iDeCoの年末調整|払込証明書の数字を、保険料控除申告書のどこに書くか

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、所得税では小規模企業共済等掛金控除として、その年に払った全額が所得から引かれます。会社員や公務員がこの控除を受ける方法は、掛金の払い方で分かれます。
この記事では、年末調整で申告が要る人と要らない人の分け方、国民年金基金連合会から届く払込証明書、保険料控除申告書のどの欄に何を書くか、年末調整に間に合わないときの確定申告までを順にまとめます。住民税への効き方と、2026年12月からの掛金の上限の変更も書きます。
iDeCoを始めた年の年末調整で、保険料控除申告書のどこに書けばよいのか分かりません。生命保険の欄に書くのかも迷います。
iDeCoの掛金は、払った全額が所得控除になる
国税庁のNo.1135では、確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象とされています。控除できる金額は、その年に支払った掛金の全額です。
生命保険料控除のような、控除額の上限の表はありません。同じ控除の対象の小規模企業共済は、個人事業主や小さな会社の役員が入る制度で、小規模企業共済の記事にまとめています。
国民年金基金連合会の案内では、1月から12月に納付した掛金の合計が、その年の控除になります。掛金は原則として翌月26日に納付されます。
公式サイトの年単位拠出の案内でも、12月分から翌年11月分までの掛金は、実際の納付月が1月から12月とされています。このため、12月分の掛金は翌年1月の納付になり、翌年の控除に入ります。
住民税でも同じ控除があります。地方税法では、前年中に払った個人型年金加入者掛金の合計額を、所得割の計算で所得から引くと決めています。
住民税は前年の所得で計算されるので、2026年に払った掛金で下がるのは2027年度の住民税です。受け取るときの税金(一時金は退職所得・年金は雑所得)は、iDeCoの受け取り方にまとめています。
申告が要るのは、自分の口座から払っている人
iDeCoの掛金の払い方には、自分の口座から引き落とす「個人払込」と、給与から天引きして勤め先が払う「事業主払込」があります。会社員と公務員は、勤め先が事業主払込を行っていれば、どちらかを選べます。
自営業などの第1号被保険者と、会社員や公務員の配偶者などの第3号被保険者は、個人払込です。払い方と立場の組み合わせで、控除を受ける手続きが変わります。

図は、国民年金基金連合会の案内をもとに、立場と払い方ごとの手続きを並べたものです。自分がどれに当たるかは、掛金が口座から引き落とされているか、給与明細で引かれているかで分かります。
給与天引き(事業主払込)の人は、書かなくてよい
事業主払込の人は、勤め先が毎月の給与を計算するときに掛金を引いてから所得税を出しています。国民年金基金連合会の案内では、この人たちには払込証明書が発行されず、個人での申告も要りません。
国税庁の記載例でも、保険料控除申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄には、給与から差し引かれた掛金は書かないとされています。企業型確定拠出年金で、給与から出している加入者掛金も同じです。
第1号・第3号の人は、確定申告で出す
国民年金基金連合会の案内では、第1号被保険者と第3号被保険者は、払込証明書の合計金額を確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に書いて申告します。第3号被保険者がこの控除で税が下がるのは、課税される所得があるときです。
第3号被保険者でも、パートなどの給与を受けていて勤め先の年末調整を受ける人は、国税庁のNo.1135のとおり、保険料控除申告書に証明書を添えて出す方法もあります。どちらで出すかは、勤め先の担当に確かめてください。
払込証明書は、例年10月下旬に届く
個人払込の人には、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」がはがきで届きます。公式サイトの案内では、発行は例年10月下旬です。窓口の金融機関(運営管理機関)ではなく、国民年金基金連合会の名前で届きます。
10月下旬に届く証明書には、1月から9月までに払った額と、10月から12月に払う予定の額が書かれています。この2つを足した「合計金額」が、その年の控除に使う額です。まだ払っていない月の分も入っているので、記入した時点で払った額と合わない形になっています。
初めての掛金を10月以降に払った人は、10月の発行の対象になりません。公式サイトの案内では、追加の発行は例年11月下旬・12月下旬・翌年1月下旬で、10月に初めて払った人には11月下旬に届きます。
