家計の理想の割合|黄金比は国の基準ではない。家計調査の実際の割合と、自分の割合の出し方

家計の割合を調べると、「住居25%・食費15%・貯金20%」のような黄金比が出てきます。記事によって数字が少しずつ違い、自分の家計と比べてよいのか迷うところです。
黄金比は、民間の専門家などが示している目安です。この記事では、国の家計調査に出ている実際の割合を、世帯の人数・年収・年齢・持ち家か賃貸かで並べます。そのうえで、自分の家計簿で割合を出して比べる手順を書きます。
理想の割合を調べると、記事ごとに数字が違います。自分の家計の食費や家賃が多いのか少ないのか分かりません。
黄金比は、国が決めた基準ではない
よく紹介される黄金比は、手取りを「必要なもの・欲しいもの・貯金」に5対3対2で分ける形や、費目ごとに住居25%・食費15%と決める形です。どれも民間の専門家や金融機関が示す目安で、書き手によって数字が違います。
国の統計が示しているのは、実際の家計がどう使われているかという割合です。総務省の家計調査は、全国から選んだ世帯に家計簿をつけてもらい、費目ごとの平均を出しています。理想ではありませんが、同じような世帯と比べる物差しになります。
割合は、何で割るかで大きく変わります。黄金比の多くは手取りで割っていて、家計調査の費目の割合は消費支出(いわゆる生活費)で割った数字です。比べるときは、割る数をそろえます。
国の平均では、食料が3割近く

図は、2025年の家計調査で、消費支出を10の費目に分けたときの割合です。二人以上の世帯では消費支出が1か月314,001円で、食料が28.6%といちばん大きく、その他の消費支出17.3%、交通・通信14.5%と続きます。
単身世帯は消費支出が173,042円で、食料25.8%、その他の消費支出20.0%、住居12.5%の順です。割合は、表の金額から計算したもので、四捨五入のため合計が100%にならないことがあります。
どの費目も、人に贈る食べ物を食料ではなく交際費などに入れる分け方(用途分類)の数字です。人への贈り物は、その他の消費支出の交際費に入ります。
食料の割合は、家計調査ではエンゲル係数と呼ばれます。外食も食料に入るので、家計簿で外食を別の項目にしている場合は、足してから比べます。食費の分け方は家計簿の食費のつけ方にまとめました。
「その他の消費支出」には、理美容、身の回り品、使い道の分からないこづかい、交際費、仕送りなどが入ります。家計簿で細かく分けている家は、ここに当たる項目をまとめてから比べると、国の分け方にそろいます。10の費目の中身は生活費の内訳の出し方に並べています。
住まいの割合が小さく見える2つの理由
二人以上の世帯の住居は5.9%で、黄金比の25%と比べるととても小さく見えます。理由は2つあり、どちらも家計調査の数え方によるものです。
1つ目は、持ち家の世帯が多いことです。二人以上の世帯の持家率は87.3%で、家賃や地代を払っている世帯は11.7%です。家賃を払っていない世帯を含めた平均なので、住居の額が小さくなります。
2つ目は、住宅ローンの返済が入っていないことです。総務省の収支項目分類では、住宅ローン返済は「土地家屋借金返済」で、住居費には含めないとされています。借金を減らすお金として、生活費とは別に数えます。

図は、同じ家計調査を住まいの持ち方で分けたものです。二人以上の世帯で民営の賃貸に住む世帯は、住居が消費支出の20.9%、単身世帯では26.4%になります。単身の民営借家は集計した世帯が130世帯と少ないので、目安として見ます。
持ち家でローンを返している二人以上の勤労者世帯では、住居は消費支出の2.0%ですが、別に土地家屋借金返済が月92,971円あります。手取り(可処分所得617,962円)に対する返済の割合は約15.0%です。住宅ローンを家計簿の住まいに入れている家は、分けてから比べます。
賃貸なら、住まいの割合はほぼ家賃で決まります。家賃の平均を人数や地域で見るときは家賃の平均はいくら?を見てください。
世帯によって、割合はこう変わる
割合は、世帯の人数・年収・年齢でかなり違います。家計調査の二人以上の世帯の表から、違いの大きい費目を拾います。
