000000065
- 児童福祉法 第6条の3第22項(妊婦等包括相談支援事業の定義)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
- 妊婦のための支援給付(給付要件・申請期限・振込は申請から約2〜3か月が目安・本人名義の口座・転入転出・流産死産)
- 妊婦のための支援給付事業に関するよくある質問(振込は3か月程度・本人名義の口座・生活保護・課税・海外で妊娠や出生)