はがきのほかに、マイナポータルで電子データを受け取る方法もあります。国民年金基金連合会の「e-iDeCo」の登録が要り、電子データは勤め先が対応していれば年末調整に、e-Taxの確定申告にも使えます。
保険料控除申告書の書き方
証明書が届いたら、勤め先から配られる「給与所得者の保険料控除申告書」に書き写します。iDeCoのために書くのは、申告書の右下の1つの区画だけです。
ステップ1払込証明書の「合計金額」を確かめる5分
はがきを開いて、掛金の月ごとの額と、その下の合計金額を見ます。「未納」や「一時停止」で0円になっている月があれば、その月は控除に入りません。公式サイトの案内では、0円の月の掛金を後から払うこと(追納)はできません。
証明書が2枚ある人は、日付の新しいほうの合計金額を使います。掛金の額を変えると、変えた後の額で証明書がもう1枚発行されるためです。
ステップ2小規模企業共済等掛金控除の欄に書く5分
申告書の右下に「小規模企業共済等掛金控除」の区画があり、掛金の種類ごとに行が分かれています。iDeCoの額を書くのは「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の行で、同じ額を下の「合計(控除額)」にも書きます。

図は、国税庁の令和8年分の記載例の区画をもとに、月2万3,000円を12か月払った人の書き方を示した例です。金額は例なので、自分の証明書の合計金額に置き換えてください。
iDeCoは、生命保険料控除の個人年金保険料の欄には書きません。保険期間や新・旧の区分を書く欄は生命保険料控除のもので、iDeCoの行にはありません。生命保険料控除の欄の書き方は生命保険料控除はいくら?にまとめています。
ステップ3証明書を添えて勤め先に出す5分
書いた申告書に、払込証明書のはがきを添えて、勤め先が決めた期限までに出します。国税庁のNo.1135では、証明書を申告書に添付するか、出すときに見せることとされています。
年末調整の結果、戻る所得税はその年の最後の給与で精算されます。年末調整で出すほかの申告書の書き方は、年末調整の書き方にまとめています。
税金がいくら減るかの例
国民年金基金連合会の案内では、減る税金は「掛金の合計額×(所得税率+住民税率)」で計算できます。所得税の税率は課税される所得の額で5%から45%まで分かれ、住民税の所得割は標準で10%です。

図は、控除を足しても税率の区分が変わらない人の例です。月1万円の例は、iDeCo公式サイトが示している計算と同じ条件です。復興特別所得税は含めていません。
所得税の分は、その年の年末調整か確定申告で精算されます。住民税の分は、翌年度の住民税の額が下がる形で表れます。住民税の額の決まり方は住民税はいくら?にまとめています。
もともと所得税がかかっていない人は、控除を足しても戻る所得税はありません。国税庁のNo.2030でも、源泉徴収された所得税が無い人は、申告しても還付される所得税は無いとされています。住宅ローン控除などで所得税が0円になっている年も、同じ考え方です。
年末調整に間に合わないときは、確定申告で受ける
証明書が年末調整の期限までに届かなかったときや、出し忘れたときは、確定申告で控除を受けます。国民年金基金連合会の案内でも、年末調整に間に合わない場合は確定申告が必要とされています。
確定申告の期間は、国税庁のNo.2020では翌年2月16日から3月15日までです。2026年分なら、2027年2月16日から3月15日までになります。確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に証明書の合計金額を書き、勤め先から受け取る源泉徴収票の額も書き写します。
納めすぎた所得税を戻すためだけの申告(還付申告)は、確定申告の期間に関係なく、翌年1月1日から5年間出せます。出し忘れに翌年以降に気づいた人も、この期間なら申告できます。
国税庁のNo.1135では、令和8年分以後の確定申告書を令和9年1月1日以後に出すときは、証明書を添える代わりに、決まった事項を書いた明細書を添える方法も認められています。申告のそろえるものと順番は確定申告のやり方にまとめています。
源泉徴収票と住民税の通知書で、入ったかを確かめる
年末調整が済むと、勤め先から源泉徴収票が渡されます。国税庁の作成の手引では、iDeCoの掛金は「社会保険料等の金額」の欄に含めて書き、そのうちの小規模企業共済等掛金の額を「内」として書くことになっています。
この「内」の額が払込証明書の合計金額と同じなら、年末調整で控除に入っています。事業主払込の人も、給与から引かれた1年分の掛金がこの欄に入ります。源泉徴収票の欄の読み方は源泉徴収票の見方にまとめています。
翌年度の住民税の通知書にも、小規模企業共済等掛金控除の欄があります。個人払込の人が年末調整か確定申告で出していないと、この欄にiDeCoの掛金は入りません。通知書の見方は住民税の決定通知書の見方にまとめています。