人数が増えると、教育の割合が上がる
教育の割合は、2人世帯では0.1%ですが、4人世帯で9.1%、5人世帯で10.0%になります。食料も2人世帯の28.2%から、6人以上の世帯では31.8%に上がります。
反対に下がるのは、その他の消費支出です。2人世帯の19.5%から、6人以上の世帯では12.1%になります。6人以上の世帯は集計した世帯が103世帯と少ないので、幅をもって見ます。
年収が上がると、食料と光熱の割合が下がる
年間収入で世帯を5つに分けると、いちばん低い層(平均267万円)の食料は33.1%、いちばん高い層(平均1,289万円)は25.0%です。光熱・水道も10.6%から5.8%に下がります。
上がるのは、教育(0.8%から6.7%)と交通・通信(11.7%から15.5%)です。ただし、いちばん低い層は世帯主の平均年齢が72.8歳で、働いている人は平均0.51人です。年収だけでなく年齢や働き方も違う点に気をつけます。
年齢で、住居・教育・保健医療が動く
世帯主が34歳以下の世帯は、持家率が56.7%で、住居の割合が11.2%と高めです。教育は45〜54歳の世帯で9.5%と大きくなり、保健医療は85歳以上の世帯で8.5%になります。
同じ年代の数字と比べると、自分の家計の特徴がつかみやすくなります。年代ごとの出費の山は、年間収支表の作り方の形で1年を並べると見えてきます。
貯金の割合は「平均貯蓄率」と「黒字率」で見る
家計調査で貯金の割合に近いのは、平均貯蓄率です。預貯金や貯蓄型の保険の掛金から、引き出した分や受け取った保険金を差し引いた増え分(貯蓄純増)を、手取り(可処分所得)で割った率です。
2025年の二人以上の勤労者世帯では、平均貯蓄率が35.7%で、そのうち預貯金だけの増え分は手取りの33.3%です。隣に置く黒字率は、手取りから消費支出を引いた残りの割合で、35.0%です。手取りは532,408円、消費支出は346,297円です。
勤労者世帯を年収で5つに分けると、黒字率は低い層の22.8%から高い層の41.4%まで上がります。前の節の年収の区切りは二人以上の世帯全体のものなので、勤労者世帯だけの区切りとは違います。
年齢では、世帯主が34歳以下の世帯の黒字率が45.1%でいちばん高く、60〜64歳では21.3%です。単身の勤労者世帯は39.0%で、34歳以下では42.5%です。単身の数字は集計した世帯が少ないので、幅をもって見ます。
2つの率は、住宅ローンで差が出ます。ローンを返している世帯では、返済で借金が減る分が黒字に入るので、黒字率41.1%に対して平均貯蓄率は32.3%です。民営の賃貸に住む世帯は反対で、黒字率29.2%、平均貯蓄率38.7%です。
自分の家計で比べるときは、「手取りから生活費を引いた残り」を出し、そのうち貯金に回した分と借金の返済に回した分を分けます。貯金の書き方は家計簿の貯金の書き方に、先に分ける方法は先取り貯金のやり方にまとめました。
自分の割合を出す手順
用意するのは、1か月分の家計簿か、口座とカードの明細です。紙でも表計算でも、どの家計簿でも同じ手順で出せます。
ステップ1割る数を決める3分
手取りに対する割合を見るか、生活費に対する割合を見るかを決めます。黄金比と比べるなら手取り、家計調査の費目の割合と比べるなら消費支出で割ります。
手取りは、給与明細の差引支給額がおおよその目安です。ボーナスがある家は、1年分の手取りを12で割ると、月ごとのぶれが小さくなります。手取りの出し方は年収と手取りの違いにまとめました。
ステップ2住宅ローン・貯金・税を別にする5分
家計簿の支出から、住宅ローンの返済、貯金や積立、貯蓄型の保険の掛金、税金と社会保険料を外します。家計調査の消費支出にはどれも入っていないので、入れたままだと生活費が大きく見えます。自動車税や固定資産税も税金なので、ここで外します。
外した額はメモしておきます。ステップ4で、手取りからの残りを見るときに使います。項目の分け方は家計簿の項目の決め方に書いています。
ステップ310の費目にまとめて割る10分