2026年12月から、掛金の上限が上がる
控除は払った全額ですが、払える掛金には上限があります。いまの上限は、国民年金第1号被保険者が月額68,000円、企業年金等に加入していない会社員が月額23,000円、企業年金等に加入している会社員と公務員が月額20,000円、第3号被保険者が月額23,000円です。
この上限は、2026年12月1日から引き上げられます。政令(令和7年政令第442号)で決まっていて、第1号被保険者は国民年金基金などと合わせて月額75,000円、会社員は月額62,000円(企業年金等がある人はそれと合わせて)になり、第3号被保険者は月額23,000円のままです。
国民年金基金連合会の案内では、引き上げは2026年12月分(2027年1月の引き落とし分)の掛金からです。12月分は翌年1月の納付なので、引き上げた掛金が控除に入るのは2027年分からで、2026年の年末調整で書く額には入りません。
掛金を上げるには、窓口の金融機関(運営管理機関)への届け出が要ります。受付の時期や方法は、加入している運営管理機関の案内で確かめてください。立場ごとの上限と、上げるための届け出はiDeCoの掛金の上限にまとめています。
家計簿での置き方
個人払込の掛金は、原則として翌月26日(金融機関の休みの日は翌営業日)に口座から引き落とされます。家計簿では、生活費と混ぜずに「iDeCoの掛金」の行を1つ作り、毎月の額を書きます。事業主払込の人は、給与明細の控除の欄に出る額を同じ行に書き写します。
12月に1年分の行を足すと、払込証明書の合計金額と照らせます。合わないときは、未納や一時停止の月がないか、12月分が翌年1月の納付になっていないかを見ます。
年末調整で所得税が戻った月は、戻った額を給料と別の行に書いておくと、翌月の手取りと比べやすくなります。住民税が下がった分は、翌年6月からの住民税の行で分かります。紙でも表計算でも、同じ手順で書けます。
10月下旬に届く郵便物の中から、国民年金基金連合会のはがきを探してみてください。はがきの合計金額が、申告書に書く数字です。
迷いやすい場面
年の途中で始めて、証明書がまだ届かない
初めての掛金を払った月によって、証明書の発行の月が変わります。10月に初めて払った人は11月下旬、11月なら12月下旬、12月なら翌年1月下旬の発行です(公式サイトの案内の例年の予定)。
勤め先の年末調整の期限に間に合わなければ、その年の分は確定申告で受けます。発行の時期や届いていないときの問い合わせは、国民年金基金連合会のコールセンター(0570-003-105・平日9時〜17時)が案内先です。
年末調整を出した後に、2枚目の証明書が届いた
掛金の額を変えると、変えた後の額の証明書がもう1枚届きます。先に1枚目の額で出していたときは、年末調整で直せるかを勤め先に確かめます。
勤め先で直せないときは、確定申告で2枚目の合計金額を申告します。確定申告では、源泉徴収票に載っている控除の額も合わせて書き直します。
証明書をなくした
公式サイトの案内では、再発行は加入の手続きをした金融機関(運営管理機関)に申し出ます。届くまで時間がかかるので、年末調整の期限が近いときは、先に勤め先の担当に伝えておきます。
電子データで受け取る登録をしている人は、マイナポータルから取り直せます。住所が変わっていた人は、住所の変更の届け出も運営管理機関に出します。
転職して、払い方が変わった
年の途中で事業主払込から個人払込に変わった人は、個人払込の期間の分だけ証明書が届きます。事業主払込の期間の分は、前の勤め先の源泉徴収票の社会保険料等の金額に入っています。
新しい勤め先で年末調整を受けるときは、前の勤め先の源泉徴収票と、個人払込の分の証明書の両方を出します。手続きの細かいところは、勤め先の担当に確かめてください。
よくある質問
QiDeCoの掛金は、年末調整で書かないといけませんか
口座から払っている会社員と公務員は、書かないと控除が入りません。給与天引き(事業主払込)の人は、勤め先が毎月の給与で済ませているので、書く必要はありません。
Q保険料控除申告書のどの欄に書きますか
右下の小規模企業共済等掛金控除の区画の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の行です。払込証明書の合計金額を書き、同じ額を合計(控除額)にも書きます。
Q書く金額は、1年分ですか。これから払う分も入れますか
入れます。10月下旬に届く証明書の合計金額には、10月から12月に払う予定の額が入っています。その合計金額をそのまま書きます。
Q控除に上限はありますか
控除の額に上限はなく、その年に払った掛金の全額です。払える掛金には上限があり、2026年12月1日から引き上げられます。
Q年末調整と確定申告は、どちらで出せばよいですか
会社員と公務員で個人払込の人は、年末調整で出せます。間に合わなかったときや、第1号・第3号の人は確定申告です。
Q年末調整で出し忘れました
翌年の確定申告で受けられます。還付申告なら、翌年1月1日から5年間出せます。
Q住民税も下がりますか
下がります。払った掛金の全額が住民税でも所得から引かれ、翌年度の住民税が下がります。年末調整か確定申告で出していれば、住民税のための手続きは別に要りません。
まとめ
- iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除として、その年に払った全額が所得控除になる
- 年末調整で書くのは、口座から払っている会社員と公務員。給与天引きの人は書かなくてよい
- 払込証明書は例年10月下旬に国民年金基金連合会から届き、書くのはその合計金額
- 書く欄は、保険料控除申告書の右下の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」
- 年末調整に間に合わなければ確定申告、還付申告なら5年間出せる
- 掛金の上限は2026年12月分から上がり、控除に入るのは2027年分から
払込証明書の合計金額を、申告書の右下の1行に書き写せば、iDeCoの年末調整は済みます。はがきが届いたら、申告書の用紙と一緒にしまっておくと探さずに済みます。
この記事で参照した公的情報
- No.1135 小規模企業共済等掛金控除(個人型年金加入者掛金はその年に支払った全額を控除・証明書を保険料控除申告書か確定申告書に添付・令和9年1月1日以後に出す令和8年分以後の確定申告書は明細書で代えられる)
- ≪記載例≫令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書(小規模企業共済等掛金控除の欄・給与から差し引かれた掛金は記載しない)
- 給与所得の源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄(小規模企業共済等掛金の額は内書き)
- No.2020 確定申告(期間は翌年2月16日から3月15日まで)
- No.2030 還付申告(翌年1月1日から5年間・源泉徴収された所得税が無い人は還付が無い)
- iDeCoの所得控除の手続き(加入者区分と払込方法ごとの手続き・払込証明書の発行スケジュール・記入する欄・未納月は追納できない・12月分から翌年11月分の掛金は実際の納付月が1月〜12月)
- 窓口
- 国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)
- 確認日
- 確認先
- https://www.ideco-koushiki.jp/library/index.html
- iDeCoよくあるご質問(1月〜12月に納付した掛金の合計がその年の控除・掛金は翌月26日に納付・事業主払込は証明書の発行なし・第3号は課税所得が要る)
- 窓口
- 国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)
- 確認日
- 確認先
- https://www.ideco-koushiki.jp/faq/
- iDeCoのメリット(掛金1万円・所得税10%・住民税10%で年2.4万円軽減の例)
- 窓口
- 国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)
- 確認日
- 確認先
- https://www.ideco-koushiki.jp/guide/good.html
- iDeCoの拠出限度額の引き上げにあわせた掛金額変更のご案内(2026年12月分=2027年1月引落し分から・第3号被保険者は引き上げなし)
- 窓口
- 国民年金基金連合会(iDeCo公式サイト)
- 確認日
- 確認先
- https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/notice202612-02.pdf
- DC拠出限度額(令和8(2026)年12月〜)(第1号加入者は国民年金基金等と合わせて月額7.5万円・会社員は企業年金等と合わせて月額6.2万円・第3号加入者は月額2.3万円)
- 国民年金基金令等の一部を改正する政令の公布について(通知)(令和7年政令第442号・令和8年12月1日施行)
- 個人住民税(所得割は前年の所得で算定・所得控除の種類は基本的に所得税と同様)
- 地方税法 第34条・第314条の2(前年中に支払った個人型年金加入者掛金の合計額を所得割の計算で控除)
- 窓口
- e-Gov 法令検索(デジタル庁)
- 確認日
- 確認先
- https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226