残った支出を、食料・住居・光熱・水道などの10の費目にまとめ、ステップ1で決めた数で割ります。掛け捨ての保険料は、医療なら保健医療、火災なら住居というように、それぞれの費目に入れます。
年に1回の支払いが入った月は、その分を12で割って月あたりに直してから計算します。年払いの保険料や車検代を拾う方法は、特別費は思い出さずに明細から拾うにまとめました。1か月だけだと偏るので、できれば3か月分の平均で出します。
ステップ4同じような世帯と並べる5分
出した割合を、人数・年収・年齢・持ち家か賃貸かが近い世帯の数字と並べます。差が大きい費目から、理由を1つずつ書き出します。
差があっても、使いすぎとは限りません。車が要る地域なら交通・通信が、子どもが私立に通うなら教育が大きくなります。理由が分かっていて続けられるなら、その割合が自分の家の形です。
家計簿の1か月分を開いて、住宅ローンの返済と貯金の行に印を付けてみてください。その2つを外した合計が、国の平均と比べる生活費です。
迷いやすい場面
夫婦の生活費を、どんな割合で負担するか
夫婦の負担の割合は、家計調査には出てきません。収入の比で分ける、決まった額を出し合う、片方の収入で暮らすなど、家ごとに決め方が違います。
どの形でも、共通の支出と個人の支出の線を先に決めると話がまとまります。共有のしかたは夫婦で家計簿を共有するならにまとめました。
手取りの何割まで家賃にしてよいか
家計調査で、二人以上の勤労者世帯のうち民営の賃貸に住む世帯を見ると、家賃地代は月69,450円、手取りは483,321円です。割ると約14.4%ですが、これは平均から出した数字で、上限ではありません。
家賃の重さは、同じ地域・同じ人数の家賃と比べると分かります。地域別の家賃は家賃の平均はいくら?を見てください。
車がある
交通・通信には、車の購入やガソリン、自動車保険などの自動車等関係費が入ります。車がある家とない家では、この費目の割合が大きく違います。
車の費用は、毎月の分と年1回・数年に1回の分に分けて月割りにすると比べやすくなります。やり方は車の維持費は月いくら?にまとめました。
毎月赤字で、割合どころではない
手取りより生活費が多いときは、割合より先に、どの費目で赤字が出ているかを探します。本当の赤字か、年1回の支払いが重なっただけかを分けるのが先です。
赤字の見分け方は毎月赤字の家計にまとめました。使える公的な支援は生活費が足りないときにあります。
よくある質問
Q家計の理想の割合はありますか
家計調査の資料には、理想の割合は示されていません。黄金比として紹介されている割合は、民間の目安です。国の家計調査が示しているのは実際の割合なので、同じような世帯と比べる物差しとして使えます。
Q食費は手取りの何割が普通ですか
家計調査の食料の割合は消費支出に対する数字で、二人以上の世帯で28.6%、単身世帯で25.8%です。手取りに対して見ると、二人以上の勤労者世帯では食料93,789円÷手取り532,408円で約17.6%です。
Q住宅ローンは住居費に入れて比べますか
家計調査の住居には住宅ローンの返済が入っていません。国の平均と比べるときは、ローンの返済を住まいの費用から外します。手取りに対する返済の割合は、別に出して見ます。
Q貯金は手取りの何割が普通ですか
近い数字は家計調査の平均貯蓄率で、二人以上の勤労者世帯で35.7%、そのうち預貯金は33.3%です。黒字率は35.0%ですが、住宅ローンを返している世帯では返済の分が黒字に入るので、黒字率41.1%に対して平均貯蓄率は32.3%と小さくなります。
Q一人暮らしの割合はどう見ますか
単身世帯の平均は、住居12.5%、食料25.8%です。賃貸に住む単身世帯だけを見ると住居は26.4%なので、賃貸ならこちらと比べます。一人暮らしの家計簿のつけ方は一人暮らしの家計簿のつけ方にまとめました。
Q4人家族の割合はどう見ますか
二人以上の世帯の4人世帯では、食料28.5%、交通・通信14.7%、教育9.1%、住居4.8%です。持ち家が多い平均なので、賃貸の家は住居を別に比べます。
まとめ
- 黄金比は民間の目安で、国が決めた理想の割合ではない
- 家計調査2025年の二人以上の世帯では、食料28.6%、その他の消費支出17.3%、交通・通信14.5%
- 住まいの割合が小さいのは、持ち家が多いことと、住宅ローンの返済が住居に入らないため。賃貸の二人以上の世帯では住居20.9%
- 人数で教育、年収で食料と光熱、年齢で住居・教育・保健医療の割合が動く
- 貯金に近いのは平均貯蓄率(二人以上の勤労者世帯で35.7%)。黒字率(35.0%)はローンの返済で平均貯蓄率とずれる
- 自分の割合は、割る数を決め、ローン・貯金・税を外し、10の費目にまとめて出す
割る数をそろえて、近い世帯と並べれば、自分の家計の特徴が数字で見えます。差の理由が分かっている費目は、そのままでかまいません。
この記事で参照した公的情報
- 家計調査 家計収支編 2025年 二人以上の世帯 第3-1表 世帯人員別1世帯当たり1か月間の収入と支出(10大費目・持家率・勤労者世帯の可処分所得と黒字率)
- 窓口
- 総務省統計局(e-Stat)
- 確認日
- 確認先
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040409532
- 家計調査 家計収支編 2025年 二人以上の世帯 第2-4表 年間収入五分位階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(10大費目・年間収入・勤労者世帯の黒字率)
- 窓口
- 総務省統計局(e-Stat)
- 確認日
- 確認先
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040409527
- 家計調査 家計収支編 2025年 二人以上の世帯 第3-2表 世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(10大費目・持家率・勤労者世帯の黒字率)
- 窓口
- 総務省統計局(e-Stat)
- 確認日
- 確認先
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040409533
- 家計調査 家計収支編 2025年 二人以上の世帯 第3-7表 住居の所有関係別1世帯当たり1か月間の収入と支出(持家・民営借家の住居と家賃地代・住宅ローン返済世帯の土地家屋借金返済・勤労者世帯の黒字率と平均貯蓄率・預貯金純増)
- 窓口
- 総務省統計局(e-Stat)
- 確認日
- 確認先
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040409538
- 家計調査 家計収支編 2025年 単身世帯 第8表 住居の所有関係別1世帯当たり1か月間の支出(10大費目・持家と民営借家の住居)
- 窓口
- 総務省統計局(e-Stat)
- 確認日
- 確認先
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040409842
- 家計調査 家計収支編 2025年 単身世帯 第2表 男女,年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(勤労者世帯の黒字率)
- 窓口
- 総務省統計局(e-Stat)
- 確認日
- 確認先
- https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040409816
- 家計調査 用語の解説(消費支出・可処分所得・黒字・貯蓄純増・平均貯蓄率・平均消費性向・エンゲル係数)
- 窓口
- 総務省統計局
- 確認日
- 確認先
- https://www.stat.go.jp/data/kakei/kaisetsu.html
- 家計調査 収支項目分類及びその内容例示(2025年1月改定)(住居=住宅ローン返済は「土地家屋借金返済」であり、住居費には含めない・自動車税は他の税・こづかい(使途不明)・掛け捨て型の保険料の置き場)